中学3年生は現在、円周角あたりをやっています。
円周角の範囲の問題は、角度を求めるような問題ばっかり出てきて退屈なので、昨日は証明問題をやってみました。
(1) $\mathrm{AB}$ が直径であるとき
(2) $\angle\mathrm{BAT}<90^\circ$ であるとき
(3) $\angle\mathrm{BAT}>90^\circ$ であるとき
いわゆる「接弦定理」などと呼ばれる定理の証明です。結果は知っていても、いざ証明しようとなるとできないという人が多いので困りものです。実際に生徒にやってもらいましたが、きちんと証明できた生徒はごく少数でした。証明は苦手だという中学生は多いようです。
中学生に証明問題をやってもらうと、いろいろとヘンテコなことが起こります。
証明を学ぶのは中学2年生の三角形の合同のところです。そのため、三角形の合同の証明問題はできる生徒が多いのです。しかも、気持ち悪いくらいに全員が同じような答案になります。
これは「証明の書き方」みたいなものを教わるからだと思うのですが、マズい点の1つは、その書き方がキーワードマッチングのような感じになってしまっているということです。どういうことかと言うと
「AならばB」においてAが仮定、Bが結論である
ということを前提に「ならば」というキーワードを探す生徒が結構いるということなんです。そうして「ならばの前が仮定だから、まずはこれを書いて・・・」という感じで証明問題をやるものだと思っているのです(んなアホな!)。
そうすると、この問題では「仮定がない!」となり、どう考えればいいか分からないとなる生徒がいるのです(んなアホな!)。こういう案件は、ここ10年くらいの間にどんどん増えております。
AならばBだとか仮定だとか結論だとか、もちろんそういうのも知っておくに越したことはありませんが、大事なことは「決まっているものは何か」ということと「求めるもの・示すものは何か」を確認することです。この問題であれば、「ATは円Oの接線」ということが決まっており、そこから $\angle\mathrm{BAT}=\angle\mathrm{APB}$ を示すわけです。
このようにしてスタートとゴールを確認して、あとはその間の道筋を考えていくだけです。そして、この道筋を考えることが証明のいちばん大事な部分なわけです。つまり、
仮定が大事なのではなく過程が大事
仮定や結論を考えるだけで終わってしまっているのでは意味がありません。そこから、道筋を考えていくことに頭を使ってもらいたいわけです。
分かっていることからさらに導けるものはないかなあ、とか、結論をいうためには何が必要かなあ、と前からも後ろからも攻めていくわけです。突撃マンになってはいけません。
その際に「何でもいいからテキトーにやってみよう」という人もいます。何もやらずに「分からんわ」と言っているよりは100倍いいのですが、テキトーにやってしまっていると「なぜ上手くいったのか」「なぜダメなのか」という点が曖昧になりがちなので、何かしらの根拠をもとに進めていきたいですね。「三角形の内角の和を考えたいからここに補助線を引いてみよう」みたいな感じだとGOODです。
この問題だと、円の接線の性質から $\mathrm{OA}\perp \mathrm{AT}$ が得られますが、そこから先へ進めていくときにテキトーになってしまう人が多いようです。こういう当たりがつけにくい部分が大事な部分です。
どういう部分に着目するといいのか、それはなぜか、ということを1つ1つ確認していくと繋がりが見えてくると思います。
なお、当たり前のことですが道筋を切り開くためには「正しいと分かっていること」しか使ってはいけません。「なんか直角っぽいし、直角ってことでええやろ!」では証明になりませんよ〜。
試験に証明問題がそのまま出ることはないかもしれませんが、証明を考えてみることは数学の力を伸ばす上でとても大事なことです。たまには、自分で取り組んでみると思わぬ発見があるかもしれません。