順番が逆になっている話

塾長
高校1年生の数学の内容というのは少々厄介な側面があり、中学生の頃に数学がある程度できていた人にとってはそれほど難しくないように思える、というのがいちばん面倒なところかもしれません。そして、気づかないうちにマズいことになってしまっているというのも厄介なんですよね・・・。

高校1年生の数学では、その後の高校数学を学ぶための試金石となるような内容がいくつか含まれているのですが、その1つが2次関数の問題です。毎年、2次関数では、最大・最小問題のところで次のような問題を扱います。

2次関数 $f(x)=x^2+2ax+a$ の $0\leqq x\leqq 2$ における最大値、最小値を求めよ。

これ自体はとくに何の変哲もない問題で、どの問題集にも必ず掲載されているようなものです。きちんと勉強している人であれば、だれにでも解けるようなレベルの問題です。しかし、解けているから大丈夫とは言えないのが怖いところです。

一応、生徒の答案は $f(x)=(x+a)^2-a^2+a$ のように平方完成してグラフと場合分けが書かれてあり、一見するときちんと理解しているような感じに見えるのです。

しかし、そうした生徒の中には「模範解答のコピー」を作成しているような生徒が存在し、場合分けのパターンのようなものに従って考えているような生徒もいるのです。きちんと勉強している人にとっては信じられない話ですが、「軸が動く場合の最大値は区間の中央で場合分け」みたいなことを考えているのです。もっと恐ろしいのは、せっかくグラフを作っているのに、そのグラフは「区間の中央で場合分けするとこうなる」という思考から描いたものであるということです。まあ、それでも見かけ上は解けていますし、得点もちゃんともらえているので、本人としては問題はないのかもしれませんが・・・。

本来は、$a$ の値によってグラフがいろいろと動くため、その動きをイメージしながらいくつか代表となるグラフを描いてみて、最大値や最小値をとる位置がどう変わるかを考えていくものです。つまり、グラフをあれこれ描くことでどう場合分けしていけばいいかが見えてくるわけです。それがすっかり逆になってしまっている生徒が思ったよりも多いのです。

こうした、考えなくてもその通りにやっておけば正解する方法というのが、高校数学の世界ではいまだに支持を得ている部分があります(なお、中学数学はこうした考え方に汚染されきっています)。さらにマズいのは、数学的には何も考えていないのと同じなのに、本人はパターンを見抜いてそれに適した解法を選択したということで、「考えた」と思っているわけです。個人的には、こういう思考のなんちゃって理系が増えていて怖いです。

そんなわけで、また新学期からきちんと数学の授業をやっていかないといけないぞ!と気を引き締めている塾長です。

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