というわけで、とうとうこの時期がやってきてしまいました。そう、冬です。ふ・ゆ。「まだ秋じゃねえか!」という人もいますが、個人的にはもう冬です。誰がなんといっても冬です。
西日本の温暖な気候で育った私には、北陸の冬というのは何年経っても慣れるものではなく、冬が訪れるたびに鬱々とした気分になってしまいます。しかし、仕事柄、冬こそ頑張らなければならないため、体に鞭を打ちながら頑張っておるわけです。ああ、神よ!
文章くらいはテンション高めでいきたいので、今日はクッソ長いタイトルの割に軽めの文体となっております。ご了承ください。てへぺろ。
昨日、ようやく石川県総合模試の解説記事を書き上げ「よっしゃ!これでしばらくは記事を書かなくてもOKだぜ〜へっへっへ」なんて思っていたのですが、やはり受験勉強が本格化してくるとHPのアクセス数も増えてきます。問い合わせだけでなく、学習相談のメールも結構いただきます。悩みを抱えながら受験勉強を頑張っている方がたくさんいらっしゃるでしょう。そんな悩みを放っておくことなんて、できない!
炬燵に入ってみかん食べたい欲に負けることなく、しっかりと記事を更新していきたいですね。
というわけで(2回目)、気を取り直して本日のお題を紹介しておきましょう。高校生が模試結果を持ってきたときに起こった過去の実話(のようなもの)です。
ちなみに、
なんていう事例もあったりします。
こうした相談は実は毎年のように受けるのですが、よ〜〜〜〜く聞いてみる(ここ大事!)と「君、それは全然できてないんじゃないか?」となることがよくあるのです。
そう、大抵の生徒が言う「できた」というラインは、非常に低いことが経験上分かっております。
稀に武士のような生徒がいて、ほんの少しのミスや勘違いでも「塾長、これは切腹ものです。数学には向いてないであります。」なんていう人もいるにはいます。でも、そういう生徒は塾生でも過去に2人ほどしか思い浮かびません。そのくらい、生徒が言う「できた」という言葉は当てにならないものなんです。
では、「できた」と思っているけど実はそうでもないぞ、というのはどういうものなのか、具体例として下のような問題を考えてみましょう。
ちゃんと理解している人であれば、何も計算しなくても「解はねえよ!」と瞬時に分かるわけですが(これ大事!)、「テスト前はできてたんすよね〜」というA君タイプの人は、実際にはこんな風に考えていたりします。
$x-1<0$ のとき、すなわち $x<1$ のときは $-(x-1)<-1$ から $2<x$ で、$x<1$ より解なし。
つまり、解なし!
断っておきますが、この答案には間違いはありません。なので、テストの答案としては何の問題もないのです。実際に模範解答には上記のような解答が書かれていて、A君も「これでバッチリ理解できたな」と思うわけです。
これが、生徒の言う「できた」のラインの最も代表的なものでしょう。
しかし、これだけで「できた」と片付けてしまう人には「ちょっと待たんか〜い!」と突っ込みたくなるのです。
で、どのくらいの理解度なのかを知るために、A君に「なんでこういう風に考えたのか」を聞いてみると
A君の主張はまったくもって正しいわけですが、その理解は絶対値の一側面を理解しただけにすぎません。そもそも、これだけでは場合分けの手順に沿って解いただけであって、絶対値とはどういうものかを完全に理解しているとは言い難いです。
絶対値がどういうものか、少なくとも教科書に書かれている内容をちゃんと理解している人であれば、そんな場合分けよりも先にもっと当然のことを考えます。
こんな感じで一瞬で解いてしまうのではないかと思うのです。
具体例として、$|2|=2$ や $|-1|=1$ あるいは $|0|=0$ などをやっていけば、$|A|\geqq0$ となることはすぐに把握できますが、 $A=\begin{cases}A&(A\geqq0)\\-A&(A<0)\end{cases}$ のようにするんだ!という認識だけでは、$|A|\geqq0$ という当たり前のことを認識できない人も出てきます。
このように、理解したと思っていたけど実際には処理手順を追っているだけで、よく理解していなかったというケースはたくさんあります。
とか、
とか、生徒の発言にはそんな感じの「浅さ」が含まれていることは、きちんと指導者側が認識しておかなければならないのです。
その上で、そうした浅い理解を気づかせるような問題を用意することが大切となるのです。
できる問題をやらせて自信を持たせるのが大事だという人もいますが、そういうテスト至上主義とは距離を置いてますので・・・
というわけで、テストになるとできないというのは、「実はテスト前からできていない」というケースが大半なわけです。
定期テストなどの場合は、直前の授業でやったことや、手元にある問題集とほぼ同じ解答フォーマットをもつ問題が並んでいるので、先程のような浅い理解であってもできてしまうのですが、模試や入試問題などになると、そうした浅い理解では砕け散ってしまうことになります。
問題を作っている人は数学ができる人ですから、よくある「浅い理解」ではどうにもならないような問題をしっかりと用意しているということは忘れないようにしましょう。
というわけで、勉強する際には「もしかすると分かっていないかもしれないぞ」という戒めのようなものは持っておいたほうが良いと思います。
おまけ
ちなみに、指導者の能力が低い場合は、以下のような地獄のやりとりが行われてしまうのも「あるある」であることを付け加えておきます。
実は、こうした方法の方が手っ取り早くテストの点数が上がるので、悩める生徒にしてみれば「あの先生は神だ!」となってしまうのです。そして、数学が得意だという自信(のようなもの)を得ることもできて、ハッピーな結果を得られるように見えます。テストの点数が上がればそれで十分だという人は、こうした方法でもOKだと思います。ただ、数学についての理解はまったく深まっていないどころか、大きな勘違いをしているままであることも指摘しておきます。そして・・・あ、ちょっと時間がきてしまいましたね!笑