夏期講習期間は朝から晩まで常に生徒がいる状況になるため、当然ながら生徒と接する時間も増えます。接する時間が増えると、ちょっとした雑談の時間も増えます。普段の講義をやっている期間は、数学の質問を通してやり取りすることが多いため、あまり雑談を本格的にすることはありません。雑談が本格的になったらそれは雑談ではないかもしれませんが(笑)
下らない話や学校生活の悩み、将来の夢、日々の勉強で感じていることなど、そうした話は多岐にわたります。同時に、自分が中高生だった頃を思い出すこともあって、少し恥ずかしくなったり嬉しくなったりということもあります。
そんな話の中でも、今回は勉強の話を取り上げて書いていこうと思います。一応、塾なものですから(笑)
これは、夏休み中に高校生のとある生徒と話をしているときに出てきたものです。
自分がきちんと理解していないにもかかわらず、学校の授業がどんどん進んでいくので、
- 他の人はそのペースでちゃんと理解できているのだろうか?
- 自分だけ全然理解していないのではないか?
と不安になるということでした。
私も進学校と呼ばれる高校に通っていたので、こういう状況は身をもって体験しました。高校入学時は予習や復習をきちんとやる程度には真面目な学生だったので、似たようなタイプの生徒はもしかすると上記のような悩みを抱えているかもしれません。
なので、先に結論を述べておきましょう。
まず、進学校の授業スピードについていける学生というのがどのくらいいるのかということです。統計を取ったことはないので、正確なことは言えませんが、自分自身の高校時代や、これまで指導してきた生徒を見ていると、1/3もいないのではないか、という感じです。
さらに言えば、「分かっている」と生徒本人が思っていても、実際に指導をしてみると「ほとんど何も理解していない」ということも頻繁にありました。
そもそも勉強というのは、基本的に分かるため・理解するためにやるものであって、勉強のスピードを競うものではありません。いくら進度を早くしても、理解できていないのであればほとんど意味がないことは、冷静に考えれば分かるはずです。
しかし、現実には「入試」があるため、そこまでの期間に終わらせなければならないということも忘れてはいけない事実です。
すべてのことを、きっちりとやっていくというのは現実的にはなかなか難しいでしょう。そのため、自分のやりたいことは何か、自分が好きなことは何かを知り、まずはそれらを大切にしていくことが良いのではないかと思います。
また、入試ばかりにフォーカスして、入試を乗り切るための魔法のような方法ばかりを追いかけている人もたくさん見かけます。そういう人に言っておきたいのは
ということです。入試の勉強なんて役に立たないなんていってる人達は、おそらく、簡単に手に入れて簡単に失っていった人達なのでしょう。
理解するということは不安や苦しみを伴うこともよくありますが、そうした経験を中高生のあいだにしておくことは、とても大切なことだと思います。