数学を教えていると、ヘンテコな質問を受けることがよくある。
典型的なのは「〜したらできますか」というタイプの質問である。
例えば、最大や最小を考える問題でグラフを用いて解いたりする。
このときのグラフというのは、最大・最小を見るための1つの道具に過ぎない。
そういうことは強く強調しているのだけど、それでも伝わらない人もいる。
なので、「最大最小ってグラフをかけば解けますか」なんて質問が来たりする。
もちろん、グラフを使えば解きやすい問題はあるかもしれない。
でも、グラフをかくのが難しい場合だってあるわけだ。
そんなときは、不等式作れないかなあとか色々考えなければならない。
そういうのをあれこれ試して考えるのが数学の面白さの1つだと思うんだけど。
「〜したらできる・解ける」というのは、手っ取り早く点数を取りたい人にはいいかもしれない。
でも、そこには「考える」という時間がまったく入っていない。なので応用が利かないことが多い。
実際にちょっと問題を変化させて与えると、途端にできなくなってしまう人は多い。
同じ最大・最小を考える問題なんだけどなあ、と残念な気持ちになる。
同じ感じで「チャート式を5周したらどこでも受かる」という学校の先生もいるらしい。
そして、それを素直に信じてやった結果、定期テストは点数取れるけど、応用問題(というほどのものではないけど)は全然できませんという人が量産されている。完全に思考停止状態だ。
もちろん、そんな状態で数学が面白いものだなんて思えないだろう。
あれこれ考えた結果の「ああ、そうか、なるほど」という実感がないとダメなのである。
まあ、「〜したらできる」ってのは入試の範囲に限って言えばいくらかはある。
でも、そんなもの、巷の問題集に腐るほど書いてある。わざわざ俺に聞くもんじゃないわな。
俺の方針にも反するものだし。
そんなわけで「めちゃめちゃ考える」ってことを大事にしてもらいたいなと思うのである。