中学3年生は私立高校の一般入試が終わり、公立高校入試まであと1ヶ月ほどとなりました。というわけで、今日は公立高校入試までの1ヶ月ほどの時期をどのように過ごせばよいか、ということについて書いておきます。
基礎の確認をすること
「基礎の確認をする」ということを言うと、簡単な問題をやればいいという勝手な解釈をする人がいるのですが、それは違います。
基礎というのは、概念を正しく把握できているかどうかとか、何気なくやっている操作は本当に正しいのか(なぜ可能なのか)とか、定義を正しく認識しているかどうか、そういう部分です。
基礎が大事だという話は誰もがすると思います。それくらい基礎というのは数学では大切なものとなります。これは数学に限った話ではありませんが。なので、基礎の部分はどれだけ勉強してもしすぎるということはありません(なんか英作文の問題みたいな文章ですね)。
というわけで、塾長的には、残り1ヶ月間でいちばん重視してもらいたいのは徹底的に基礎の点検をするということになります。
たとえば「平行四辺形とはどんな図形か」と聞かれたときにきちんと答えられるかどうか、とか、「平方根とは何か」と聞かれたときにきちんと答えられるかどうか、なんてことを確認してみるといいかもしれません。
そうやって、基礎の部分を点検していくと
と不安になる人が結構いるのではないかと思います。実は、この基礎が疎かになっている受験生が本当にたくさんいるのです。
そうした部分を1ヶ月で完全に潰すのは難しいと思いますが、少なくとも「理解できているもの」と「できていないもの」とに分類しておくだけでもかなり違います。また、「とりあえず解けるけど分かってはいないな」という曖昧なものは、いったん保留をして後回しにしても大丈夫です。数学では、とりあえず進んでみることで解決するものもよくあります。
ごちゃごちゃと書きましたが、勉強は基礎からスタートしてあちこちを巡りながら、再び基礎に戻ってくるものです。
そう考えると、基礎はいちばん時間をかけるべき部分とも言えます。また、いちばん難しい部分であるとも言えます。ただ、いったん基礎が出来上がってしまえば、難しい問題に当たったとしても自力で突破していく力がつくでしょう。
受験生の皆さんは「点数が取れてるし大丈夫!」と楽観的に考えずに、もう一度、足元を見つめてみるといいと思いますよ!
頻出分野を重点的にやること
石川県の公立高校入試は、確率・規則性・方程式・関数・平面図形・空間図形といった入試としてはオーソドックスな分野から出題されます。そのため、入試演習用の教材であればどのようなものであっても有効に利用できると思います。もちろん、年度によって出題内容は多少異なりますが、すべてを網羅しようというのはあまり効果的な勉強とは言えません。
まずは、よく出題される分野の問題に絞って、いろいろなバリエーションの問題をやってみることが大切です。余裕がある人は問題集であれこれ挑戦してみるといいでしょう、
ただし、問題演習をする場合には、気をつけるべきことが結構あります。
「問題演習をやる」となると、「たくさん問題をやればいい」とか「何周も繰り返しやればいい」といった短絡的な方法論に突っ走る人がいます。「たくさんやる」「繰り返しやる」ことは大切なのですが、それが目的となってしまうと、全く効果のない勉強になってしまう危険性が高いので要注意です。
こんな受験生が思ったよりも多いように思います。とくに、数学な苦手な人ほど、こうした短絡的な方法論に走る傾向があるので気をつけましょう。
もともと数学がある程度できる人であれば、こういう方法でも自ら発見をしながら進めていけるのですが、そうでない人にとっては数学が嫌いになる原因を作ってしまうことになります。とくに保護者の方には気をつけていただきたい部分です。
数学では100問あったら、100問の解き方・考え方があるわけではありません。ましてや「100問の解き方を覚えよう!」などというのは、数学とは対極にある考え方と言ってもいいでしょう。そうではなく、100問をやる中で、繋がりを発見したり、何が同じか、何が違うかなどを考えることが大切なのです。そんなことを全く考えずに、ただ問題演習マシーンのように演習を繰り返しても、あまり得られるものはないのではないかと思います。
いろいろ惑わされないこと
入試に向けて、いちばん大事なことは、実はメンタル面かもしれません。メンタルという言葉はなんとなく胡散臭いのですが、そうは言っても無視することのできないものです。
本番で緊張するのは当たり前の話ですが、過度に緊張したり、あるいは逆に全然緊張感がなかったりするのは、メンタルに何かしらの問題を抱えていることが良くあります。
実際にこれまで見てきた受験生にも、豆腐メンタルな受験生が多く、本番で緊張しまくって失敗したという事例も少なくありません。緊張すること自体は問題はないのですが、それによってメンタルが崩壊してしまうのはいけません。
とくに、入試が近づいてくるこの時期は「ボーダーライン」だとか「合格予想点」だとか、そういう情報が嫌でも目に入ってくることになります。「入試は情報戦」「合格に必要なことを知らないとダメ」などと不安を煽りまくる悪質な塾もあるようで、毎年、公立高校入試の直前期になるとそうした不安を抱えて相談にいらっしゃる方がいます。
まずは、そういう情報に惑わされないことが大切です。場合によっては雑音はシャットアウトすることも必要となります。
入試情報については「大雑把な傾向」くらいの認識で十分です。入試のようなデータの解析は、素人が簡単に判断できるような易しいものではありません。
しかし、そうしたデータに踊らされてしまって、肝心の勉強が疎かになっている人をよく見かけます。「そこじゃないだろう」という思いを抱いてしまうのですが、周りが見えなくなってしまっているのでしょう。合格ラインまでは○点だからあと○点アップを狙おうなんていう話も出て来たりするのですが、その○点は狙って取れるものなのでしょうか。結局は取らぬ狸の皮算用に過ぎないと思うのですが、こうした話が好きで、そればかり言っている人がいます。
そんな見えない「○点」の話をするのではなく、もう少し自分に目を向けて欲しいところです。他人はあくまでも他人。自分はどうなのか、自分自身としっかりと向き合いましょう。不安は誰もが持っているはずです。その不安としっかりと向き合うことが大切ではないかと思います。その上で、「自分はどういう選択をするか」ということを考えてみてください。