中学3年生は平方根の定義を終えて、根号を含む計算問題をやっています。
根号を含む計算は、公立高校入試でも必ず出題される問題なのですが、面倒な計算をやって計算ミスしてしまう人をよく見かけます。
乗除について
問題集などでは「根号計算の公式」といった感じで、以下のようなものが掲載されています。
$$\boldsymbol{\sqrt{a}\times \sqrt{b}=\sqrt{ab}}$$
$$\boldsymbol{\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\sqrt{\frac{a}{b}}}$$
つまり
$$\sqrt{3}\times \sqrt{5}=\sqrt{15}$$
$$\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}=\sqrt{\frac{3}{5}}$$
のように計算するということです。
ちなみに、さらっと書いてある「$a>0$,$b>0$ のとき」というのが実は大切だったりするのですが、残念ながら「計算の方法」の方ばかりが強調されている場合がほとんどです。
また、除法については $\sqrt{15}\div\sqrt{5}=\sqrt{3}$ のような計算も可能なのですが、ここまで確認できている人は案外少ない印象があります。
根号を簡単に
次に、根号内をできるだけ簡単にしましょう、という話が出てきます。
$$\boldsymbol{\sqrt{a^2b}=a\sqrt{b}}$$
個人的にはこのあたりから、何となく不満が増えてきます(笑)
こう書いてあると、真面目な中学生は次のような計算をします。
$$\sqrt{12}=\sqrt{2^2\times 3}=2\sqrt{3}$$
この計算自体は間違いではないので悪くはないのですが、ちょっとした操作の積み重ねが後で問題になることも。
できれば、$\sqrt{12}=\sqrt{4}\times \sqrt{3}$ のような分解で考えることもできるようになっておきたい部分です。
分母の有理化
そして、分母の有理化というものも出てきます。
$$\boldsymbol{\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\frac{\sqrt{a}\times\sqrt{b}}{\sqrt{b}\times \sqrt{b}}=\frac{\sqrt{ab}}{b}}$$
この公式自体が不要な気もしますが、あまり毒を吐きすぎるのもよくないですね(笑)
これについても、計算自体は難なくできるという中学生がほとんどです。
$$\frac{2}{\sqrt{5}}=\frac{2\sqrt{5}}{5}$$
のようにサッと計算してくれます。問題はこの有理化をいつするのか、ということです。
「この形が出て来たら有理化しなければならない」と思い込んでいる人もいます。
そのため逐一有理化をするという、面倒な計算をやっている中学生もいます。
個人的には、有理化なんて別にしなくてもいいし、やれと言われたら最後にやればOKと考えています。
現実の計算は
と、こういう「まとめ」と「基本問題」をやったら、最後にちょっとした応用問題が出てくるのが定番の流れです。
では、この問題を計算してみましょう。答えが $2\sqrt{2}$ となっていれば間違いはありません。
しかし、大事なのはどのように計算をやっているかという部分です。
よくある計算例
律儀な中学生は
$$\sqrt{18}=\sqrt{3^2\times 2}=3\sqrt{2}$$
$$\frac{2}{\sqrt{2}}=\frac{2\times \sqrt{2}}{2}=\sqrt{2}$$
のように計算して、$3\sqrt{2}-\sqrt{2}=\sqrt{2}$ と計算していたりします。
もちろん、基本通り忠実にやるということは大切なので、この方法がダメというわけではありません。
ただ、ある程度練習をやってきたのであれば、少し違った方法でやってみることが大切です。
そういうことをやらないと、気がつかないうちに「こう計算するもの」という固定された考え方が無意識のうちに作られてしまいます。
暗算でやってみる
「途中式を丁寧に書こう」という指導をする人は多いのですが、途中式を丁寧に書いても計算ミスが減ることはあまりありません。
大切なことは、計算をシンプルにしできる限り計算をしないように工夫することです。
そのためには暗算力を高めていくことが不可欠ですね。
この根号計算についても
$$\sqrt{9}\times \sqrt{2}-\sqrt{\frac{4}{2}}$$
などと考えることができれば、暗算での処理が可能となってきます。
計算ミスを減らすために
計算の工夫というのは、教科書や問題集の模範解答をなぞるような方法ではなかなか身につきません。
あるいは演習量を増やすというのも、同じことを反復しているだけでは、むしろ思考が固定化されてしまう危険が高くなります。
また、「工夫しましょう」と言われれば「よし、工夫してみるか!」となるわけですが、それでは「言われないとできない」人間になってしまうだけです。
計算の工夫というのは、どんな計算をするときでも常に意識しておくべきです。
また、模範解答がいつも簡単な計算方法とは限りません。
「ちょっと違う方法でやったらもっと簡単にならないだろうか?」と常に自分で試してみることが大切です。
計算ミスが減らないからといって、計算問題がたくさん載っている問題集を何周もやらせるというのは効果があるのか甚だ疑問です。
それでは余計に嫌いになってしまうのではないかと思います。
そうではなくて「ちょっと違う角度から考えてみるとどうなるか」という視点の切り替えの方が大切ではないかと考えています。