某S高校の入試の過去問からですが、小問ではあるもののピリッと辛い山椒のような問題(なんだそりゃ)だったので取り上げてみます。
こういう問題で「ん〜何も思いつかない!」となる人は、いったん自分の手で図を出来る限り正確に書き直してみるといいと思います。そうすると「あれ?これは・・・」と何かに気づくかもしれません。
求めるものは扇形の面積なので、半径と中心角が欲しいなあくらいのことは考えられるように。これが考えられない人は、いくらこの問題をやっても意味がありませんよ!
さて、A、B、C、D、Eを中心とする円から作られる扇形はすべて中心角が $108^\circ$ となります(これくらいは理解しておきましょう)。
Mを中心とする扇形だけは中心角が $180^\circ$ の半円となるので何となく異質な感じがします。
Mの半径は分かりませんが、MがBCの中点であることと円の対称性(半径に着目!)から、等しい長さが次々に分かります。
結局、円B、C、Eの半径が1で、円A、Dの半径が2、円Mの半径は1/2であることがわかります。
ここまできたら後は計算するだけです。が、この計算が結構面倒なんです。
まず、半径1の円B、C、Eから作られる扇形の面積は
$$3\times\left(1\times 1\times \pi\times \frac{108}{360}\right)$$
です。また、半径2の円A、Dから作られる扇形の面積は
$$2\times\left(2\times 2\times \pi\times \frac{108}{360}\right)$$
です。最後に、円Mから作られる扇形の面積は
$$\frac{1}{2}\times \frac{1}{2}\times \pi\times \frac{1}{2}$$
このとき、私としては、$\displaystyle \frac{108}{360}$ という同じ形が出てくることに気をつけて欲しいわけです。もっと言えば扇形なんだから $\displaystyle \frac{1}{360}$ は外せないよね!となって欲しいのです。つまり、最後の扇型の面積も
$$\frac{1}{2}\times \frac{1}{2}\times \pi\times \frac{180}{360}$$
みたいに考えられるようになって欲しいのです。
しかし、実際には多くの生徒が
$$3\times\left(1\times 1\times \pi\times \frac{108}{360}\right)=\frac{9}{10}\pi$$
$$2\times\left(2\times 2\times \pi\times \frac{108}{360}\right)=\frac{12}{5}\pi$$
$$\frac{1}{2}\times \frac{1}{2}\times \pi\times \frac{1}{2}=\frac{1}{8}\pi$$
と計算をやってしまうわけです。で、これらを足す段階で再び
$$\frac{9}{10}\pi+\frac{12}{5}\pi+\frac{1}{8}\pi$$
から通分して計算するというとても面倒な計算をやってしまっています。
もちろん、こうしたゴリ押しの計算はできて当たり前であって欲しいのですが、そればかりでは面白くありません。
いつもやっていることと少し違うことを考えてやってみるというのは大切なことです。$\displaystyle \frac{1}{360}$ を崩さずに計算をやってみると(くくり出しを考えて下さい!)
$$\frac{1}{360}\times \left(108\pi+4\times 108\pi+\frac{1}{4}\times 180 \pi\right)$$
のように計算していくことも可能です。これで簡単になるわけではありませんが、それぞれを計算する場合とは違った頭の使い方をするはずです。ちなみに、私がいつも通りに何も考えずに計算をやると
$$\frac{108}{360}\pi(3+8)+\frac{1}{8}\pi=\frac{12\times 11+5}{40}\pi$$
のような計算になりました。
計算には人それぞれにクセのようなものがあったりするのですが、計算ミスが多いとか計算が遅いなんていう人は、ちょっといつもと違う方法で計算をするという練習をしてみると、新しい世界が見えるかもしれません(大げさ)。