計算ミスは途中式を書かないから?

塾長
9月ももう半分が終わりました。最近は日が短くなってきたなあと実感します。ようやく過ごしやすい気候になってきたので、勉強も捗るのではないでしょうか? 睡眠も捗りそうですが(笑)

昨日の中学1年生の授業で、方程式の計算の部分をやりました。次のような計算問題です。

方程式 $\displaystyle -\frac{5}{7}x+\frac{2}{5}=\frac{2}{3}+\frac{1}{5}x$ を解け。

答えは $\displaystyle -\frac{7}{24}$ になります。

どのように解いても構いませんが、初歩の段階では、こういう問題で計算ミスをしてしまう生徒が多いのでよ〜く観察しています。

おそらく、一般的には両辺に同じ値をかけて分母を払って計算をすることになります。その際、分母にある数を見て、$7$ と $5$ と $3$ の最小公倍数をかけようと考える人が多いと思います。

そこで、$7\times 5\times 3=105$ より

$$105\times \left( -\frac{5}{7}x+\frac{2}{5}\right)=105\times \left(\frac{2}{3}+\frac{1}{5}x\right)$$

とする生徒がかなり多くいます。もちろん何も間違ってはいませんし、正しく計算できていれば何も問題ありません。

でも、こうした計算でミスをしてしまう人がいるのです。

そして、そういう生徒のノートを見てみると、

\begin{align*}
105\times \left( -\frac{5}{7}x+\frac{2}{5}\right)&=105\times \left(\frac{2}{3}+\frac{1}{5}x\right)\\
105\times \left( -\frac{5}{7}x\right)+105\times \frac{2}{5}&=105\times \frac{2}{3}+105\times \frac{1}{5}
\end{align*}

のようにかなり丁寧に途中式が書いてあります。そして、次に各項のかけ算をやる際に失敗していたりします。

このときに私がよく伝えることは、$7\times 5\times 3=105$ を計算する意味はあるのかということです。

どのみち、$\displaystyle 105\times \left( -\frac{5}{7}x\right)$ などの計算をする際に約分することになるのに、わざわざ105という数を計算して、約分する際に再度 $105\div 7$ などという不毛な計算をやっている生徒をよく見かけます。

わざわざ $105$ とせずに $7\times 5\times 3$ のまま計算してしまえばいいじゃん!

という発想がカケラもなかったりします。

そして、よくよく話を聞いてみると

分数の入った方程式は分母の最小公倍数を両辺にかける!

なんていう謎の標語に脳を乗っ取られていたりします。そんなことで、無駄な計算を増やしてミスしているのであれば、なんの意味もありませんよね。

分母を払うという操作をする意味や、等式の変形など、正しく理解しておかなければならないことがスッポリと抜け落ちて、ただ「言われた通りにやる」という生徒がどんどん増えています。

だから、工夫をしようという発想そのものが生まれてこないし、計算ミスも治らないのです。

これは、指導する側にも大きな問題があります。計算ミスに対する処方として、ダメな指導者ほど途中式を丁寧に書けということしか言いません。さらに、途中式が書かれていない場合はテストで減点するなどという不合理なことを言う人もいるのです。もちろん、暗算力もないのに途中式をまったく書かずにミスをする生徒に対しては、この方法は有効です。

しかし、これまでの指導経験を振り返ってみると、計算ミスをする生徒の特徴は

  • 途中式がやたらと多い
  • 無駄な計算をする

タイプがほとんどで、途中式を省略してミスをしてしまうという生徒よりも多数派です。

そのため、途中式を丁寧に書かせるのではなく、思考スピードに合った記述量になるように調節するということが大切で、いかに計算量を少なくするかということを考えることの方がはるかに重要になるのです。そのためには、やはり「考える」ということが欠かせません。

また、計算ドリルのように大量に計算問題をやることを勧める人もいます。そういう方法でも計算ミスは多少は改善されるかもしれませんが、もっと有効な方法がたくさんあることは、計算が苦手な皆さんには是非知っておいてほしいところですね。

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