高校2年生の後半は数列と微積分のダブルパンチで数学が苦手な人にとってはつらい時期になります。
なお、生徒の話によるとシグマ記号の書き順(笑)などという恐ろしい話もあるようですが、今日はそのことには目を瞑ってごくごく初歩的なシグマのお話をしたいと思います。
シグマ記号の約束
基本的には
$$a_1+a_2+\cdots\cdots+a_n=\displaystyle\sum_{k=1}^na_k$$
というのがシグマ記号の定義であって、これは
という約束なわけです。
この約束を無視して、先ほどの等式を記号の列としてただ丸暗記する人がいます。こういう人は、さまざまな数学記号に対してアレルギーを持っているようです(当たり前ですが)。そして「難しい記号ばかり出てくる!」なんてことを言い出します。
確かにお洒落なギリシャ文字を使うことが多いので $\zeta$ なんか出てきたら「なんとなく難しい(読めないし)」となる気持ちも分かります。とはいえ、高校数学ではそこまでたくさん記号が出てくるわけではないので、1つ1つ確認して約束を守れるようにすればいいだけです。
具体例であれこれ確認すること
約束を確認するためにいちばん大切なことは具体例を作ってみるということです。
約束をもとに、いくつかの例を考えてみればシグマ記号なんてそれほど難しい話ではありません。
これは、$\displaystyle\sum_{k=1}^3a_k$ となり、$a_1+a_2+a_3$ を表します。
また、
これは、$\displaystyle\sum_{k=3}^6a_k$ となり、$a_3+a_4+a_5+a_6$ を表します。
大事なことは、$a_1+a_2+a_3$ と $\displaystyle\sum_{k=1}^3a_k$ が同じものであるという認識があるかどうかです。見た目はかなり違っていても意味するものは同じです。
さらに具体的に数列 $\{a_n\}$ の一般項が、$a_n=2n+1$ である場合に $\displaystyle\sum_{k=1}^3a_k$ はどうなるでしょうか?
このときに大事なことは、約束には忠実でなければならないということです。勝手なことをするのはNGですよ!
定義に従えば
$$\displaystyle\sum_{k=1}^3a_k=a_1+a_2+a_3$$
であり、$a_1=2\cdot 1+1=3$、$a_2=2\cdot 2+1=5$、$a_3=2\cdot 3+1=7$ であることを考えれば
$$\displaystyle\sum_{k=1}^3a_k=3+5+7=15$$
のようになります。また、$a_n=2n+1$ より数列 $\{a_n\}$ は等差数列であることが分かるため、等差数列の和の公式を利用して考えることもできます。
$$\displaystyle\sum_{k=1}^3a_k=\frac{(3+7)\times 3}{2}=15$$
としてもOKです。
このあたりまで自分で組み立てられるようにしておけば、初歩の段階では十分すぎるくらいです。
こうしたことを、教科書などを用いて自分の手でちまちまとやってみることが理解の上では必要不可欠となります。