ただ数えただけじゃんとバカにしてるけど

塾長
昨日スタバで休憩していた塾長ですが、隣に座っていた高校生カップルの会話がどうしても耳に入ってしまい全然落ち着けませんでした(笑)青春っスね!!って感じで惚れた腫れたの話をしていたカップルなわけですが、聞いているこちらが恥ずかしくなってしまい退散を余儀なくされました。いや〜、甘酸っぱいですね〜。

 

先日、高校生の授業で下のような問題を扱いました。高校1年生でも解ける問題です。みなさんも考えてみてください。

次の条件を満たす整数 $x$,$y$,$z$ の組の総数を求めよ.
$x+y+z=7$,$x\geqq 0$,$y\geqq 0$,$z\geqq 0$

さて、この問題を私は次のように解きました。

$x$,$y$,$z$ の組を (x,y,z) と表すと
(7,0,0)
(6,1,0),(6,0,1)
(5,2,0),(5,0,2),(5,1,1)
(4,3,0),(4,0,3),(4,2,1),(4,1,2)
(3,4,0),(3,0,4),(3,3,1),(3,1,3),(3,2,2)
(2,5,0),(2,0,5),(2,4,1),(2,1,4),(2,3,2),(2,2,3)
(1,6,0),(1,0,6),(1,5,1),(1,1,5),(1,4,2),(1,2,4),(1,3,3)
(0,7,0),(0,0,7),(0,6,1),(0,1,6),(0,5,2),(0,2,5),(0,4,3),(0,3,4)
の36通り。

とまあ、こんな感じで全部数えてみただけです。全部数えなくても、途中から何となく「規則」が透けて見えてきますが。

以前、このような答案を示したら一部の生徒から「これでいいんですか?」と不安げに聞かれたことがあります。

「え、何か間違ってた?」と私は数え間違いをしたと思っていたのですが(足し算苦手です)、そうではありませんでした。

その生徒曰く「ただ全部数えただけじゃないか」というわけです。

ちょっとびっくりしたのですが、どうやら数式などを用いて示さなければダメだと思い込んでいていたようです。

こういうタイプは稀ですが、できない生徒の多くがこうした答案を見て「なんだ、ただ数えるだけか」なんて思うようです。

もっと鮮やかに解く方法があってそれを教えてもらえると期待しているようなところがあり、このような「ただ数えただけ」という解き方はあまり価値のないもののように見えているようです。

しかし、私から言わせてもらえば

そのただ数えるだけをやったのか?

ということなんです。

できもしない、思いつきもしない「何か」を求めてテキトーなことをやるなら、確実にできることからなぜ始めないのか?と思うのです。

普段からこうした泥臭いことをやっている生徒は、複雑な問題であっても必ず自分の理解できているところへ戻って、そこから組み立てていくような粘り強さがあります。

一方で、「こういうタイプの問題はこう解けばいい」みたいな勉強方法をやっている人は、そうした典型問題が典型問題のまま出題されれば解けるのですが、ちょっと捻られると「自分でもよく分からない何か(デタラメ)」を始める傾向が強いように思います。

実はこの問題には続きがあるのですが(数が大きくなって数えきれなくなります)、ここでの問題を解く中で、上手く計算する方法を発見できるかどうかがポイントになります。

このとき、次の問題との関連が重要になります。

7本の鉛筆を3人の子供に与えるとき、何通りの方法があるか。ただし、1本ももらわない子供がいてもよいとする。

この問題(いわゆる重複組合せ)をやったことがある生徒は

$$\displaystyle \frac{9!}{7!2!}=36\qquad(\ast)$$

なんていう上手な数え方を知っています。7つの○と2つの|(仕切り)を利用するものです。

ところが、この問題と先ほどの問題がまったく同じものであることに気づかない人もいるわけです。

そういう生徒にじっくり話を聞いてみると分かるのですが、$(\ast)$ のような計算は

「何かを分けるときにもらわない人がいてもいいという問題」で用いる方法

といった認識の仕方(記憶の仕方)をしていることが多いのです。

塾長
なんじゃそりゃ〜??

そして、当然ながら最初の問題とは隔離された記憶であるため、この上手な計算方法と結びつきません。

そうなると、今度は

最初の整数問題と「何かを分けるときにもらわない人がいてもいいという問題」は同じ解き方でできる

なんていう認識の仕方をしようとするのです。もう、こうなるとワケが分かりませんね。

当然ながら、しばらく時間を空けてやってもらうと当たり前のようにできません(笑)

では、この方法に気づく生徒はどうやって考えているかということです。

大体の場合は最初に示した答案のような泥臭い方法をやっていく中で数え方に着目しています。

決して「問題のタイプ」で判断するのではありません。

数え方と計算方法がリンクしているため、最初の問題を2つ目の問題と同じような計算で求められることに気づきます。

つまり「何と何が結びついているか」という点が全然違うワケです。

本来、場合の数で登場する様々な計算の工夫は「数え方」とリンクしています。

そして、その原点は地道に数え上げていくことにあります。

しかし、この原点をすっ飛ばしていきなり上手い計算方法を求めてしまう人がかなりの割合でいるわけです。

その原因は何か解き方が先に存在するという悪い認識のせいであると思っています。

問題集をn周やって解き方を覚えて云々

なんてことをやっている人は、こうしたアホな認識に突っ走っていくように思います。

できることから着実に進めていけば見えてくるものというのがあり、その部分が数学を学ぶ上で重要なのですが、そうした手間のかかることはやらずにチャチャッとやって点数を上げたいという人が相当いるワケです。

塾長
おいコラ!数学を何やと思ってるんや!!

このような歪んだ方法で学び続けていけばどこかの時点で破綻するのは明らかですし、多くの生徒の場合、破綻した時点でもう手遅れとなるわけです。

まあ、こういう話を当ブログでは繰り返ししているわけですが、あまり伝わらないんですよね(涙)

というのも、目先の試験の点数を上げるにはこんな回りくどいことをやっても意味はなく、どっかの誰かが言ってるようにサクシードあたりを5回転する方がよっぽど効率いいんですよね〜。それで水準以上の点数は取れますから。そういうのを求めている人は、そういう方法でやっていけばいいんじゃないかなと思います。それでどうなるかは知りませんが。

ただ、本当に数学的な能力を伸ばしたいとか、数学を楽しみたいと思うのであれば、そんな方法では絶対に無理だよということを言っておきたいのです。

塾長
昨日から、ちょっと荒れ気味の塾長ですが、これは青春カップルにイチャイチャぶりを見せつけられたせいだと思います(笑)
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