答案の添削をしていると、様々な生徒の文字を目にすることになる。
美しい字で書かれた答案もあれば、象形文字のような判読が難しい字で書かれた答案もある。
綺麗な字で書かれているに越したことはないが、字が汚いからという理由で減点をすることは基本的にない。
ただし、判別ができない場合には減点することもある。まあ、これは超レアなケースであるが。
人によっては、美しい文字で答案を書くことをやたらと強調する人もいる。以前の自分もそうだった。「入試では綺麗な字が有利だ!」なんていうホラを吹く人もいたりする。
でも、採点業務を自分でやるようになって「文字の美しさはほとんど意識しない」ということに気づいた。
汚くても、きちんと判別できる文字であればさほど気にならないものである。
美しい文字で書かれた中身がめちゃくちゃな答案と、汚くても論理的に書かれた答案では、後者の方が圧倒的に読みやすいのである。表面的な綺麗さというのは、とくに数学においてはあまり意味を持たない。
ノートの文字についても、あまりに汚いものは「もう少し綺麗に書いたらいいんじゃない」くらいのことは言うが「全部消して書き直せ」なんていうことは言わない。そもそも、ノートに関しては後で自分が判読できれば十分なのである。
「自分で書いた文字が分かりません!」なんていう生徒もごく稀に存在するが、そういう人は、もう少し丁寧に書けばいいだろう。
ただし、字を丁寧に書くということに意識が行き過ぎると、肝心の思考のスピードまで落ちてしまうことがある。
字の汚い生徒には、思考スピードが速いという特徴があるように思う。頭の回転と手の動きが一致しないために、字が汚くなるという仕組みなんだろう。そういう生徒に「もっと丁寧に書け」と指導するのはあまり良くないよう思う。まあ、他人が判別できる程度の文字にはしておこうねっていうくらいだ。
気分的には、綺麗な文字の方がいいなと思うこともあるけれど、それは本質とは別の問題なので、字が汚いので減点というのは少しおかしな話だなと思う。
そもそも、美的感覚ってのは人によっても異なるし、草書体で書かれてたら俺は綺麗でも読めないわけで(笑)
あまり、文字のことで神経質になりすぎるのは良くないと思うのである。