ここのところ普段より自習生が多いなあと思っていたら、先週から今週にかけて試験週間という高校が多かったようです(くっ、せっかく嬉しくなってテンション上がったのに・・・)。
そんな秋も深まる10月のある日の話です。今回は以下のような簡単な問題をやってみました。
場合の数で扱うよくある問題なのですが、これを次のように考えた人がいました。
というわけで、男子1人の選び方が5通り、女子1人の選び方が4通り、残った7人から1人選ぶ選び方は7通り。
よって、
$$5\times 4\times 7=140$$
140通り!よっしゃ解けた!
ここまでで、疑問がわいた人はどのくらいいるでしょうか? 考え方自体におかしなところはないように思う人もいるかもしれません。
しかし、実際に次のように求めてみると結果が変わってきます。
少なくとも男子と女子が1人ずつ選ばれるのは
- 男子2人女子1人
- 男子1人女子2人
の2つのパターンがある。①は、$_5\mathrm{C}_2\times _4\mathrm{C}_1=40$
②は、$_5\mathrm{C}_1\times _4\mathrm{C}_2=30$
したがって、$40+30=70$ の70通り。
さて、どちらが正しくでどちらが間違いでしょうか?
そして、その間違いの原因は何でしょうか?
実際には、後者の考え方が正しく、前者の考え方は間違っているわけですが、その違いをきちんと指摘できるでしょうか?
こうした部分をきちんと理解しているかどうかというのがものすごく大事なわけですが、案外テキトーに見過ごされてしまっています。
これ、実際に前者の考え方で書き出していくと分かります。
本当は樹形図の方がいいのですが、樹形図を作るのが大変なので、(1, 2, 3)みたいにします。
男子を1、2、3、4、5、女子を6、7、8、9という番号に変換して考えてみます。
まず、男子から1、女子から6を選ぶ場合を考えていきます。
(1, 6, 2)(1, 6, 3)(1, 6, 4)(1, 6, 5)(1, 6, 7)(1, 6, 8)(1, 6, 9)
次に、男子から1、女子から7を選ぶ場合を考えてみます。
(1, 7, 2)(1, 7, 3)(1, 7, 4)(1, 7, 5)(1, 7, 6)(1, 7, 8)(1, 7, 9)
このとき、太字の部分は組合せとしては同じものなのに2回カウントしていることになります。
実際に書き出して考えてみれば、この事実にすぐ気づくはずですが、高校生はPだのCだのと計算方法ばかりを考えてしまう人が多いため、間違えてしまう人が案外多いのです。
正しく場合に分けることも大切なのですが、その前に、なぜそういう場合わけになるかということを考えるのもそれ以上に大切です。
そして何より、も思考の前段階として具体的にやってみるというのが非常に大きな意味を持つことを知ってもらいたいと思うのです。