霊感などというものはまったくない。
これまで、幽霊などという類のものに遭遇したこともない。
不思議な経験はあるけれど、心霊現象とは言えないようなものばかりである。
しかし、そんな俺にもついに心霊体験が訪れた。
いや〜40年生きてて良かったと思った瞬間である。
それは、つい2、3日前のことである。
数学のプリント作りを終えて、帰路に着いたのは真夜中を少し過ぎたあたり。
その日に限って、なぜか気分転換に遠回りしてドライブして帰ろうと思ったのである。
とりあえずは、人のあまりいないだろう山の方へ向かって車を走らせた。
ヘッドライトの明りを頼りに、山道をひた走る。
そのうち、ちょっとした駐車スペースに自販機が設置された場所を発見した。
コーヒーでも飲もうと、車を停めて外に出る。遠くにはかすかに夜景も見える。
自販機へ向かおうと思ったその時である。
よく見ると、自分以外に隅の方にもう1台車が止まっているのが見えた。
似たような奴がいるもんだ、と思って車から目を離そうとしたその瞬間…
後部座席に青白い女性らしき顔だけが浮かびあがったのである!!
うわ〜、これは本物の幽霊ではないか!
慌てて自分の車に戻り、これは誰かに知らせねばとメールを打とうとスマホを取り出す。
「幽霊なう」とツイートしようとした俺。
ところが、ふと顔をあげると先ほどと同じような青白い顔がフロントガラスに!!
うっひょーーーーーー!!ちびりそうになる俺。
しかし、よく見ると、スマホに照らされた自分の顔がフロントガラスに反射していただけであった。
ああ、なんて間抜けなんだ、俺よ!!
ひょっとして、と先ほどの車に目をやると、そこには同じように女性らしき顔が。
その人もスマホをいじっているだけのようだった…
みなさん、深夜、車の中でスマホをいじっていると他人からは幽霊のように見えますのでご注意を。