3年ほど前に下記のような内容のコラムを書きました。数学の指導をする中で感じた私なりの違和感を書いたのですが、ここ最近、その違和感が急速に大きくなってきており、違和感というよりも明確な危機感に変わってきています。

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実際には、上記のコラムを書く数年前から少しずつ良くない兆候を感じてきていたのですが、それが自分の指導する範囲の生徒にも見られるようになったのが3年ほど前だったわけです。

その後は、当ブログでも頻繁に危険な学習傾向についての記事を書いてきたのですが、今年度はそうした傾向をさらに感じる機会が増えてきたので、少しまとめておこうかなと思います。

教科書を読まない生徒の増加

教科書レベルの内容が理解できていない生徒が増えてきた頃から、塾生に学校の授業以外の勉強で教科書的な書籍をどの程度使っているかということを聞くようになりました。

塾長
教科書によっては不親切な記述のものもあるため、それに準じる参考書や書籍も含めて、いわゆる問題集ではないものをどの程度使用しているかということを聞いています。

以前は、だいたい6割程度の塾生が教科書的な書籍を使っていると答えていましたが、3年ほど前から全く使わないという生徒が9割ほどになってきています。使っているという生徒でも、自分の勉強の際に用いる割合は問題集:教科書が9:1くらいという生徒が圧倒的です。それほどまでに教科書の存在感は薄くなってきています。

もちろん、学校の授業で教科書の内容をじっくり丁寧に扱っているのであれば、自分で勉強する際は問題演習が中心となっても問題ありません。そして、教科書というのは、本来、そのような運用を想定して作られていると思います。

しかし、いろいろな学校の生徒に話を聞いてみると、教科書内容をじっくりと扱っている学校は少ないようです。とくに進学校では「教科書は予習で読んでくる」ことになっていて、授業では演習がメインとなっている学校も少なくありません。

塾長
読んでくると言っても、予習を想定して作られているとは思えないので、何となく眺めて終わりという生徒も多そうです。

そうした傾向もあって、教科書を買ったはいいもののほとんど使わないという高校生が増えてきています。教科書がボロボロになるくらいまで使い込んでいる生徒というのは希少な存在となってきているようです。

教科書を使って勉強する生徒は稀である

自習する生徒にも変化が

塾の自習室を利用するのは高校生と中3生が中心となりますが、自習していく生徒の勉強の様子にも少しずつ変化が現れてきています。とくに途中入塾の生徒が多い高校生はその変化が顕著です。3〜4年前までは、自習の際に塾のテキストを中心に勉強を進めている自習生が多くいました。

この塾テキストは、教科書ではあまり詳しく説明されていない部分の補足説明をする講義部分(いわゆる教科書的な部分)と、代表的な問題を取り上げて応用を学ぶ演習部分に分かれており、「テキストだけでひと通りの内容は学べる」ようにと作成しました。

実は、このテキストの誕生のきっかけは、1期生たちが「学校の授業では何も分からない」という悩みを持ちかけてきたことにあります。そのため、とにかく教科書の内容を詳しく掘り下げることにページを費やしており、かなり分量(文字数)となっています。しっかり読み込むのにはそれなりに時間がかかるものとなっています。大学受験のことも考えて、やや高度な内容も含んでいるため、自力で読み進めていても疑問点などが出てくるようになっています。

塾テキスト

以前はこのテキストに関する質問を持ってくる生徒が多かったのですが、最近はそういう質問はほとんどなくなってしまいました。というよりも、塾テキストを読んでいる生徒自体、あまり見かけなくなりました。

塾長
そろそろお役御免なのかもしれないなあと少し悲しい気持ちでいます。

勉強=問題集をやること

教科書を使わない生徒が増え、サクシードやスタンダードなどの傍用問題集やチャート式やフォーカスゴールドなどの分厚い問題集ばかりやっている高校生が増えてきました。もちろん、それで理解が深まっているのであれば問題ないのですが、解いているところを観察したりテストの答案などをみる限りでは「ものすごく浅い理解」で止まっている生徒が増えたように思います。

テストでも、理解していればとくに難しくないような基本的な問題がボロボロな一方で、応用問題はスラスラと解いているという「気持ち悪い状態」の生徒をよく見かけるようになりました。

塾長
$|x-1|<-1$ などを、場合分けしながら解いている生徒見ると、分かってるんかな?と思ってしまいます。そして、質問してみると案の定「解き方」をなぞっているだけだったりするんです。
問題を解くことは必要だが十分ではない

この話は授業でも散々しているのですが、なかなか伝わりません。

とくに高校生になると、いったん染み付いてしまった学習習慣を変えるのは難しいようで、どうしても問題集中心の勉強から脱却できずに、高校数学から脱落していく生徒が増えてしまいます。

そうした問題集中心の生徒たちは、不明な部分が出てきた場合には解説を読むらしいのですが、基本的には解説にはその問題に対する解説が書かれているだけで、一般的な理論や体系的な理論が書かれているわけではありません。そうした内容は、当たり前の話ですが、問題集ではなく教科書に書かれているわけです。

問題集を繰り返しやって理解が深まるということを言う人もいますが、大半の生徒は問題集を繰り返しやることが目的となってしまうため体系的な理解とは無縁のまま終わることになります。

塾長
こうした勉強法(のようなもの)は以前から存在はしていたものの、キワモノ扱いだったように思います。どうしてもできない人が、その場凌ぎのためにやるようなものだったと記憶しているのですが・・・

教科書を読めない

と、ここまでの話は以前のコラムでも指摘していた部分で、昨日今日で降って湧いた話ではありません。その先にも、いろいろな問題が出てくるのです。

最初に出てきたのがこれでした。

教科書を「読まない」のではなく「読めない」

実際に指導をしてみると「教科書をどう読むか」という基本的なことさえ知らない生徒が多くて驚きます。

教科書は何となく授業中に開いておく程度のものという認識の生徒が多いようで、教書の記述を読んで細部を確認したり、例題をやってみたりという使い方をしている人はほぼゼロに等しいということが分かりました。

そこで、「まずは教科書を読むことから始めよう」という話になるのですが、小説のように数学のテキストを「読む」生徒が多くてびっくりします。ただ、書かれている文字を追っているだけなのです。

塾長
小説などを読む場合はそれで構いませんが、数学の教科書をそうやって読んでも、そりゃ何も分からないだろうな・・・

教科書を「読む」とは

数学の教科書には、数式やら図やらいろいろ出てくることになるので、単に文字を目で追うだけでは書かれていることの一部しか把握できません。そのため、必ず紙と鉛筆を用意して、あれこれと書き出したりしながら読むことになります。

単に書かれている文字・記号を目で追うだけでは読んだことにならない

ということは肝に銘じておきましょう。とくに、文字を含んだ抽象的な内容では、必ず具体的な値で確認をしたりすることが必要不可欠です。その際、ごく普通の整数だけではなく、負の数や無理数なども考えてみることが大切です。また、数値だけではなく図などを用いて理解の助けとすることも大切です。

塾長
私は教科書にごちゃごちゃ書き込む派だったので、余白にいろいろと書き込んでいました。ズボラなので、とりあえず教科書さえ見れば大体のことは把握できるようにしておきたかったのです(笑)

そうやって、いくつか具体的なものを作ってみたら、それらを再度抽象化してみて定理や公式が実際に成り立つことを確認することが大切です。また、なぜそのような形で表すのか、などについても考えてみることが必要です。

もちろん、それでも完全には理解できないことが大半です。とくに抽象度の高いものは、簡単には理解できません。そのため、教科書には例がついています。その例をやってみながら理解を深めていくことが大切です。さらに言えば、例を2つ3つやったところで「まあそうだけど・・・」くらいにしか深まらなかったりします。そこで、問題集なども利用して具体例をいくつもやっていくことが必要となるのです。

塾長
そして、それを繰り返すうちに「あ、なんだそういうことか(でも実は勘違い)」となるのです。もちろん、実は勘違いなので、少し違う角度から考えると「やっぱりおかしいぞ」みたいなことになります。数学の勉強はその繰り返しのようなものです。でも、そのうち本当に「なんだそういうことか!」となります。その感覚はとても大事なのです!

最低でもこのくらいのことをやりながら教科書を「読む」ことになります。問題集をやるというのも、実は教科書を読む作業の一部分のようなものだという認識が持てるといいのではないかと思います。

というわけで、今回の定点観測はここまでとしておきます。

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