オススメの数学参考書(高校数学2024)

数学のおすすめ参考書 2024

悩める高校生
参考書、たくさんありすぎてよくわかんねえ!!
とある高校生
これ「基礎からの」って書いてあるで

書店に行けば、数学の参考書・問題集がずらりと並んでいます。昔に比べると随分とバラエティに富んでいるなと羨ましく思います。その反面、当たり外れも大きく、どれを選べばよいのか分からないということも考えられます。実際、生徒からも「どういう参考書をやればいいの?」という相談を受けることが多いので、よくオススメするものを選んでみました。
「参考書くらい自分で決めてくれ」と思うこともありますが(笑)、あれだけ数があると中身を確認するだけでも大変だろうなという気持ちもあります。また、適当にチョイスして後で困ったことになられても嫌なので、しっかりとした内容のものを知っておくことも仕事の1つです。

理解のための参考書

教科書だけで理解をするというのはよほどの優れた人でなければ不可能です。そこで、教科書内容を補足し深く概念を理解するための参考書を選んでみました。教科書の代わりにここで紹介する参考書を日常的に使っている生徒もたくさんいます。以前に比べるとこうしたタイプの参考書は非常に少なくなりました。需要がないと言えばそれまでですが、数学難民が増えている一因ではないかと思ったりもします。

やさしく頭をつくりかえる高校数学I・A(かんき出版)

新課程になってまともな参考書がどんどん絶版になる中、唯一教科書の補足用と言うべき参考書が出版されました。

総合的研究やPlus Eliteシリーズに比べると、より初学者に対して優しい語り口になっているように思います。数学が苦手な人、高校数学で躓いてしまったという人は、じっくりと取り組んでみるといいのではないかと思います。

ライバルと言える内容のものがないため、現状ではこの参考書が唯一の選択肢といった感じです。

総合的研究シリーズ(旺文社)※絶版になったようです

別記事でも紹介したことがある総合的研究シリーズです。

全部揃えるとかなりの分厚さになります。非常に丁寧な記述が特徴で、私も説明の際に参考にさせていただくことがあります。前書きや後書きからは著者の熱意がひしひしと伝わってきます。塾生からは、著者の長岡先生の語り口が優しくて好きだという評価もありました。ただし、丁寧な説明ゆえに「まわりくどい」と感じる人もいるかもしれません。

内容は初歩からかなり高度な内容まで含んでいます。日頃から本書を読み込んでおけば、数学は相当な実力がつくだろうと想像できます。しかし、相当な厚さと濃さがあるので、読みこなすにもそれなりの能力が必要となります。実質的には辞書的な使い方がメインとなるでしょう。(個人的には、このくらいの書籍をしっかりと読み込める力をつけて大学へ行って欲しいと思いますが。)

練習問題も含まれていますが、難易度にバラツキがあるので、問題演習は別のものを用いてもいいかもしれません。

塾長
ついにkindleの方も消えてしまいました。残念です。

新数学Plus Elite シリーズ(駿台文庫)※絶版になったようです

説明はやや硬質な感じを受けますが、シンプルな説明が好きな人や、数学に自信がある人にはぴったりでしょう。教科書の範囲外の発展的な内容などは後半にまとめてあります。

『総合的研究』に比べるとやや高度な内容が中心で、どちらかと言えば数学が得意な生徒がさらに力をつけたい場合に使用する感じでしょうか。とはいえ、基礎的な内容もしっかりと記述してあり、個人的にはとても好きな参考書です。

塾長
こちらも絶版になったようです。

同じ著者が新課程向けのシリーズを出しておられます。分冊ですのでお値段がアレですが。

 

基礎力を固める問題集(I+A+II+B)

基礎力アップには日々の問題演習が欠かせません。このレベルでは

  1. 概念理解の穴がないかのチェック
  2. 具体例を通して理解を深める
  3. 簡単な作業を自動処理できるようにする

といったようなことが目的となります。しかし、難しすぎると心が折れてしまいますし、目的にも適わないものとなります。また、量が多すぎるとこなすのが精一杯となり、これまた意味がありません。適度な問題量とこのレベルに見合った解説がなされているものをチョイスしました。

文系の数学(河合出版)

「文系の」とありますが、理系の人の基礎固めにも十分利用できます。各単元で絶対に押さえておきたい問題がコンパクトにまとまっています。数学I+Aの内容が60問(整数は後半に回されています)、数学II+B+Cの内容が98問で計158問の例題と、巻末に演習問題が115問あります。

各問題に解説講義とポイントが書かれており、たまにコラムが挿入されています。解説はこの手の問題集の中ではかなりしっかりと書かれています。1日◯問のように決めて日常的に反復練習するのが理想的な使い方でしょう。あるいは、短期間で一通りさっとやって弱点を見つけるという使い方もできます。

塾でもサブの問題集として採用している出来の良い問題集です。この問題集で解説が少ないと感じたり、解答が意味不明だと感じる場合には教科書に戻るべきでしょう。

塾長
薄さの割に、中身は充実してますよ!

入門問題精講(旺文社)

以前は基礎問題精講シリーズをオススメしていましたが、入門問題精講が登場してからはこちらをオススメしています。

基礎問題精講のあっさりした解説に比べて、こちらのシリーズはかなり詳しく解説がなされています。教科書からステップアップするような構成なので、数学が苦手な人は最初の問題集としてこちらを強くおすすめします。「問題とその解法を示して場当たり的な解説をつけた」ような参考書が多いのですが、しっかりとした基礎力をつけたいという人はじっくりと取り組むと良いでしょう。

塾長
こちらは新課程版となります。新課程版では良い参考書が少ないので重宝すると思います。

10日あればいいシリーズ(実教出版)

実教出版は教科書が非常によく出来ているのですが、問題集もなかなか渋い感じで良いです。「10日あればいい」とありますが、まあ10日では無理でしょう(笑)。

レベル的には『基礎問題精講』より易しめです。ただし、解説はあまりなく、解答もかなり簡素に書かれています。このシリーズのメリットは「薄い」「安い」という2点に尽きます。とはいえ、基礎力を養うのに必要な問題はしっかりと入っています。

繰り返しやりたい、時間をかけずに一通りの基礎を確認したい、そういう場合には有効です。もっと短期間でやる場合にはさらに問題数を絞った次のものもあります。

いずれにしても解説はほぼないようなものなので、確認用と割り切って使えばなかなかコストパフォーマンスの良い問題集です。

塾長
10日でやるのはちょっと・・・ですが、さくっと復習したい場合には有効です

実戦力を養う問題集(I+A+II+B)

模試や実際の入試などでの得点力をアップさせるためには、難易度の高めの問題をじっくり時間を使って考えるという練習が必要です。このレベルになると、何度も繰り返し解くのではなく、「問題の着眼点」「同値な言い換え」などを意識して、問題を自分の知っている知識の範囲内に落とし込む練習をしていくことが必要となります。そのためには、ただ面倒な問題や必要以上に難しい問題を避け、しっかりと考えられた質の良い問題を解いていくことがポイントになります。

標準問題精講シリーズ(旺文社)

また旺文社の問題集ですが、私は決して旺文社の回し者ではありません(笑)実は『標準問題精講』のさらに1つ上のレベルとして『上級問題精講』もあります。本当はそちらの方が好きなのですが、需要を考えるとこちらを優先することにしました。

いわゆる入試標準レベルの問題(大学入試の典型的な問題)が詰まっています。良問が多く、解説もしっかりしているので、じっくり取り組めばかなり実力がつくと思います。研究の部分は絶対に読んでもらいたい内容ばかりです。ただし、I+AとII+Bで著者が異なるため、やや雰囲気が異なります(気にするほどではありませんが)。

なお、分野別のシリーズも出ています。弱点がはっきりしている場合はこちらも見てみてください。

塾長
このシリーズは昔から安定感がある問題集です

やさしい理系数学(河合出版)※旧課程

「どこがやさしいんだ!」と怒りを覚え、本書を壁に叩きつける受験生がたくさんいるとかいないとか。いわゆる通称「やさ理」です。確かに『標準問題精講』と比べると難しい問題も含まれていますが、全体としては入試標準レベルをよく押さえてあります。

この問題集の長所は別解が豊富であるということです。数学の勉強において、自分にない発想を知るというのは非常に大切です。それが入試に必要かどうかは別問題としても数学が好きな人にはぜひやってもらいたい問題集です。

当たり前ですが、理系数学なので数学IIIまで入っています。ただし、数学IIIの内容は薄いです。I+A+II+Bの範囲で使うと良いでしょう。

塾長
別解が豊富なので、いろいろな考え方を知ることができます

厳選!大学入試数学問題集(河合出版)

過去の入試問題から良問を厳選した問題集です。理系と文系がありますが、どちらも一回は取り組んでおきたい問題が多く含まれています。I+A+II+Bの範囲が一通り終わったらくらいから取り組むといいでしょう。理系の方は数学III内容まで含まれています。

入試問題がベースなのでどの問題も簡単ではありませんが、いわゆる難問や奇問は排除されており学習効果が高まるように配慮されています。解答の質にバラツキがあるのが少し残念なところですが、高校生のみなさんには思いつきやすい答案が採用されています。

塾長
河合出版はプラチカも有名ですが、プラチカは少し重たいので、こちらの方が取り組みやすいと思います。

ハイレベル 数学I・A・II・B の完全攻略 (駿台受験シリーズ)

この問題集はI+A+II+Bの範囲で問題数が44問のみというかなり尖った構成になっています。収録されている問題は骨のあるものが多く、難関大を目指す人にはちょうど良い演習になると思います。比較的時間が取れる時期にじっくりと取り組んでいくと良いでしょう。

特筆すべき点は、1問ごとにアプローチ・解答・フォローアップという構成になっており、かなりしつこい解説がなされているというところです。その問題に関する類題なども取り上げられており、1問に時間をかけながらじっくりと考えるのが好きな人にとくに向いていると思います。この解説部分を読み込むことが重要なので、あまりゴチャゴチャした解説が好きでない人は手を出さない方がいいでしょう。また、ある程度の実力がないと使いこなせない問題集であるため、使用時期には注意したいところです。

塾長
こういう感じの解説は個人的には好みなんだけど、高校生は敬遠するかも・・・。

数学I・A・II・B徹底研究(数学新社)※旧課程

以前、聖文新社から出版されていた本ですが、出版社の廃業とともに絶版となっていました。が、この度めでたく復刊されたそうです!良い本がこうして残っていくのはありがたいですね。

大学入試までに一度は触れておきたい問題が104問の例題にコンパクトに収められています。類題と演習問題もついているので、これ一冊で入試標準レベルの問題は一通り押さえられるようになっています。解説は、どちらかと言えばアッサリしていますが、しっかりとツボを押さえたものとなっています。途中計算などの省略はありますが、ある程度自分の頭で考えながら行間を埋めていくと効果的でしょう。ところどころで挟まれる「ワンポイント解説」「研究」「ティータイム」などのコラムが秀逸です。

塾長
下手にたくさんの問題に手を出すよりも、こういう厳選された問題にじっくりと取り組む方が良いと思います。

数学III+Cの問題集

数学IIIは、理系大学を受験する人には切っても切れない科目です(看護系などは必要ありませんが)。国立大の理系入試では問題の半分くらいが数学III内容という大学もめずらしくありません。しかし、その割には問題集の選択肢が少ないというのがネックです。また、数学IIIの履修タイミングを考えると、問題数があまりにも多いものは現実的な選択肢とは言えません(浪人生の場合は有益ですが)。案外、数学IIIの参考書選びは大変です。

数学III 重要事項完全習得編(河合出版)※旧課程

数学IIIの基礎固めとして使いやすい参考書を紹介しておきます。これは「文系の数学」の数学IIIバージョンといった位置付けになります。数学IIIを学ぶ上で欠かせない問題を一通り取り上げてあります。例題がちょうど100題に収まっているので、数学III全体をざっくりと勉強したい人や、分厚いのが嫌いな人にはうってつけです。難関大を受験する人以外は、正直この1冊で数学IIIは十分と言えます。解説もシンプルですが十分なものとなっています。

塾長
このレベルの問題をしっかりと理解して解けるように準備しておくことが大切ですね

標準問題精講(旺文社)

標準問題精講シリーズの中でも、数学IIIは若干レベルが高めに設定されています。その分、解説がよく書かれています。「研究」の部分はいろいろと興味深いことも書いてあるので必読です。

こちらも分野別があり、とくに高校生が苦手な2次曲線と複素数平面を取り上げています。

標準問題精講は国立大の入試で合否をわけそうな問題が中心であり、難関大受験者はしっかりと解ききれるようにしておきたい問題ばかりです。とくに微積分の問題は厳選されており、非常に興味深い問題がたくさんあります。簡単に解ける問題はありませんが、しっかりと考えて取り組むと相当の実力がつくでしょう。

塾長
難しい問題も含まれてるけど、良問揃いなので実力はつくハズ

ハイレベル 数学IIIの完全攻略(駿台受験シリーズ)

数学I+A+II+Bでも取り上げた問題集の数学III版です。問題数は少ないのですが、1問ごとにアプローチ・解答・フォローアップという構成は同じで、じっくりと解説を読み込んでいくとかなりの実力がつくでしょう。ただし、ハイレベルというだけあって骨のある問題が並んでいます。難関大を目指す人以外は必要ありません。また、ある程度の実力が身についていないとキツく感じると思います。解説を読んでみて難しく感じる人は手を出してはいけません。

まとめ

結局のところ、参考書や問題集は「自分に合っているかどうか」が重要になります。また、完璧な問題集というものも存在しません。それぞれに長所や短所があります。必ず自分の目で確かめることが大切です。

また、参考書をどう使えばいいかということを聞かれることもあります。よくあるのが「何周すればいいですか」という質問です。おそらく、そういう人はあまり成績は伸びないと思います。「◯周すること」「終わらせること」が目的にならないように注意してください。

方法はどうであれ、参考書や問題集を使うのは、自分に欠けているものを補い自分のものにするためです。その目的さえしっかりとしていれば、あとはどのように使用しても良いと思います。

  • 参考書は自分に合ったものを自分の目で確かめて選ぼう
  • 参考書を終わらせる・周回することが目的にならないように自分自身の目的をしっかりと定めよう
塾長
結局、〇〇を使ったら〜大学のレベルはクリアなんていう話は何の根拠もない都市伝説みたいなものです。そんなヘンテコな情報に振り回されるのではなく、もっと自分のことを考えてください。いまの自分に欠けているものは何だろうか、それを補うには何をしたらいいだろうか、そういうことを考える方がよっぽど価値があることですよ。そうやって、自分が求めるものを明らかにしてから参考書や問題集を選ぶのが大切なのです。
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