センター試験から共通テストに切り替わって今年で3年目となりますが、まだテストが安定しない感じですね。仕方のないことですが。
とくに数学はセンター試験時代と比べて「何考えてるんだろう」というレベルで難しくなりました。これに関しては、問題評価についての報告書を大学入試センターが公表しています。
令和4年度大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書(本試験)
本当に数学が得意な人は、あまり関係なく点数が取れると思いますが「得意とは言えないけどそれなりに得点できる」という人が全滅するような感じのテストでした。結果的に、綺麗な山型の分布にはならず、ピラミッドのような分布になっていました。
2022年度大学入学共通テスト(ベネッセ・駿台)(PDFが開きます)
とくに計算量の増加は著しく、これが原因となって時間内に解けない人が続出したのではないかと思います。だんだんと計算力がないとキツいテストになってきていることは事実です。ただし、計算量に関しては、今後、多少改善されることが予想されます。しかし、それでも余裕のある時間設定になることはないと思うので、引き続き計算力を高めていく必要があるでしょう。
で、その肝心な計算力ですが、これは闇雲に計算問題を練習するだけではなかなか身につかないものです。
もちろん、基本的な計算ルールが曖昧になっているものは、そうした計算問題をやっておく必要がありますが、本番で求められる計算力というのはそれとはちょっと異なるものです。
どちらかと言えば、問題の中でいかに効率よく計算をするか、あるいは計算をせずに済ませるかということです。
例えば2次関数 $y=x^2-2x+a$ について、最初に頂点の座標を求めさせ、次にグラフが $x$ 軸と2点で交わるような場合を考える問題です。
当然、$y=(x-1)^2+a-1$ となるので頂点は $(1,\ a-1)$ となります。そして、グラフが $x$ 軸と2点で交わることを考える際に、なぜか判別式を考える人が出てきます。判別式を使っても間違いではないのですが、余計な計算をすることになります。
実際に判別式を計算すると、$D/4=1-a$ となります。これが正の値となれば良いので、$1-a>0$ すなわち $a<1$ となります。
が、こんなことをしなくても、$y=x^2-2x+a$ は下に凸の放物線なので、頂点の $y$ 座標が負となればグラフは $x$ 軸と2点で交わります。
頂点の座標はすでに求めているので、$y$ 座標について、$a-1<0$ すなわち $a<1$ です。
当たり前ですが同じ結果になります。
これはセンター試験時代から使い古されたネタなので、すでに知っているという人も多いでしょうが、案外、このような無駄な計算をやっていることがあります。
こういうものに関しては、平方完成の練習を一生懸命やっても意味がありませんし、判別式を計算する練習をしても意味がありません。2次関数や2次方程式の基礎的な内容を正しく理解しているかどうかが計算に影響を与えてきます。計算力というのは、このような総合的な力であるという認識を持っておくと良いでしょう。
そして、こうした計算力は一朝一夕で身につくものでもありません。普段の学習から、計算を工夫できないか、無駄な計算をしていないか、などと考えて練習しておくことが大切です。