実数と複素数の絶対値

絶対値に関する混乱はかなり多く見られます。定義が曖昧になっている人が多く、そのような人はとんでもない答案を作ってしまうことがあります。今回は複素数の分野での話です。

問題
複素数 $z$ は $|z-1|=1$ を満たし、$z^3$ は実数になる。このとき $z$ を求めよ。

とくに難しい問題ではないのですが、以下のような答案を見て腰を抜かしたことがあります。

$|z-1|=1$ より $z-1=\pm1$であるから、$z=0,\ 2$

確かに、絶対値の定義として最初に登場するのは

$$|x|=\begin{cases}x&(x\geqq 0)\\-x&(x\leqq 0)\end{cases}$$

です。これはこれで間違いではないのですが、この定義は $x$ が実数のときの話です。

複素数については次のように定義されます。

複素数 $z=x+yi$ ($x$、$y$ は実数)の絶対値とは $$|z|=\sqrt{x^2+y^2}$$

また、複素数においては $|z|^2=z\,\overline{z}$ も大切です。この複素数の場合の定義において $y=0$ とすると実数の話になります。その場合には、

$$|z|=\sqrt{x^2}=\pm x,\quad |z|^2=x^2$$

なので、実数の場合と一致します。こうしたことを自分で一度確認してみることはとても大事です。

また、距離という観点から絶対値を捉え直してみることも重要です(数学IIIの複素数平面で扱います)。

しかし、数学が苦手な人は表面的な数式ばかりを追いかけてその数式を当てはめるだけで終わる人が多いようです。

この生徒に話を聞いてみると、案の定「絶対値ってなんかこういうのがあったなあと思って・・・」という典型的な言葉が返ってきます。

入塾したばかりの生徒にはこういう生徒がたくさんいる(進学校の生徒でさえ!)ので、1つ1つ訂正していかないといけません。こういったテキトーな知識が増えてしまうと、それを訂正するだけでもかなりの時間がかかってしまいます。

どうして、こうなってしまうのか原因はたくさんありますが、やはり適切な指導を受けられていないという部分が大きいのではないかと思います。

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