現在、中学2年生では証明の問題を扱っています。
この証明の単元ですが、毎年、Twitterなどでは「減点される・されない」の話が盛り上がります。
あ、「減点される・されない」については、証明の単元だけでなく、あらゆる単元で盛り上がりますね(笑)
中学2年生では、三角形の合同の証明が中心となりますが、この合同の証明をどうするか(どう書くか)はたびたび問題になります。
例えば、以下のような問題を考えてみます。

これを以下のように証明したとします。
また、$\displaystyle\mathrm{AE=\frac{1}{2}AC}$、$\displaystyle\mathrm{AD=\frac{1}{2}AB}$ なので、$\mathrm{AE=AD}$
したがって、$\triangle\mathrm{ABE}\equiv \triangle\mathrm{ACD}$
よって、$\mathrm{AE=AD}$
仮にこれが10点の配点の問題だとして、一体何点になるのかという話です。ちなみに、数学的には何の問題もなく証明できています。
このとき、いろいろなローカルルールのようなものが存在するようで、例えば「仮定より」と書いていないと $-1$ 点、三角形の合同条件が書かれていないので $-3$ 点などという採点が存在します。このような減点は妥当なのでしょうか。
塾生の話を聞く限り、多くの場合、証明のテンプレートのようなものがあり、それに沿った形で証明を書くように指導されているようです。これは、上記の「仮定より」であったり、三角形の合同条件を「二辺とその間の角がそれぞれ等しいので」のように明記するようなものです。
確かに、こうしたテンプレートを用意しておけば「とりあえず」それっぽい形にはなるでしょう。生徒の答案を見ても、コピペしたのかというくらい証明の書き方が同じになっています。しかし、テンプレートでは書ききれないような証明が出ると「できません」という生徒が増えてきます。証明できるかどうかではなく、テンプレに沿って書けるかどうかが判断の基準となってしまい、別の問題が発生します。
大切なのは、証明は「正しいかどうか」ということであって、「書き方」の問題ではないということです。もっと言えば、正確さが大事であって、丁寧さというのは証明とは別の問題であるということです。
にもかかわらず、丁寧さの部分で減点されるケースが多いため、生徒は「どう書くか」ばかりに気を取られてしまい、肝心の証明が疎かになってしまったり、余計な苦手意識を持ってしまうことになります。
何度も言いますが、証明では「証明できている」ということが大切です。
仮に「二辺とその間の角がそれぞれ等しいので」と書いていなかったとしても、答案には、二辺がそれぞれ等しいこと、また、その間の角が等しいことが示されているわけですから「証明できていない」ということにはなりません。
もちろん、丁寧さについて指導するのであれば「書いてある方が読み手は分かりやすいよね」くらいのアドバイスをするにしても、減点というのはやりすぎではないかと思います。また、こうした本筋と外れたところでの減点が、不要な数学嫌いを生んでいることも気をつけるべきことです。