どうやって数えるかを考える

塾長
センター試験まで残すところあと2週間ちょっととなり、昨日から冬期講習の後半戦がスタートしました。と言っても3日間しかありませんが(笑)それが終わればそのまま通常授業の再開です。1月もなんだかんだ慌ただしく終わっていきそうな予感がしますね。1日1日が実り多きものとなるように全力で取り組んでいきましょう!

昨日は確率の授業だったのですが、次のような問題が出てきました。

$n$ を $3$ 以上の自然数とする.さいころをくり返し投げて,$n$ 回目に出た目を $X_n$ とし,$a_n=X_1X_2\cdots X_n$ とする.このとき,$a_n\leqq 9$($n=3,\ 4,\ 5,\ \cdots$)となる確率を求めよ.

ま、要するに $n$ 回目までに出た目の数の積を $a_n$ としたとき、$a_n\leqq 9$ となる確率を求めろ(ただしサイコロは3回以上振るよ〜)ってことです。こうして文章で説明されると分かるのに、問題文のように記号を用いて説明されていると分からないという人がかなりの割合でいます。こういう人は以下の記事を読んでみてください。

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さて、この問題、みなさんならどう考えますか?

「この問題は『さいころをくり返し投げて』だから反復試行の確率で・・・」みたいに考えてしまう生徒が多いのですが、そんな小難しい話は後で考えましょう(笑)

私はまず適当に $n=5$ とかに設定して具体例を作っていきます。そうすると

1回目2回目3回目4回目5回目
11111OK
61111OK
33111OK
42111OK
52111NG
22211OK

適当ですがこんな感じで「どこまでOKかな〜?」というラインを確認していきます。そうすると全部1の目が出る場合は当然ながらOKであり、これが $a_n=1$ となって最小の場合になります。また、同時に「1ばっかりやんけ!」みたいなことも確認できます。あとは1以外の目が出るとしてそれが何回までOKかみたいなことも考えられます。そして、とりあえず全体では $6^n$ 通りになるなというのが分かります(これは樹形図をイメージ)。

これで見えてこなければ、$n=3$ や $n=4$ なども作ってみます。

塾長
こうした作業を「とりあえずやってみようか!」という思考にならない生徒もいます。そういう生徒に数学が得意な生徒は少ないように思います。

地味な作業ですが、こうやって調べていくと

1の目以外の目が

  • 0回
  • 1回
  • 2回
  • 3回

の場合を考えていけばいいなというのが分かります。4回以上はどうやってもムリです。

0回の場合はどうなる?

0回の場合は全部1の目が出る場合の1通りしかありません。

1回の場合はどうなる?

1の目以外の目が1回出る場合、まずはその1の目以外の目が2〜6の5通りあります。

仮に2が1回だけ出るとします。

このとき「2111・・・1」という場合と「1211・・・1」という場合は樹形図的にも異なるものとなるので、2が何回目に出るのかということを考えます。これは $n$ 回のうちから1つを選んできたらよいので、$n$ 通りあります。

結局、1回の場合は $5\times n=5n$(通り)あることになります。

2回の場合はどうなる?

ここで「あ、面倒くさそうな予感!」と感じましたが、私は問答無用で突き進みますよ(笑)

2回の場合、その2回が同じ目のものと、違う目のものとがあります。具体的には「231・・・・1」みたいなものと「221・・・・1」みたいなものです。これは分けて考える方がいいでしょう。

・1以外の同じ目が2回出る場合

これは「3311・・・1」か「2211・・・1」かしかありません。「4411・・・1」となると $a_n\leqq 9$ を満たさないのでNGです。したがって、3か2かの2通りがあり、さらに、その数を $n$ のうちどの2回にするかで $_n\mathrm{C}_2$ 通りあります。

・1以外の異なる目が2回出る場合

これは「421・・・1」か「321・・・1」かの2通りが考えられます。さらに、その2数を $n$ 回のうち何回目と何回目にするかで $_n\mathrm{P}_2$ 通りになります。先ほどとは違い、2数が異なるためそれらの出る2回の「組」ではなく「順番」も考慮しないとダメです。

3回の場合はどうなる?

これは「2221・・・1」の場合しかありません。あとは、2が何回目に出るかを考えて、$_n\mathrm{C}_3$ と計算できます。

以上から

$$\frac{1+5n+2\times _n\mathrm{C}_2+2\times _n\mathrm{P}_2+_n\mathrm{C}_3}{6^n}$$

となって求められます。

大切なことは「反復試行の確率だから」なんていう考えではなく、具体的に数えながらどのように場合を分けると数えやすいかという考えです。こうした具体的な実験をやらずに解こうとしても上手くいきません。

塾長
もちろん、具体的に書いたら解けるというわけでもありません。具体的に書くのは必要があるからそうするわけで、その形式だけを真似してみても何も出てこないわけです。このことを考えもせずに、「〇〇のときは〜をする」みたいな考え方に陥ってしまっている人がいます。自分はどうやって問題と向き合っているのか、よく考えてみて欲しいなあと思います。
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