昨日は第3回石川県総合模試が実施されました。
テスト後に復習をやりにきた生徒たちに聞いてみたら「数学がなあ」という感じだったので、どんなもんかなと思って実際に解いてみました。
と、落ち込んでいる人もいるかもしれませんが、まだ10月です。
これから伸びる可能性は十分にあるので、まずはきちんと復習をやっておいて欲しいなと思います。
昨日も書きましたが、総合模試の数学を50分で完璧に解ききるには相当の実力がないと難しいでしょう。
制限時間がなければ解けていたという人もいるはずなので、まずは時間無制限でアレコレ考えてみて欲しいなと思います。
問題そのものはよく作られた問題が多いので、きちんと理解しておけば実力アップにつながりますよ!
というわけで、簡単に感想でも書いておきましょう。
概観
大問7、小問18、まあだいたいいつも通りの問題数です。
前半は方程式や関数などの計算が中心となる問題、後半が図形の問題とバランスよく作られています。
問題も難問・奇問の類はなく、入試標準レベルのいい問題が揃っています。ただし、各大問いずれも時間がかかるものが多いので、時間内ですべて解くにはスピードがかなり要求されます。
全体的な難易度:やや難
各問題の概要
大問1
内容:小問集合
難易度:易
ここは上位を狙う人は満点を狙いたいところです。日常的に数学の勉強に取り組んでいる人であれば、難しい問題は1つもないはずです。
計算ミスが多いという人は、闇雲に計算練習をするのではなく、自分の癖を知ることが大切です。計算ミスの場合、途中式を書きすぎてミスしてしまう人と、書かなすぎてミスしてしまう人がいます。それぞれに合わせて練習を工夫してみてください。
大問2
内容:方程式
難易度:易
100円の鉛筆と50円の消しゴムをあわせて15個買ったら1150円になった、という問題が分かっていれば解けます。
大事なことは表を見て値段を確認するということです。数字しか見ないような人は間違えますよ。
模範解答はごちゃごちゃ書かれていますが、80gの荷物を $x$ とすると
\begin{align*}
140x+380(15-x)=3060
\end{align*}
より、$x=11$ ですね。
連立してもいいですが、これくらいなら文字は1つでいいでしょう。計算もラクです。
大問3
内容:関数
難易度:標準
グラフが表しているのが「2人の間の距離」であることがポイントです。
まずは、時速40kmの車と時速80kmの車が同じところから出発して2時間後に2つの車の位置は何km離れているか、という問題が理解できているかどうかがポイントです。
速度の差を考えていかないといけないので「みはじ」などに頼っている人は解けない可能性があります。
「弟の速度$>$兄の速度」であれば2人の間の距離は大きくなり、「弟の速度$<$兄の速度」であれば小さくなるという速さの感覚が大事です。
大問4
内容:規則性
難易度:標準
こういう規則性の問題が苦手な人もいると思いますが、まずは具体例をきちんとかいて確認するということをやってみて欲しいと思います。図2の続きをかいてみて周期性や対称性に気づけたらOKですね。
1周期が6個の図形の並びと考えると、あとはこれを繰り返すだけとなります。周期が分かれば、割り算の問題にすり替えてしまうと簡単です。6個のカタマリがいくつで余りがいくつかを考えていくといいでしょう。
大問5
内容:作図
難易度:易
作図の問題については、以前にもちょっと記事を書きました。
塾長そういえば、世の中は三連休なんだってよ〜今日は自習室もほぼ満席となっております。いや〜、喜ばしいですね。うひひ。生徒が多いとテンションも上がってしまうわけですが、調子に乗って、生徒から「邪魔!」と言われる[…]
この問題は、$\displaystyle \triangle \mathrm{ACP}=\frac{1}{3}\triangle \mathrm{ABP}$ という面積比から、PはBCを $3:1$ に内分する点となることがわかります。つまり、BCを4等分することに気づけばカンタンです。
大問6
内容:平面図形
難易度:やや難
塾生が苦労したと言っていたのがこの問題の(3)ですが、実は三平方の定理を知っていると5秒で解けます。興味がある人は教科書のちょっと先を読んでみるといいでしょう。
さて、回転移動の問題ですが、回転の場合には回転の中心と、各点の移動元と移動先をつなぐ円弧に着目してみると、移動の様子が視覚的に把握できます。これを考えるのが(1)の問題でした。おうぎ形の面積公式を忘れた!なんて言う人がいそうですが、おうぎ形の面積公式なんて覚えるもんじゃありませんよ(笑)
(3)では、(2)の結果である $\triangle \mathrm{ABG}\equiv \triangle \mathrm{GFH}$ から、$\mathrm{FH=BG}$ となるで、直接FHを考えるのか、あるいはBGを考えるのか、2つの方向性を持って考えていきたいところです。また、このとき、$\mathrm{AG=GH}$ であることも押さえておきましょう。(2)がヒントになるという意識を持っておくことは大事ですよ。
結局は、$\triangle\mathrm{BFG}$の面積が$\displaystyle \frac{21}{2}$という面積の条件から線分の長さを求めていくという問題です。面積と線分をつなぐものとしては、面積公式や高さを共有する三角形あたりが思いつけばいいでしょう。他にもいろいろありますが、こうした対応を日頃の勉強でも意識しておきたいですね。
地道に考えると $\mathrm{FH}=\mathrm{BG}=x$として、まずは$\triangle \mathrm{ABC}$(面積を直接求められます) と $\triangle \mathrm{ABG}$ という高さを共有する三角形に着目して、$\mathrm{BC:BG}$ から $\triangle \mathrm{ABG}$ の面積を $x$ を用いて表します。この $\triangle \mathrm{ABG}$ の面積と $\triangle \mathrm{GFH}$ は等しくなります。次に、これまた $\triangle \mathrm{FGH}$ と $\triangle \mathrm{FBG}$ という高さを共有する三角形を考えると、面積比は$\mathrm{GH}$ と $\mathrm{BG}$ の比に一致します。
大問7
内容:空間図形
難易度:標準
空間図形も苦手だという人が多いのですが、まあ、豆腐でも切り刻んでいろいろ考えて欲しいところです(笑)
これを言うと冗談を言ってるように思われるのですが、頭の中でごちゃごちゃ考えるよりも、実際に立体を作って切断してみたりする方が圧倒的に実感を得られますよ。
さて、空間図形の問題としては頻出の問題でした。ある程度のレベルの問題集であれば必ず掲載されている問題です。(3)は高さを求める問題ですが、直接高さを求めるのは難しいので、一旦、底面を違うところ($\triangle \mathrm{ACD}$)でとって体積を求め、その後で底面を変えて($\triangle \mathrm{PCD}$)高さを求めていきます。
図を描いてみることは大切ですが、その図にとらわれ過ぎてしまうのはよくありません。こういうのも、普段の練習の時にいろいろやってみる経験を持っていることが生きてきますね。
まとめ
金大附属・泉丘などの上位校を狙う人なら8割以上は取りたいところです。二水や桜丘を志望している人は6割以上が目安になるかなあという感じです。1つ1つの問題は時間を十分にとって考えれば、そこまで難しくありませんが、50分という制限時間を考えると、難易度はやや高めと言えるでしょう。
気をつけたいのは、時間が足りないからという理由で素早く答えを出す方法に安易に走らないことです。表面的な解法を覚えただけで理解したつもりになるのは非常に危険ですし、そういう方法で数学を学んでいくと高校入学後に苦労することになります。
実際に、今回の問題でも、飛び道具のような公式や解法はほとんど必要ありません。日頃から、時間をかけて考えることをやっていれば、自然と気付けるようなヒントが与えられています。
高校生を指導している立場としては、点数が悪いからといって、下手なアドバイスを鵜呑みにしておかしな方向に向かうことのないように気をつけてもらいたいです。