連立方程式について考える

解けることと理解していることとはどう違うのか。

よく「分かるからできるへ」なんていうフレーズを使っている人がいるが、だいたいの場合、この手の人は「分かっていない」人が多いように思う。だから「分かるからできるへ」ではなくて「分かるをすっ飛ばしてできる」となっている場合が多いのではないだろうか。

これが顕著な例は、中学数学で習う連立方程式である。高校数学でも連立方程式は出てくるし、共通解の問題というのもある。

この手の問題は、練習を積んで解けるようになっているという人も多いだろう。中学生なら、連立方程式の計算問題はたいていの人が解けるようになっている。高校生の場合でも、模試の偏差値が65超えてる人なら共通解の問題はサクッと解ける問題だと思う。

連立方程式 $$\begin{cases}3x+4y=2&\cdots(1)\\5x-2y=12&\cdots(2)\end{cases}$$ を解け。

このような問題が出たら、次のように解く。

(1)から$$x=\frac{2-4y}{3}\quad \cdots(3)$$
(3)を(2)に代入して$$5\left(\frac{2-4y}{3}\right)-2y=12\quad \cdots(4)$$
(4)を整理して$$-26y=26\quad \cdots(5)$$
したがって$$y=-1\quad \cdots(6)$$
(6)を(3)に代入して$$x=2\quad \cdots(7)$$
よって、求める解は \(x=2\)、\(y=-1\) である。

とくに、問題はないだろう。では、なぜこの方法で解が求まるのかをきちんと理解できているだろうか。
この部分に突っ込んでマトモな答えが返って来る人はどれくらいいるのだろうか。
おそらく、多くの人が「こうやったら解が求まる」くらいにしか思っていないのではないか。

正しく説明すれば次のようになる。

(1)と(3)は同値である。

ゆえに \(\begin{cases}(1)\\(2)\end{cases}\) と \(\begin{cases}(3)\\(2)\end{cases}\) は同値である。

また、\(\begin{cases}(3)\\(2)\end{cases}\) から \(\begin{cases}(3)\\(4)\end{cases}\) を導き出せる。

逆に、\(\begin{cases}(3)\\(4)\end{cases}\) において、(4)の\(\displaystyle \frac{2-4y}{3}\) に(3)を代入すれば(2)となるので、\(\begin{cases}(3)\\(4)\end{cases}\) から \(\begin{cases}(3)\\(2)\end{cases}\) が導かれ、\(\begin{cases}(3)\\(2)\end{cases}\) と \(\begin{cases}(3)\\(4)\end{cases}\) は同値になることが分かる。

(4)は(5)、(5)は(6)と同値なので、\(\begin{cases}(3)\\(4)\end{cases}\) は \(\begin{cases}(3)\\(6)\end{cases}\) すなわち

$$\begin{cases}x=\frac{2-4y}{3}&\cdots (3)\\y=-1&\cdots(6)\end{cases}$$

と同値になり、これは

$$\begin{cases}x=\frac{2-4\cdot(-1)}{3}=2\\y=-1\end{cases}$$

と同値である。

よって、\(\begin{cases}(1)\\(2)\end{cases}\) と\(\begin{cases}x=2\\y=-1\end{cases}\) は同値である。

 

そんな面倒なこと考えなくても答えが出てるからいいじゃないか、という人もいるだろう。

もちろん、この問題を解くのにいちいち同値の確認をすることはしないのがふつうだろう。

ただ、このような同値変形から導かれることも理解せずに「分かった」とは言えないのではないか。

「数学は云々」と語る人は業界にも多いが、本当に分かってんのかなあと思うこともよくある。

そういう先生に教わると、生徒が変な方向に向かってしまいかねない。

たかが連立方程式だけど、高校生には是非とも1回その理屈を考えて見てほしいなあと思う。

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