確率が苦手ですという生徒が多いのですが、生徒の考えていること、やっていることを観察していると「こりゃマズイな」っていうことがたくさん起こっています。
この問題の解答は、$\displaystyle \frac{{}_6\mathrm{C}_1\cdot {}_4\mathrm{C}_1}{{}_{10}\mathrm{C}_2}$ となっていました。
という感じで質問にやってきた生徒がいました。
と聞いてみたのですが、${}_{10}\mathrm{C}_2$ は10個から2個取り出す組合せの総数と分かっているようですが、分子の計算がよく理解できていない感じでした。
場合の数や確率では、Cを使うかPを使うかみたいな思考で固まってしまっている生徒が多いのですが、最初からCやPが決まっているわけではありません。また、CやPを使わなければならないということもありません。
実際、この問題でも白玉を1〜6、赤玉を7〜10と番号を振って考えてみます。
白玉1個と赤玉1個を取り出すためには、数字の組としてどのようなものがあるかカウントしてみましょう。
まず、白玉として1を取り出したときには
\begin{align*}
(1,\ 7),\ (1,\ 8), \ (1,\ 9),\ (1,\ 10)
\end{align*}
という4パターンが考えられます。
白玉として2を取り出したときには
\begin{align*}
(2,\ 7),\ (2,\ 8), \ (2,\ 9),\ (2,\ 10)
\end{align*}
と、これまた4パターンです。
こうやって書き出せば、あとは白玉が3〜6の場合でも同じようにカウントできることが分かります。
つまり、白玉1〜6の6パターンについて、それぞれ4パターンの赤玉が対応することになります。
樹形図でやってみるともっと分かりやすいかも知れません。
というわけで、白玉1個と赤玉1個を取り出すパターンは全部で $4\times 6$ パターンとなります。これで、解答の $\displaystyle \frac{{}_6\mathrm{C}_1\cdot {}_4\mathrm{C}_1}{{}_{10}\mathrm{C}_2}$ と同じになります。わざわざCなんて使わなくても、単純な計算で求められます。
最初から「〜場合はC」とか「〜のときは掛け算」などという枠組みで捉えようとする生徒が多いのですが、まずは具体的に数えてみるということが大事です。
こういうことをやらずに、いきなりCだのPだのに「当てはめる」ということをしている生徒が多いため、結局自分が「何をやっているのか」ということを分からずに計算しているようです。
これは最近の高校生全般にわたって見られる傾向ですが、場合の数や確率ではとくにそういう傾向が顕著なので気をつけたいですね。