今日から二次試験対策の特訓を始めた。
数学IIIの問題でベータ関数にまつわる問題を扱ったのだけど、階乗の計算で手こずる生徒が案外多かった。
$n$ の階乗は、$n$ から1までのすべての整数の積である。これは当たり前のこととして頭に入っていてほしい。
扱ったベータ関数の問題の途中で、次のような式が現れる。
\begin{align*}\displaystyle \frac{n}{m+1}\cdot\frac{n-1}{m+2}\cdot\,\cdots\,\cdot \frac{2}{m+n-1}\end{align*}
この分子については、生徒のほとんどが $n\,!$ とまとめることができていた。$n$ から2までの整数の積だが、1はあってもなくても同じだ。
問題は分母の方である。これを階乗で表すことが目標になるのだが、案外できない人が多い。
\begin{align*}(m+1)(m+2)\cdots(m+n-1)\end{align*}
なので、$m+1$ から $m+n-1$ までの整数の積になっている。このままでは、階乗で表すことができない。
そこで、1から $m+n-1$ までの整数の積とするために、次のように$1\cdot 2\cdots(m-1)m=m\, !$ を付け加える。
\begin{align*}1\cdot 2\cdots(m-1)m(m+1)(m+2)\cdots(m+n-1)\end{align*}
これで、1から $m+n-1$ までの整数の積となり、$(m+n-1)\,!$ と表すことができる。
ただし、勝手に付け加えた分の帳尻を合わせなくてはいけないので、分子に $m\,!$ をかけておく。つまり
\begin{align*}\displaystyle \frac{n}{m+1}\cdot\frac{n-1}{m+2}\cdot\,\cdots\,\cdot \frac{2}{m+n-1}=\frac{m\,!\, n\,!}{(m+n-1)\,!}\end{align*}
ときれいな形にまとめることができる。
まあ、一度経験しておかないと難しいかもしれないが、こうした計算を苦手とする人は多いようだ。
「ちょっと汚いから都合よくキレイにして、あとで調節するか」という変形は、数学では結構よくやるものなので、こうした式の観察力はしっかりと養っておこう。