数列の $\Sigma$ 記号のところで次のような公式が登場します。
\begin{align*}
\sum_{k=1}^{n}k&=\frac{1}{2}n(n+1)\\
\sum_{k=1}^{n}k^2&=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\\
\sum_{k=1}^{n}k^3&=\left\{\frac{1}{2}n(n+1)\right\}^2
\end{align*}
例によって結果だけを丸暗記しようとする人もいるようですが、それではもったいないですね。
そもそも最初のやつなんて公式というより等差数列の和なんですが、授業で説明して初めて「あ、そうなんだ!」みたいになる生徒もいるので腰から崩れ落ちそうになります。
\begin{align*}
\sum_{k=1}^{n}k=1+2+3+\cdots+n
\end{align*}
と $\Sigma$ を外して考えたら当たり前ですね。
$k^2$ については、教科書で $(k+1)^3-k^3$ から証明されています。
$k^3$ も同様に $(k+1)^4-k^4$ を用いて証明されています。
この「ずらして差をとる」という手法は数列ではかなり活躍します。で、そのままやったら面白くないので授業では
\begin{align*}
(k+1)^3-(k-1)^3
\end{align*}
から証明してみるというのをやりました。
&\sum_{k=1}^{n}\{(k+1)^3-(k-1)^3\}=(n+1)^3+n^3-1^3-0^3\\
\Longleftrightarrow\ &\sum_{k=1}^{n}(6k^2+2)=2n^3+3n^2+3n\\
\Longleftrightarrow\ &6\sum_{k=1}^{n}k^2+2n=2n^3+3n^2+3n\\
\Longleftrightarrow\ &\sum_{k=1}^{n}k^2=\frac{2n^3+3n^2+n}{6}=\frac{n(n+1)(2n+1)}{6}
\end{align*}
最初の $(k+1)^3-(k-1)^3$ は展開して整理すると $6k^2+2$ になります(左辺)。
また、$k$ に $1$ から順に $n$ まで放りこんでいくと
\begin{align*}
\{2^3+3^3+\cdots+(n+1)^3\}-\{0^3+1^3+\cdots+(n-1)^3\}
\end{align*}
となりますが、間の項がキャンセルされて
\begin{align*}
(n+1)^3+n^3-1^3-0^3
\end{align*}
だけ残ります(右辺)。あとはこれを変形していくことで $k^2$ の公式が得られます。
ちなみに、$k^3$ も $(k+1)^4-(k-1)^4$ から同じように導けます。そして、当然ながら $k^4$ や $k^5$ も同じように導けます。計算は面倒ですが。
右辺を考えるときに、書き並べてみると「間の項がキャンセルされる」というのが面白い部分です。ずらして差をとることで、上手く調節できるんですね。
こうしたアイデアに素直に感動できるかどうかは大事です。感動するためには、ただ証明を読んでもあまり効果はないですね。やっぱり、自分であれこれとやって「上手くいかないなあ」という経験があってこそだと思います。