2020第6回石川県総合模試の数学を解いてみた

塾長
年内最後となる第6回石川県総合模試が実施されました。年が明けると私立高校の入試も控えています。今回の模試は冬休みに何をやっていくかという課題を見つける上でも重要なので、きちんと復習をやっておきましょうね!

2020第6回石川県総合模試(数学)

11月に実施された金沢市統一テスト、第5回石川県総合模試、そして今回の第6回石川県総合模試と重要なテストが短期間で実施されましたが、模試に追われてなかなか自分の勉強ができなかったという人もいるかもしれません。あるいは思ったような結果が出なくて凹んでしまったという人もいるでしょう。でも、まだまだ時間はあります。とくに冬休みは受験までの最後の長期休暇となるので、有効に活用していきたいところです。そのためにも、統一テストからの結果を分析しながら、自分がやるべきことをよく考えてみましょう!頑張れ受験生!

概観

今回の模試もいつも通り時間的にはかなり厳しいセットであり、大問7、小問23というテンプレ構成でした。これについては大きく変わることはないでしょう。このボリュームはある程度想定して準備をしていくことが大切です。

今回は大問2で統計分野の問題が取り上げられました。この部分はある程度勉強をしていればさほど難しくない(中学数学の範囲で大したことは学びません)のですが、その分後回しにしがちな範囲なので、準備をしていなかった人は戸惑ったかもしれません。

出題内容は、大問1の小問集合以外は、統計・関数・方程式・作図・平面図形・空間図形という内容でした。大問2が変動しがちですが、その他の問題はだいたいいつも同じ顔ぶれなので、対策はしやすいでしょう。

もっとも大変なのは時間との勝負です。50分という試験時間では、全問を考えながら解くというのは少々無謀かもしれません。数学が得意な人にとっては見通しの良い問題がほとんどあるため30〜40分で解いてしまう生徒も出てくると思いますが、一般的な中学生にとってはかなり厳しい問題が続きます。そのため、前半でしっかりと得点することが鍵となると言えます。今回は前半の代数分野が比較的易しかったので、そこである程度得点できたかどうかが大事になってきます。

なお、時間的に厳しいからという理由で、安直に答えを出す方法(解法)を暗記しようとする人が増えていますが、その方法でテストの点数が上がったとしても「数学の力」はほとんど身につかないということを分かっておいてほしいです。

全体的な難易度 標準

各問題の概要

ここからは大問ごとの内容を詳しく見ていきます。問題をお持ちの方は、問題を見ながら、そして実際にあれこれ書いてみながら読んでいただければと思います。では、いってみましょう!

大問1

内容 小問集合

難易度 

第6回ともなると計算問題はネタ切れの感じがしますね(笑)

(1)では、符号の混じった計算、四則の混じった計算、指数計算、分数の文字式、根号計算あたりの計算上のルールを確実なものとしておきましょう。とくにエの計算では符号のミスが多いので気をつけましょう。計算問題で大切なことは、ゴリ押しの計算力をつけることと、できる限り計算を少なくするための工夫を考えることです。とくに計算ミスが多いという人は、後者を意識しながら練習をしてみてほしいなと思います。

(2)はいつもの解の公式を利用する問題では面白くないので、少しひねって作ったのでしょうが、ふつうに解の公式で解いた人も多いでしょう。考え方として、左辺を $x^2+4x+4=(x+2)^2$ と平方の形へと強引に変形してしまう方法はとても大切な考え方なので、模範解答のような方法も意識しておいて欲しいところです。

(3)は式の値を求める問題ですが、「いきなり代入すると面倒になるなあ」くらいのことは考えられるようになって欲しいです。もちろん、いきなり代入してゴリ押しで計算してもいいのですが、「あ〜面倒だなあ」という気持ちは絶対に忘れないでください(笑) ここでは、式の形を見て、平方の差の形から因数分解を考えていくと簡単です。いきなり解こうとするのではなく、まずは、よく観察することが大切です。

(4)は図を描いてみるといろいろと気づくことが増えるかもしれませんが、素直に $\mathrm{AB=AE}$ から二等辺三角形に着目するのが筋でしょう。あとは「ひし形」から分かることを考えていくと簡単です。$\angle\mathrm{BCD}=104^\circ$ なので、$\angle\mathrm{ABC}=76^\circ$ であり、$\mathrm{AB=AE}$ から $\angle\mathrm{AEB}=76^\circ$ です。さらに、ひし形の性質から $\angle\mathrm{DBC}=38^\circ$ です。$\mathrm{BD}$ と $\mathrm{AE}$ の交点を $\mathrm{F}$ とすると、

\begin{align*}
x&=\angle\mathrm{BFE}\\
&=180^\circ-(76^\circ+38^\circ)\\
&=66^\circ
\end{align*}

となります。

(5)は確率の問題としては代表的である、ランダムウォークと呼ばれるタイプの問題です。ただ、硬貨を3回しか投げないので、難しいことを考えるよりもすべて書き出してしまう方が早いでしょう。そうすれば3の位置に来るためには表が2回、裏が1回出ればOKということもすぐにわかると思います。具体例はとても大事です!

1回目2回目3回目

この表から、求める確率は $\displaystyle \frac{1}{3}$ となることがわかります。

大問2

内容 統計

難易度 

今回の大問2は統計の問題でしたが、この範囲は表面的な知識を問うだけの問題が多く、対策も短期間で済ませられるため、受験生にとっては手薄になりがちな範囲だと思います。しかし、統計の分野はこれからの数学で重視されそうなため、こうした形式で出題されることも予想しておくべきでしょう。とはいっても、本問も非常に基本的なことしか問われていないため、きちんと理解している人にとっては得点を稼げる問題だったと思います。

(1)は表1からデータを拾ってくるだけです。$x$ は25以上30未満の度数なので、28、25、26、26、28の5となります。同様にして $y$ は36の1となります。

(2)はデータを正確に読み取れるかどうかという問題です。こうした問題は、数学のテストに関係なくできるようになっておきたい問題です。

塾長
勉強に関するデータなんかも、かなりデタラメな分析をしている人が多く、しかもそれを有り難がっている人もいたりして、何だかなあと暗い気持ちになることもよくあります・・・

まずは、最初に確認しておきたいのが、今年の3年生男子は100人、去年の3年生男子は150人ということです。何となくヒストグラムの形状だけを見て「今年の方が多い!」なんていうガバガバな判断しないようにしましょう。

ここはきちんと計算をやるだけです。相対度数は割合と同じようなものです。

したがって、今年の3年生男子では、30〜35の相対度数が0.14、35〜40の相対度数が0.05なので

$$(0.14+0.05)+100=19$$

今年の3年生男子では、30〜35の相対度数が0.10、35〜40の相対度数が0.04なので

$$(0.10+0.04)\times 150=21$$

となります。計算すれば、去年の方が多いことがわかります。

大問3(復習オススメNo.1)

内容 関数

難易度 標準

大問3は高校入試でも頻出の2次関数の問題でした。2次関数の問題は図形との融合問題になると難易度が上がりますが、今回は図形的な考察がほとんど出てこない問題だったので簡単だったのではないでしょうか。完答できた人も結構いたのではないかと思います。

(1)は変域の問題です。変域の問題は数値だけ代入して座標を求めればOKと思っている人がいますが、それは間違いです。ざっくり言うと、$x$ を指定された範囲で動かしたとき、それに対応して決まる $y$ の値がどこからどこまでを動くかを考えます。

$x$ を $-6$ から $4$ まで動かしてみると、$x=-6$ で $y=18$ をとり、そこから減少して $x=0$ で $y=0$ となります。さらにそこから増加して $x=4$ で $y=8$ となります。このようにして $x$ を動かしたとき、「$y$ の取りうる値の範囲」が $y$ の変域となります。グラフを描いてみると視覚的にもすぐに $0\leqq y\leqq 18$ となることが分かるでしょう。

塾長
これを「$y$ がどこからどこまでの値をとるか」と表現すると、スタートとゴールだけを考えて端点だけを拾ってしまう人が出てきます。日本語でも正確に表現するように注意しておかないと、勝手な思い込みが発生してしまいます。

(2)は与えられた条件を1つ1つ確認しながら図を描いていきましょう。図が描けたら解けたも同然です。

Pの座標は放物線の対称性を考えて $(6,\ 18)$ であることがすぐに分かります。また、Bの座標は $(4,\ 8)$なので、これから傾きが $\displaystyle \frac{10}{2}=5$ となります(これくらいは暗算で求められるように!)。ここから、$y=5x+q$ とおいて通過点 $(4,\ 8)$ を代入して、$8=5\times 4+q$ から $q=-12$ が得られます。よって、直線の式は $y=5x-12$ です。

塾長
上記のように $y=5x+q$ とおいて計算してもいいですが面倒です。直線の式を求めるところも暗算で乗り切れるようになっておきたいところですね。

(3)は少々面倒ですが、これも1つ1つクリアしていけばそれほど難しくはありません。一気に解決しようとすると失敗するので、部分部分を解決していきましょう。

まずは、PQの長さが28となるとあるので、これも図を描くことからスタートしてみましょう。(2)で考えたことも活用しましょう。(2)の図ではPQ(AQと同じです)の長さが12となります。PQが28となるためには、PQは点Aよりも上側にないとダメですね。したがって、図は以下のようになるはずです。

PQの長さは、「PとQの $x$ 座標の差」で求まります。しかし、どちらの点も $x$ 座標が分からないため、とりあえずPの $x$ 座標を $t$ とでもしておきましょう。そうすると、Pの $y$ 座標は $\displaystyle \frac{1}{2}t^2$ となります。PとQは $y$ 座標が同じなので、これを利用してQの $x$ 座標を考えていきましょう。Qは直線AB上の点でもあるため、直線の式を利用すると $x$ 座標を $t$ で表せそうです。(1)の図から直線ABの式は、$y=-x+12$ となることが分かります。Qの $y$ 座標が $\displaystyle \frac{1}{2}t^2$ なので

$$\frac{1}{2}t^2=-x+12$$

から、$\displaystyle x=12-\frac{1}{2}t^2$ となることが分かります。さて、これでPとQの $x$ が求まったので、PQの長さを考えて

$$t-\left(12-\frac{1}{2}t^2\right)=28$$

これを変形すると、$t^2+2t-80=0$ であり因数分解して

$$(t-8)(t+10)=0$$

となります。$t>0$なので、$t=8$ となります。したがって、求めるPの座標は $(8,\ 32)$ となります。

塾長
わからない値は積極的に文字で置き換えていきましょう。ただし、文字が増えすぎると大変なので、設定した文字を利用できないか考えてみてくださいね!

大問4

内容 方程式

難易度 標準

今回の問題も、近年のトレンドである「問題文が無駄に長い」ものでした。最近の入試や模試では、こうした問題が増えているため、方程式の勉強をやるというよりも情報を正確に仕分ける勉強をした方が効果的かもしれません。それが数学の勉強と言えるかどうかは微妙ですが・・・。

塾長
生徒の理解度を考えると、もう少し方程式そのものを考えさせるような問題があってもいいのになあと私は思います。

というわけで、まずは与えられた情報をきちんと書き出して整理するところから始めましょう。

まず、Aさんはテレビとパソコンを使用する時間を1時間に決めたそうです。しかも、その1時間内でテレビを使う時間とパソコンを使う時間を分ける計画を立てたらしいです。そして、電力量に関する情報があるので、こちらは表にでも書き出してみるといいでしょう。

テレビを1時間使用した時の電力量420Wh
パソコンを1時間使用した時の電力量120Wh
計画通りに使用した時の電力量350Wh

というわけで、テレビを $x$ 分使用すると決めましょう。電力量は1時間あたりの数値なので、分ではなく時間に換算して $\displaystyle \frac{x}{60}$ としておきます。単位に関する操作は当たり前にできるようになっておきたいところです。

塾長
間違っても、変な図を描いて指で隠して・・・みたいな思考停止作業はしないでくださいね・・・

パソコンの使用時間は $\displaystyle \frac{60-x}{60}$ です。あとは、これらの電力量の合計が350Whになればいいわけです。これはザックリ考えると420の一部と120の一部を合わせて350にするというだけの話です。したがって、

$$420\times \frac{x}{60}+120\times \frac{60-x}{60}=350$$

となります。これを解いて、$x=46$ となるので、テレビを使う時間が46分、パソコンを使う時間が14分ということになります。やってみると非常に簡単な問題だと分かると思います。

なお、「はじき」とか「くもわ」の図を使って解くということやっていると、こうした当たり前の関係さえ掴めなくなってしまうので、気をつけてもらいたいところです。

大問5(復習おすすめNo.3)

内容 作図

難易度 やや難

今回の作図は、これまでの作図の問題に比べると難しい問題だったのではないかと思います。まずは、2本の半直線 $\mathrm{OX}$ と $\mathrm{OY}$、$\angle\mathrm{XOY}$ の二等分線が与えられています。

点 $\mathrm{P}$ についての条件は以下の2つです。

  1. $\mathrm{P}$ は半直線 $\mathrm{OX}$ 上にある。
  2. 点 $\mathrm{Q}$ は線分 $\mathrm{OA}$ 上に、点 $\mathrm{R}$ は半直線 $\mathrm{OY}$ 上にあり、四角形APQRは正方形である。
塾長
「$\mathrm{P}$ 以外に $\mathrm{Q}$ も $\mathrm{R}$ もあるんかい!」とツッコミを入れた人が大勢いたとかいないとか・・・

$\mathrm{P}$ 以外にも点が出てきて紛らわしいですが、とりあえず「こんな感じかな?」と図を予想してみることから始めましょう。

だいたいこんな感じになりそうです。このように予想を立てるというのはかなり大事なことなので、あれこれ頭だけで思い悩むのではなく、実際に描いてみながら考えるようにしましょう。図を描いたら、それをよ〜く観察しながら、基本の作図である垂線角の二等分線が利用できないかを考えてみましょう。もちろん、コンパスの基本的な操作である「ある点から等距離の点を描く」ことも忘れないようにしてください。

この問題では、正方形というのが重要な情報となります。当然ですが、$\mathrm{PQ=QR=RA=AP}$ が成り立ちます。これを「等距離の点だ!」と思う人もいるかもしれませんが、これは等距離ではなく「同じ長さ」なので優先度は低いです。それよりも、角度を考える方がいいでしょう。正方形ということは、すべての内角が $90^\circ$ であり「垂線」を利用できそうです。しかし、$\angle\mathrm{P}$ や $\angle\mathrm{R}$ の $90^\circ$ の作図は難しそうです。

このとき、$\angle\mathrm{A}$ に着目すると、対角線 $\mathrm{AQ}$ によって $\angle\mathrm{A}$ が二等分されていることが分かります。すなわち、$\angle\mathrm{PAQ}=45^\circ$ ということです。これが分かれば、$\mathrm{A}$ から $\mathrm{AQ}$ の垂線を引き、その直角の二等分線と $\mathrm{OX}$ との交点が $\mathrm{P}$ となります(下の図のような感じになります)。

コンパスの使い方というよりも図形的な考察が重要となる問題だったため、苦戦した人も多かったと思います。しかし、こうした少し難し目の作図の問題は図形の知識を深めてくれるものなので、冬休みなどに積極的に取り組んでみるといいのではないかと思います。

大問6(復習オススメNo.1)

内容 平面図形

難易度 標準

>大問6の平面図形ではいよいよ相似が登場しました。相似自体は難しい概念ではありませんが、相似が入ってくることで線分比面積比が関連してきて問題の難易度が上がります。今回はそれほど難しい問題ではありませんでしたが、それでも苦戦した人は多かったと思います。

(1)は模範解答のように中点連結定理を考えてもいいですが、ちょっと面倒な感じがします。$\mathrm{BO=OD}$ であり、また $\triangle\mathrm{AFD}\sim\triangle\mathrm{EFB}$ となり、$\mathrm{AD:BE}=2:1$ から $\mathrm{DF:BF}=2:1$ となります。

したがって、BD上の2つの線分比をまとめると以下のようになります(このくらいは暗算で出して欲しいところ!)

1つ目の図はそのまま線分比を書いたものです。2つ目の図は、2つの線分比の分割数を揃えたものとなります(どちらも6等分)。そして、3つ目が線分比を統合したものです。

塾長
こうした比の操作も当たり前にできるようになっておきたいところですが、比の概念が理解できていない人は苦戦してしまうところです。こうした操作が苦手な人は必ず「比ってどんなもの?」という概念の理解から復習してください。しかも早急に!

というわけで、求める線分比は $\mathrm{DO:OF}=3:1$ です。

(2)もなかなか面倒な感じがしますが、まずは条件を色々と整理しながら解決の糸口を探っていきましょう。$\mathrm{AG}=2\mathrm{cm}$ と $\mathrm{BE:EC}=3:1$ が与えられています。証明するのは $\triangle\mathrm{AFO}\sim\triangle\mathrm{EFH}$ です。

$\triangle\mathrm{AFO}$ と $\triangle\mathrm{EFH}$ については、対頂角に関して $\angle\mathrm{AFO}=\angle\mathrm{EFH}$ がすぐに分かります。したがって、もう1つの角が等しいことを言えれば相似は証明できます。

塾長
もちろん線分比を考えてもいいのですが、相似の場合はまず2つの角を探してみるのが良いでしょう。どうでもいい話ですが  $\triangle\mathrm{AFO}$ を三角形アフォと読んでしまう人は私と同類です(笑)

このとき「$\mathrm{GE}//\mathrm{AC}$ になってくれると簡単に解決するのになあ」くらいのことは思ってください。$\mathrm{GE}//\mathrm{AC}$ であれば錯覚を利用してすぐに相似が証明できます。先ほどの図をよく見てみると分かりますが

$$\mathrm{BG:GA=BE:EC}=3:1$$

となっています。したがって、$\mathrm{GE}//\mathrm{AC}$ となり、ここから $\angle\mathrm{FAO}=\angle\mathrm{FEH}$ となり($\angle\mathrm{FOA}=\angle\mathrm{FHE}$ でもOKです)$\triangle\mathrm{AFO}\sim\triangle\mathrm{EFH}$ が示せました。

(3)も図を描きながら条件を整理していくといいでしょう。$\mathrm{BE:EC}=1:2$ から下図の網目部と斜線部の2つの相似を考えることができます。

ここから、$\mathrm{AF:FE}=3:1$、$\mathrm{DI:IE}=3:2$ が分かります(後で使います)。

さて、求める四角形 $\mathrm{OFEI}$ の面積はやはり $\triangle\mathrm{OBC}-\triangle\mathrm{BEF}-\triangle\mathrm{CEI}$ と計算するのがいいでしょう。とりあえず、$\triangle\mathrm{OBC}=1$ として考えていきましょう。

ここからがこの問題の本題です。面積比の基本は高さの等しい三角形を利用することが第1です。そして、相似比から面積比を考えることが第2です。まず、手当たり次第に高さの等しい三角形を利用して考えてみましょう。こういう一見無駄に思えることが数学ではとても意味のあることだったりします。

$\triangle\mathrm{OBC}=1$ からすぐに $\triangle\mathrm{ABC}=2$ が分かります。次に、$\mathrm{BE:EC}=1:2$ から $\displaystyle \triangle\mathrm{ABE}=\frac{1}{3}\times \triangle\mathrm{ABC}=\frac{2}{3}$ となります。さらに、$\mathrm{AF:FE}=3:1$ から $\displaystyle \triangle\mathrm{BEF}=\frac{1}{4}\times \triangle\mathrm{ABE}=\frac{1}{6}$ となります。

同様にして、$\mathrm{BE:EC}=1:2$ から $\displaystyle \triangle\mathrm{DEC}=\frac{2}{3}\times \triangle\mathrm{ABC}=\frac{4}{3}$ であり、$\mathrm{DI:IE}=3:2$ から $\displaystyle \triangle\mathrm{CEI}=\frac{2}{5}\times \triangle\mathrm{DEC}=\frac{8}{15}$ となります。

したがって、$\mathrm{OFEI}$ の面積は $\triangle\mathrm{OBC}=1$ としたとき

$$1-\frac{1}{6}-\frac{8}{15}=\frac{3}{10}$$

となります。実際には $\triangle\mathrm{OBC}=\frac{1}{4}\times 6\times 8=12$ なので、求める面積は

$$\frac{3}{10}\times 12=\frac{18}{5}$$

となります。

塾長
1つ1つ高さの等しい三角形を追いかけていくと、それほど難しい問題ではないことが分かると思います。とは言っても、試験でこれを素早く解くとなると、やはり大変だと思います。

大問7(復習おすすめNo.2)

内容 空間図形

難易度 標準

最後はいつも通り空間図形の問題でした。平面図形の問題が少々重たい問題だったせいか、空間図形は割とあっさり目の問題でした。とは言いつつも計算量はそれなりにあるので時間的には厳しい問題と言えます。

(1)はねじれの位置の問題です。ABとねじれの位置にあるのはCDだけなので簡単ですね! と言いたいところですが、ねじれの位置がどんなものか実は正しく理解していない人もいるので要注意です。ポイントは平面を作れるかどうかです。2本の直線を定めると、それがねじれの位置でない限り1つの平面を作ることができます。逆に言えば、ねじれの位置にある2直線は1つの平面を作ることができないということになります。

塾長
教科書に書かれていることを表面的に覚えただけで理解した!と思い込まないようにしましょう。

(2)は回転体の体積を考える問題でした。回転体といっても基本的には円柱か円錐を考えるだけなので、そこまでビビる必要はありません。回転体で大切なことは断面がどのようになるかということです。この問題でも断面となる $\triangle\mathrm{AME}$ がどうなるかが分かれば解けたようなものです。$\mathrm{M}$ が $\mathrm{AB}$ の中点であること、$\mathrm{AE}=7\mathrm{cm}$ であることから以下のことが分かります。

$\mathrm{M}$ から $\mathrm{AD}$ に垂線を下ろし、その足を $\mathrm{H}$ とすると中点連結定理から、$\mathrm{AH=HD}$、$\mathrm{MH=3cm}$ がいえます。したがって、$\mathrm{AH=4.5cm}$、$\mathrm{AH=2.5cm}$ が分かります。

あとは $\triangle\mathrm{AMH}$ と $\triangle\mathrm{EMH}$ を$\mathrm{AD}$ を軸に回転させた円錐の体積を求めればOKです。

底面積はどちらも $3^3\pi=9\pi$ なので、

$$\frac{1}{3}\times 9\pi\times 4.5+\frac{1}{3}\times 9\pi\times 2.5$$

となりますが、わざわざ $4.5$ と $2.5$ に分けて計算するのは馬鹿馬鹿しいですね。因数分解したらとても簡単です。ここは一気に

$$\frac{1}{3}\times 9\pi\times 7=21\pi$$

と計算してしまいましょう。

塾長
なお、こういう計算まで公式化をしてしまう指導者がいますが、公式でもなんでもないので覚える必要はありませんよ。まあ、やってりゃ覚えるし、覚えてなくても普通に勉強している人なら途中で気がつきます。

さて、最後の(3)ですが、図を見ながらどうやって体積を出すか考えていきましょう。求めやすい立体はどれかな〜?と考えてみてください。私は真っ先に「三角錐E-BCDがすぐに求まりそうだな」と思いました。そうすると「求める図形の上側に乗っかっている立体を切り取ってしまえばいいな」という考え方につながっていきます。このとき上側に乗っかっている立体は「(2)をヒントにして2つの三角錐に割って考えられるぞ」というあたりまで行けばほぼ解けたようなものです。

まず、下図のように $\mathrm{AD}$ の中点 $\mathrm{L}$ をとります。ここから、三角錐A-MNL、E-MNL、E-BCDの体積を求めていきましょう。ちなみに三角錐A-MNLは普通に計算してもいいですが、せっかくなので相似比を利用する方法を採用します。

三角錐A-MNLとA-BCDは相似な立体で、相似比は $1:2$ となります。したがって、体積比は $1^3:2^3$ すなわち $1:8$ となります。

そうすると、三角錐A-BCDから三角錐A-MNLを引いた立体の体積は、三角錐A-BCDの $\displaystyle \frac{7}{8}$ となります。

三角錐A-BCDの体積は

$$\frac{1}{3}\times\frac{1}{2}\times  6\times6\times 9=54$$

となるので、三角錐A-MNLを引いた体積は

$$\frac{7}{8}\times 54=\frac{189}{4}$$

です。次に、三角錐E-MNLの体積は

$$\frac{1}{3}\times\frac{1}{2}\times  3\times 3\times \frac{5}{2}=\frac{15}{4}$$

であり、さらに三角錐E-BCDの体積が

$$\frac{1}{3}\times \frac{1}{2}\times 6\times 6\times 2=12$$

となります。したがって、求める立体の体積は

$$\frac{189}{4}-\frac{15}{4}-12=\frac{63}{2}$$

となります。

総評

とうわけで、全問を解いてみた感想は「今回は比較的簡単だった」ということです。しかし、私が簡単だと思っても中学生がどう感じるかは別問題です。また、近年の中高生の数学力の低下を見ていても、このレベルでも苦戦する生徒がかなり多いことが予想されます。個人的な感覚としては平均点が60点付近にいくようなレベルだと思いますが、実際には50点代前半くらいになるかもしれません。いずれにしても「点数」というのは1つの指標でしかないので、そんなものに振り回されずに、「自分がどこまでを理解しているか」ということを考えて今後の勉強に活用してほしいと思います。

なお、全体を通して計算量がかなり多いのが特徴的です。なるべく計算量を減らすための工夫を普段から意識しておきたいところです。たかが計算と思う人も多いのですが、計算が不要な問題はほとんどないので、小さな躓きを減らす意味でも、冬休みはもう一度計算を見直してみるのも良いかもしれません。

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