現在、中学3年生は2次関数の応用をやっているところです。
この範囲では放物線と直線が2点で交わる設定の問題が出てきます。下図のような問題ですね。
ここに三角形が絡み、その面積を求めるような問題が高校入試ではよく出題されます。
数年ほど前にこのような出来事がありました。
と話を振ってみると、当時のとある生徒が間髪入れずに
なんて答えてくれるのです。「おおっ!こりゃよく勉強しとるな!」と思って「それ、どうやって考えたん?」と聞いてみたわけです。
え? 違うの?
てな感じのリアクションが返ってきたわけです。よくよく話を聞いてみると、学校でいきなり
「このときの直線の傾きは \(a(p+q)\) になります」
と教えられたそうです。「ああ、またか・・・」なんて思いながら、なんでそうなるかを説明し直した記憶があります。
こういうのって、生徒には「え?なんでそんな風に求められるの?」という疑問を感じて欲しい部分なんですよね。本当にそうなるかどうかを自分の手と頭を使って考えるのが大事なわけですから。
まあ、こういう話は毎日のように起こっているので、特段驚くようなことではないのですが、最も印象的だったのが次のような話です。
その時は、誰も傾きの話を知らなかったので、あれこれとヒントを出しつつ、生徒に考えてもらったわけです。何人かの生徒は \(a(p+q)\) になることを見つけられたようで、「へ〜!こんな風に求められるんや!」というリアクションがありました。
一方で、手も足も出ないというような生徒もいたので、
と説明をしたわけです。
中学校では変化の割合というものを使って直線の傾きを考えるので、\(\mathrm{A}(p,\ ap^2)\)、\(\mathrm{B}(q,\ aq^2)\) であることを考慮して
\begin{align*}\frac{ap^2-aq^2}{p-q}&=\frac{a(p^2-q^2)}{p-q}\\&=\frac{a(p+q)(p-q)}{p-q}\\&=a(p+q)\end{align*}
という感じで求められます。
まあ、こんな感じで説明(実際はもっといろいろ説明しましたが)をして、一通り話が終わったところで
という質問をしてきた生徒(夏期講習から参加)がいました。
みたいに答えたのですが、その生徒は不満そうな顔をして
というちょっとした堂々巡りのような状況になったわけです。
私としても「なんか説明がまずかったかな?」なんて思いながら個別であれこれと聞いてみたのですが、どうやらその生徒は「数学の問題の答えは何らかの値」だと思い込んでいたのです。これには軽く衝撃を受けました。
「じゃあ、中2の証明問題とかは疑問に思わなかったん?」と聞くと「あれは証明せよって問題なんで」とあっけらかんと答えるわけです。こんな感じで、根本から何かを勘違いしている生徒もいたりするんです。
こういうケースは稀ですが、「そういうのもあるんだな」という貴重な経験となりました。
とはいえ、どこでどう間違ったらそういう認識になるのか、いまだにちょっとしたミステリーです。