5月もそろそろ終わり、高校では総体のためにガチャつく時期になりました。
毎年この時期は高1生の初の中間テストが終わって、あれこれと質問を受けることになります。
とくに保護者の方から「こんな点数で大丈夫でしょうか?」といったメールを受け取ることが増えます。
前回の記事でも定期テストについて触れています。
塾長5月の中旬から下旬にかけてのわずかな期間が1年でもっとも過ごしやすい時期だなと感じる塾長です。あとの時期は基本的に死んでます(笑)春は花粉症でツラいし、夏は夏期講習で干からびてるし、秋は「夏が終わるよ〜」と悲しい気持ちに[…]
そんなわけで、今日はもうちょっとだけ定期テストについて掘り下げておこうかなと思います。
定期テストはどんなものか
テストが終わって以来「定期テストの成績が悪かったので親にこっぴどく叱られました」なんて沈んだ顔で塾へやってくる生徒もいます。
とくに高1生の最初の定期テストというのはいくらでも下駄を履かせることができるので高得点者が続出します。生徒に聞いたところでは、平均点が80点なんていう数学のテストもあるようです。
そうした状況であれば70点であっても「よくない点数」に見えてしまうものです。
しかし、実際にきちんとできているかどうかは、答案をチェックして生徒から直接話を聞いてみないと分からないものです。
定期テストの場合、問題の量がかなり多くなります。学校によって試験時間はバラバラなのですが、ほとんどの高校の定期テストは「まともに考えてやっていると時間内には解ききれない」問題量になっています(70分で大問が14個なんていう恐ろしいテストも見たことがあります)。
そのため、問題を見た瞬間に「あ、これ〇〇ゼミでやった問題だ!」的に解法を思い出せないと試験時間的に高得点を取るのが難しくなるわけです。
まず、このことを認識して欲しいのです。
「定期テスト=簡単」は問題の難易度的には成り立つのですが、時間的には結構シビアなテストということです。
ちなみにこれは某高校の定期テストの模範解答(裏面もあります)です。
実施時間は80分なので、反射的に答案を書けるようでないと全問解ききるのはなかなか難しいと思います。
もちろん、考え込まなくても処理して欲しいなというレベルの問題(単純な計算や作業)も含まれています。そうした問題で時間を取られている場合には勉強不足と考えていいでしょう。とはいえ普通にやってみると7〜8割くらい解いたところで時間切れになりそうだな〜というテストが多いように思われます。
一方で、きちんと理解をしている人であれば特段の対策を講じなくても7割程度の得点が可能なテストでもあるとも言えます。
結局、定期テストでは
が問われているということです。
こうした能力がまったく必要ないというわけではありませんが、それだけで数学の実力があるとは言えません。典型問題を素早く解く力というものが仮に数学の能力に含まれるとしても、それは非常に限定された特殊な学力でしかありません。
つまり、定期テストの点数が数学的な能力を保証してくれるわけではないということです。
また、点数が良くないからといって、努力不足だのセンスがないだのと決めつけるのもおかしな話です。
最初に述べたように、答案を細かくチェックしながら生徒本人からあれこれ聞いてみないと、実際にどの程度まで理解できているかを把握するのは難しいのです。
したがって、表面的な点数だけを見てアレコレと判断するのは良くないということです。
テスト対策はどうするか
定期テスト近くになると、部活が休みになりいわゆるテスト期間というものに突入します。そうなると「もうすぐ定期テストだな」とボチボチ定期テストの勉強を始めるという人も増えます。
テスト期間をどう使うかは人それぞれなので「テスト勉強をしなければならない」というわけではありません。
私は、テスト期間は比較的時間が取れるのでテスト勉強はほどほどに(手抜きしてた科目だけやる)、自分に必要な勉強をテストと関係なくやっていることが多かったです。
では、みなさんはどんな感じだったでしょうか?
- テスト期間はダラダラ過ごして点数が壊滅的に悪かった人
- 定期テスト対策をばっちりやって高得点だった人
- それなりに勉強してそれなりの点数だった人
- とくに何もしてないけど高得点だった人
いろいろなタイプの人がいるとは思いますが「何もせずに壊滅した」という人は論外です。さようなら。
実は上記の中で私がもっとも心配するタイプは2番目のタイプです。
定期テストで点数を取るために多くの人がやっているのは、テスト範囲の教科書傍用問題集を繰り返しやるという方法です(いわゆる定期テスト対策というやつです)。
指導者によっては「サクシード(などの問題集)をテストまでに5周しろ」といったことを言う人もいますし、そうした課題が出される高校もあります。
実際に解法を覚えるまで繰り返しやっておけば、先ほどの「〇〇ゼミで・・・」状態になれるので高得点が期待できます。
現状の定期テストを見ていると「とにかく覚えたもん勝ち」という状況になっている感じは否めないため、点数に関して下駄を履かせたいのであればこのような指導をやって、とにかく覚えさせてしまえばいいのです。
個人的には繰り返しやることそのものには反対しませんが、「とにかく繰り返しておけばOK」という考え方には断固反対しています。
こうした指導の場合、適切な指示が適切なタイミングでなされていれば問題はないのですが、生徒に聞く限りでは「やっておけ」というだけで細かなチェックが入ることは少ないようです。
そうなると、大抵の生徒の場合は繰り返すことが目的となり、その繰り返しの中で解き方を覚えていけばいいという思考になっていきます。
もちろん覚えるべきことは覚えて欲しいのですが、何でもかんでも覚えてしまえ!というパワー系の思考に陥ってしまうと困ります。
解答の手続きを覚えただけで「数学できるわ〜!」と勘違いしてしまうと後で厄介なことになります。点数を取りたいだけであればそういう姿勢でも問題ないのかもしれませんが、大学進学を考えているのであれば覚えるだけの勉強ではどこかのタイミングで行き詰まることを知っておいて欲しいのです(こうした話は当ブログでも繰り返し指摘していることです)。
理想としては、「理解できていることは確実にできる」という状態を普段の勉強から作っていくことです。
こうした勉強が確立できていれば、定期テスト対策なんていうものをやらなくてもある程度の点数は取れます。最初に述べたように、時間的な厳しさがあるので高得点は難しいかもしれませんが、問題の難易度的には7割程度の得点は常時キープできるはずです。
ある程度のレベルの大学への進学を考えているのであれば