思考のショートカット

塾長
先日、とある生徒が「数学ダメだった〜」と落ち込みながら模試の答案を持ってやってきました。そこから、答案を一緒に見ながらあれこれと確認をやりました。こういうのは大切です。

私からしてみると、間違った答案というのは宝の山のようなものなので積極的に見せびらかしてほしいのですが、生徒からすると「結果が悪いから怒られる」なんて思っているのか、なかなか見せてもらえません。授業中も生徒たちが問題を解いているところを見て回るのですが、間違えていたら恥ずかしいといってサッと手で隠してしまう生徒も結構います。これでは、大切な機会を自ら放棄してしまうことになります。ああ、もったいない!

「間違える」ということは理解できていない部分を炙り出すための大切な通過点である。

まずは、こういう意識を徹底させることが大切になってきますね。ベテランの塾生になってくると、そのあたりはよく承知しているようで、バツのついた答案や、ごちゃごちゃ書いた紙を持って「ちょっと質問いいですか〜」とやって来ます。

塾長
「この問題が分かりません」と問題だけを持ってくるような生徒はまだまだですな!

そして、一緒に答案を見ながら「これをやろうと思ったのは何で?」といった具合に1つ1つ検証していくことになります。

上手になってくると、こうしたことを自問自答しながら勉強を進めていけるのですが、そういう領域にたどり着ける人はそれほど多くありません。なので、第三者に質問されたり指摘されたりしながら考えるということが重要となります。と言っても理解できていない第三者では意味がありませんが・・・。

実際、質問を持ってくる生徒も私が突っ込んで聞いていくと「そんなこと意識してなかった!」とか「何も考えずにやってた!」なんていう感じで、無意識に思考がスキップしている部分が出てきたりするのです。そこは、自分で考えても簡単には気づかない部分だと思います。

そういう思考のスキップで特に気をつけたいのは、ショートカットのような解法を最初から覚えようとする態度です。

例えば、数学IIの微分で3次関数が極値をもつための条件を考えるような問題があります。

関数 $y=x^3-3x^2+3ax$ が極値をもつときの $a$ の範囲を求めよ.

こういう問題に対して、

$f'(x)=3(x^2-2x+a)$ より、$3(x^2-2x+a)=0$ の判別式 $D$ が $D>0$ を満たせばよい

みたいな答案を生徒が作っていたりします。もちろん、言ってることは間違いではありません。

しかし、よ〜く聞いてみると「極値をもつときは $f'(x)=0$ の判別式が正」なんていうお題目を覚えて用いているだけ、なんていうことが結構あるのです。

私がこの問題をきちんと考える場合には思考過程として

  • 極値をもつから $f(x)$ の増減が変化するってことで
  • つまり、$f'(x)$ の符号が変化する点が存在すりゃいいわけで
  • そのためには $y=f'(x)$ のグラフがあんな感じになって・・・

みたいなことを考えるわけです。

もちろん、こういうことは、理解できている人の場合は一瞬で処理されてしまいます。

そのため上の答案のような感じになるのですが、思考過程を経由した結果として上記の答案のようになるということは忘れてはいけません。

ところが、生徒の中には最初から「極値をもつときは $f'(x)=0$ の判別式が正」と考えていて、上で書いた思考過程が完全にスキップされてしまっている人も少なくないのです。それだと、$f'(x)$ が2次関数でない場合には対処できなくなります。実際、4次関数が極値をもつ条件の問題にすり替えてみると白紙答案となってしまう生徒が出てきます。3次関数ならできていたのに4次関数になるとできない、というのは、極値のあたりをちゃんと理解できていないということです。

こうした思考のショートカット問題は、中高生の間にかなり広まっているように思います。

いろいろ考えつつ、面倒だなあと思ってショートカットの方法を考えるのと、いろいろをすっ飛ばしていきなりショートカットの方法を覚えるのでは、当然ながら大きな差が出てくるのです。

テストで効率よく得点を稼ぐためには、思考のショートカットは確かに便利なものとなります。

いちいち最初から積み上げていては時間がいくらあっても足りません。

だからと言って、最初からショートカットの方法だけ覚えてしまっていたら、本来あるべきはずの道が存在しないものとなり、おかしなことが起こる原因になります。

そういう部分は、きちんとした指導者に確認してもらいながら、定期的にチェックをしておきたいところではないかと思います。

と、この記事を書いていたら、おもしろい話を見つけました。

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