【最終回】2022年度第8回石川県総合模試の数学を解いてみた

塾長
前回の第7回総合模試の解説は時間がなかったのでやりませんでした。「今回の解説ないんですか?」というメッセージを何件かいただいたのですが、金沢市統一テストの解説を優先させてもらいました。申し訳ありません。今回は石川県総合模試も最終回なのでしっかり解説したいと思います。

先日、2022年度の最後の石川県総合模試が実施されました。私立高校の入試も終わり、公立高校入試に向けて最後の追い込みをかける時期になりました。本番までの約1ヶ月を充実したものにするためにも、模試の復習をしっかりとやっておきましょう。とくに連続で模試を受験してきた人は、この機会にもう一度、すべての模試に目を通してみてもいいかもしれませんね。本番までにクリアすべき課題を明確にし、残りの1ヶ月のスケジュールを考えていきましょう。

概観

全体のセットは大問数7、小問数22といういつも通りの構成でした。

最終回ということもあり、中学3年内容を中心にして満遍なく出題されていました。全体的に気の抜ける問題が少なく、数学が苦手な人にとってはなかなかツラいテストだったかもしれません。しかし、1つ1つの問題を見ると入試標準レベルの範囲に収まる問題であり、上位校を狙う人であればきちんと解き切って欲しい問題ばかりでした。この時期であれば、受験生のみなさんも学力的にほぼ完成していると思うので、平均点もそれなりになるのではないかと思います。

全体的な難易度 標準

各問題の概要

ここからは大問ごとの解説となります。実力アップに繋がりそうな問題は詳しい解説をつけておきます。手元に問題を用意してご覧ください。

大問1

内容 小問集合

難易度 

今回の大問1は比較的得点しやすい問題が多かったので、できれば満点を狙いたいところです。(3)以降の問題は、油断すると

(1)の計算はとくに問題はないと思いますが、ウ・エ・オと計算ミスをしやすい問題が続くので気をつけましょう。根号計算については毎回指摘していますが、面倒な計算をわざわざやってミスしている人を見かけるので、できるだけ簡潔になるような計算方法を考えてみてください。

$$8\sqrt{12}-\sqrt{48}\times \frac{\sqrt{45}}{\sqrt{5}}$$

今回の計算ですが、私は

\begin{align*}
&8\sqrt{12}-\sqrt{4\times 12}\times \sqrt{9}\\
=&8\sqrt{12}-6\sqrt{12}\\
=&4\sqrt{3}
\end{align*}

くらいの感覚で暗算しています。丁寧に書きすぎてもミスを誘発するので、必要最小限の途中式で済ませたいですね。

(2)は $x^2-2x-1=0$ を解けという2次方程式の問題でした。因数分解できないので解の公式を使った人が多かったかもしれませんが、ここは平方完成を狙っていきましょう。

\begin{align*}
x^2-2x&=1\\
(x-1)^2-1&=1\\
(x-1)^2&=2\\
x-1&=\pm\sqrt{2}\\
x&=1\pm\sqrt{2}
\end{align*}

このように解く方が、今度何かと役に立つと思います。

(3)は円が関係する角度の問題でした。

図のような角が与えられた場合の $x$ を求める問題です。模範解答のように解くのがシンプルで洗練されているかもしれませんが、ここでは私が解いた方法を紹介しておきます。

図のように $\mathrm{F}$ を定め、角 $a$、$b$、$c$、$d$ を考えます。円周角定理から $\angle\mathrm{ADF}=68^\circ$ は大丈夫でしょう。

このとき、$a$、$b$、$c$、$d$ について三角形の外角を考えることで

\begin{align*}
a+c&=68^\circ\\
b+d&=68^\circ
\end{align*}

が成り立ちます。辺々を加えると

\begin{align*}
(a+b)+(c+d)&=136^\circ\\
x+90^\circ&=136^\circ
\end{align*}

となるので、$x=46^\circ$ が求まります。

(4)は式の値を求める問題です。いきなり代入してゴリゴリ計算してもいいのですが、それでは問題の意味がありません。やはり工夫を考えてこそでしょう。

$a^2-b^2=(a+b)(a-b)$ と因数分解できるので、これを利用します。

$$a+b=(\sqrt{7}+\sqrt{2})+(\sqrt{7}-\sqrt{2})=2\sqrt{7}$$

$$a-b=(\sqrt{7}+\sqrt{2})-(\sqrt{7}-\sqrt{2})=2\sqrt{2}$$

より、$a^2-b^2=2\sqrt{7}\times 2\sqrt{2}=4\sqrt{14}$ となります。

(5)は単純な間違い探しです。中央値や四分位範囲が関係するので、できれば小さい順にデータをならべて考えるといいでしょう。分布の範囲は $10-1=9$ なのでアは間違いです。最頻値は7ですが、中央値は書き出してみると5と6の平均となるため間違いです。四分位範囲は、第1四分位数が4、第3四分位数が7となるので、$7-4=3$ となりこれが正しいことがわかります。

塾長
今回の大問1は少しだけ捻りのある問題でしたが、これくらいであれば満点を取りたいところです。上位校を狙っている人は絶対にミスをしないようにしたいですね!

大問2

内容 確率

難易度 標準

大問2は確率の問題でした。問題文が長く、見た瞬間に「ああ面倒くさそう」と思った人もいたかもしれませんね。ごちゃごちゃ書いてありますが、やってみるとそこまで面倒ではありません。見た目に引きずられないようにしましょうね。

(1)で大事なことはサイコロを振って座標を定めるということです。大小2つのサイコロを振り、大きいサイコロの出た目を $a$、小さいサイコロの出た目を $b$ として点 $\mathrm{P}(a,\ b)$ が定まります。このとき、点 $\mathrm{P}$ から $x$ 軸、$y$ 軸に下ろした垂線の足をそれぞれ $\mathrm{Q}$、$\mathrm{R}$ とするということです。その上で長方形 $\mathrm{PROQ}$ の面積が20以上となる確率を求める問題です。

1つの例として、$\mathrm{P}(4,\ 5)$ の場合が挙げられています。このときの面積は $4\times 5=20$ となります。

このように面積が20以上になるための必要な条件を考えます。1つの目が3となる場合、組にできる最大の目は6となりますが、このとき(上図の色付きの部分)は

$$3\times 6=18$$

となり、面積が20未満となります。したがって、3以下の目が出る場合はすべて不適となります。

あとは、4以上の目で面積が20以上となる組を考えると

(4,5) (4,6) (5,4) (5,5) (5,6) (6,4) (6,5) (6,6)

の8通りとなります。

(2)は少し面倒でした。新たに以下のような問題が設定されます。

点 $\mathrm{O}$ を原点とする座標平面がある。1から6までの目が出る大小2つのさいころを同時に投げるとき、大きいさいころの出る目の数を $a$、小さいさいころの出る目の数を $b$ とし、座標平面上に点 $\mathrm{P}(a,\ b)$ をとる。$n$ を自然数とするとき、点 $\mathrm{P}$ が関数 $\displaystyle y=\frac{n}{x}$ のグラフ上にある確率を求めなさい。ただし、2つのさいころはともに、どの目が出ることも同様に確からしいとする。

その上で、この問題の答えとなる確率が最も大きくなるような $n$ の値を全て求めよという問題です。このままでは、ちょっと把握しにくいので適当な $n$ を与えて具体例を作ってみましょう。

これは $n=6$ の場合の例となります。このとき $\displaystyle y=\frac{6}{x}$ のグラフ上に存在し得る $\mathrm{P}$ は

(1,6) (2,3) (3,2) (1,6)

の4点となります。したがって、$n=6$ の場合に確率は $\displaystyle \frac{6}{36}=\frac{1}{6}$ となります。

結局、この具体例では $6=xy$ を満たす自然数の組が何組あるかを考えることと同じです。$x$ と $y$ は1から6までの値しか取れないので、$n=xy$ の関係を表にまとめてみると下のようになります。

このとき、表中の数字が $n$ となります。6と12がともに4回ずつ現れるので、これが最大となります。

塾長
(2)が少々面倒な感じがしましたが、気づいてしまえば大した問題ではありません。大事なことは、見えにくい場合に具体例などを自分で作って見通しをよくするということです。こうしたことを普段から習慣として取り組んでおくことが大切ですね。

大問3

内容 関数と図形

難易度 標準

大問3は関数と図形の融合問題でした。とくに(3)のような問題は頻出なので、本番までに抜かりなく準備をしておきたいですね。

まずは問題の設定を確認しましょう。上図のような設定で、点Pは $\displaystyle t=\frac{1}{3}x^2$ 上の $x>0$ の部分を動く点となります。

(1)は点Qの $y$ 座標が10のときの直線APの式を求める問題です。Aの座標は $(-3,\ 9)$ で、Qの座標は $(0,\ 10)$ となるため、直線APの傾きは $\displaystyle t=\frac{1}{3}$ とすぐに求まりますね。このくらいは計算しなくてもパッと分かってほしいところです。よって、求める直線の式は

$$y=\frac{1}{3}x+10$$

です。

(2)は点Pの $x$ 座標が $3\sqrt{3}$ のときの点Qの $y$ 座標を求める問題です。まずは、Pの $y$ 座標を出してみましょう。

$y=\frac{1}{3}\times (3\sqrt{3})^2=9$

となるので、A、P、Qはすべて $y$ 座標が等しくなることが分かります。よって、Qの $y$ 座標は9です。

(3)がこの問題のメインです。

Aを通って $y$ 軸に平行な直線と $\displaystyle y=\frac{1}{3}x^2$ との交点をB、Bと $y$ に関して対称な点をC、Pの $x$ 座標が8のときの、四角形BCPQの面積(色付き部分)を求める問題です。求め方はいろいろあるのですが、計算が単純になりそうなものを考えていきましょう。

ここでは、下図のように台形から2つの三角形の面積を引く方針で求めるのがもっとも計算が簡単になりそうです。

図のようにDを定めると、$\mathrm{A(-3,\ 9)}$、$\mathrm{B(-3,\ 3)}$、$\mathrm{C(3,\ 3)}$、$\displaystyle \mathrm{P\left(8,\ \frac{64}{3}\right)}$、$\mathrm{D(8,\ 3)}$ のようになります。さらに、各辺の長さを求めていくと、$\mathrm{AB=6}$、$\mathrm{BD=11}$、$\displaystyle \mathrm{DP=\frac{55}{3}}$ となります。

このとき、台形ABDPの面積は

$$\frac{1}{2}\times\left(6+\frac{55}{3}\right)\times11=\frac{803}{6}$$

三角形ABQの面積は(底辺AB、高さはBの$x$ 座標から3となる)

$$\frac{1}{2}\times6\times 3=9$$

三角形CDPの面積は(底辺CD、高さDP)

$$\frac{1}{2}\times 5\times \frac{55}{3}=\frac{275}{6}$

したがって、求める面積は

$$\frac{803}{6}-9-\frac{275}{6}=79$$

となります。

塾長
模範解答は少し違う図形を考えていましたが中途半端な感じになっていたので、思い切って台形から引く方が見通しが良いと思います。私も最初に思いついたので。

大問4

内容 方程式

難易度 

今回の方程式は易しい問題でした。ここはしっかり得点しておきたいところです。

与えられた条件を簡単にまとめると以下のようになります。

  • 中学3年生は全員で125人
  • 部に所属していない生徒が5人
  • 運動部:運動部以外の部の人数比は $7:3$
  • 男子の $\displaystyle\frac{3}{4}$ と女子の $\displaystyle\frac{3}{5}$ が運動部
  • 複数の部に所属している生徒はいない

求めるのは中学3年生の男子と女子の人数です。ここでは男子を $x$ 人として考えていきましょう。このとき、女子の人数は $125-x$ となります。

部に所属していない生徒が5人いるということは、部に所属している生徒は全部で120人となります。また、運動部とそれ以外の部の人数比が $7:3$ なので、120人のうち運動部に所属している生徒は、$\displaystyle\frac{7}{10}\times120=84$ 人となります。そして、男子の $\displaystyle\frac{3}{4}$ と女子の $\displaystyle\frac{3}{5}$ が運動部ということなので、次の関係が成り立ちます。

$$\frac{3}{4}x+\frac{3}{5}\times(125-x)=84$$

これを解くと $x=60$ となります。したがって、男子が60人、女子が65人になります。

塾長
方程式の問題は年によって難易度がバラつきます。その原因は、方程式の難しさというよりも問題文の読み取りにくさが原因であることが多いです。入試問題の長文化は近年のトレンドですが、そういう問題が出題されたとしても、条件を1つ1つ書き出していけばスッキリと整理できるはずです。そういう部分で手を抜かないようにしてくださいね!

大問5

内容 作図

難易度 やや難

今回もなかなか面倒な問題でした。下図のような長方形が与えられます。Pの条件は以下の2つです。

  • 点 $\mathrm{P}$ は辺 $\mathrm{BC}$ 上にあり、$\mathrm{BP<CP}$ である。
  • $\triangle\mathrm{ABP}\sim\triangle\mathrm{PCD}$

作図を始める前に「多分この辺にきそうだな」という当たりをつけるところから始めましょう。2つ目の相似条件から下図のような位置にきそうだということが分かればOKです。

等しくなる角もチェックしておきます。そして一番大事なのが、このときに $\angle\mathrm{APD}=90^\circ$ を確認することです。

$\triangle\mathrm{ABP}$ の内角に着目すると、$\angle\mathrm{BAP}+\angle\mathrm{APB}=90^\circ$ です。

次に、直線 $\mathrm{BC}$ 上の点 $\mathrm{P}$ まわりの角を見ると

$$\angle\mathrm{APB}+\angle\mathrm{APD}+\angle\mathrm{CPD}=180^\circ$$

です。$\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{CPD}$ なので、結局上の式は

$$90^\circ+\angle\mathrm{APD}=180$$

となることから、$\angle\mathrm{APD}=90^\circ$ を確認できます。ここで、$\angle\mathrm{APD}=90^\circ$ と円周角がつながれば、平面図形の理解がかなり進んでいると思います。気づいた人は自信を持ってくださいね!

直径がつくる円周角が $90^\circ$ となるので、$\mathrm{AD}$ は円の直径となります。そのため、$\mathrm{AD}$ の中点をとり、その点を中心とする $\mathrm{AD}$ を直径とした円を作図しましょう。そして、その円と $\mathrm{BC}$ の交点が求める点 $\mathrm{P}$ となります。なお、$\mathrm{P}$ の候補は2つありますが、$\mathrm{BP<CP}$ によって1つに定まります。条件を忘れないように!

塾長
作図の難しさはそれほどではないのですが、図形の知識がかなり整理されていないと気づきにくい問題でした。作図の勉強よりも平面図形の勉強をきちんとやっておくほうがよいでしょう。

大問6

内容 平面図形

難易度 やや難

平面図形は円を題材とした平面図形の問題でした。円が登場すると考えられることが大幅に増えるので、どこから攻めていくかを判断するのに時間がかかる場合もあります。条件をよく確認して、どこから考えていけば良いかを慎重に判断するようにしましょう。

(1)は定番の角度の問題です。円が関係するので円周角には十分注意して考えていきましょう。与えられるのは $\angle\mathrm{OBD}=62^\circ$ です。求める角は $\angle\mathrm{BCD}$ です。

$\triangle\mathrm{ODB}$ は半径が作る二等辺三角形となるので、$\angle\mathrm{OBD}=\angle\mathrm{ODB}=62^\circ$ となります。さらに、$\angle\mathrm{BOD}=56^\circ$ です。そして、弧 $BD$ に対する円周角と中心角の関係から、

$$\angle\mathrm{BCD}=\frac{1}{2}\times 56^\circ=28^\circ$$

となります。

(2)は $\triangle\mathrm{ABC}$ と $\triangle\mathrm{OEB}$ の相似の証明です。新たに条件として $\mathrm{AC//OD}$ が加わります。平行の条件が加わるので錯角や同位角に気をつけましょう。

直径 $\mathrm{AC}$ がなす円周角 $\angle\mathrm{ACB}$ は直角となります。また、「円の接線」と「円の中心と接点を通る直線」は直交するので、$\angle\mathrm{OBE}$ も直角となります。したがって、$\angle\mathrm{ACB}=\angle\mathrm{OBE}$ です。

また、$\mathrm{AC//OD}$ より、同位角は等しいので、$\angle\mathrm{BAC}=\angle\mathrm{EOB}$ となります。

これで $\triangle\mathrm{ABC}\sim\triangle\mathrm{OEB}$ が示せました。

(3)はなかなか面倒な問題でした。与えられた条件と、そこからさらに分かる条件を1つずつ丁寧にチェックしていくと意外なほど簡単に解けますが、条件自体が多いのでチェックに手間取ってしまった人も多かったのではないかと思います。(1)、(2)を解く際にもこうしたチェックをきちんとやっておくべきですね。

設定そのものは(2)を引き継いでいます。さらに、点 $\mathrm{F}$ が設定され、$\mathrm{AB=12}$、$\mathrm{AC=8}$ が与えられます。面倒なので単位は省略します。ここから、色のついた $\triangle\mathrm{BDF}$ の面積を求めていきます。

(2)で相似を考えているので、線分比を利用して面積比を考える可能性もあります。また、$\angle\mathrm{ACB}=90^\circ$ であり、同位角である $\angle\mathrm{DFB}$ も $90^\circ$ となります。ということは三平方の定理も視野に入れていく必要があります。このあたりをじっくりと考えることができたかどうかです。

ここで、与えられた $\mathrm{AB=12}$、$\mathrm{AC=8}$ を考えてまずは三平方の定理へと進んでいくのが筋が良さそうです。

$$\mathrm{CB}=\sqrt{12^2-8^2}=\sqrt{80}=4\sqrt{5}$$

このとき、$\angle\mathrm{DFB}=90^\circ$ が重要な意味をもちます。円の中心から弦に引いた垂線はその弦を二等分するので、$\mathrm{CF=FB}$ となります。したがって、

$$\mathrm{FB}=\frac{1}{2}\times 4\sqrt{5}=2\sqrt{5}$$

が得られます。こうなると、$\mathrm{DF}$ を求めるのが最短の筋に思えます。

図をよく見ると、$\triangle\mathrm{ABC}$ と $\triangle\mathrm{OBF}$ は相似であり中点連結定理から $\mathrm{OF=4}$ が分かります。

さらに、$\mathrm{OD}$ は円の半径なので $\mathrm{OD=6}$ となり、

$$\mathrm{DF}=6-4=2$$

となります。したがって、求める面積は

$$\frac{1}{2}\times 2\sqrt{5}\times 2=2\sqrt{5}$$

となります。

塾長
勉強を進めていくと、いろいろな選択肢を考えられるようになってそれまでに経験しなかった「迷い」を感じることが増えます。それまでは何も考えずに解けていた問題が急にできなくなったなんて経験をした人もいるかもしれません。でも、それは確実に成長している証でもあります。まずはいろいろなこと考えられるようになったことに自信を持ってくださいね!

大問7

内容 空間図形

難易度 標準

最後の空間図形は、立方体を題材にした問題でした。空間図形としては易しめの問題でしたが、時間的にパスした人もいたかもしれません。上位校狙いのひとは満点を狙いたいレベルの問題なので、手をつけなかった人は復習を必ずやっておきましょう。

与えられた図はシンプルな立方体ABCD-EFGHです。

(1)はいつものサービス問題です。面AEFBと垂直な辺を求める問題です。これは大丈夫でしょう。AD、BC、FG、EHの4つになります。

(2)は最近出題が増えている回転体の問題です。$\triangle\mathrm{AFG}$ を $\mathrm{FG}$ を軸として一回転してできる立体の体積を求めます。回転体というだけで捨ててしまった人はもったいないですね。今回は回転軸が $\mathrm{FG}$ なので簡単な問題でした。

$\triangle\mathrm{AFG}$ を $\mathrm{FG}$ を軸として一回転してできる立体の断面図は以下のようになります。

できる立体は円錐になります。底面は $\mathrm{AA}’$ を直径とする円で、高さは $\mathrm{GF}$ となります。したがって求める体積は

$$\frac{1}{3}\times (10\sqrt{2})^2\pi\times 10=\frac{2000}{3}\pi$$

となります。

(3)は内接球の切断面から線分の長さを求めていく問題です。

図において $\mathrm{BP=CQ=FR=GS}$ が与えられます。また、面 $\mathrm{PRSQ}$ で切断した切断面の円の直径は $\mathrm{8cm}$ です。このときの $\mathrm{BP}$ の長さを求めていきましょう。

立体の問題の基本は平面を取り出して考えることです。ここでは、面 $\mathrm{ABFE}$ から見たときの平面を考えてみましょう。

$\mathrm{PR}$ で切断された円の弦 $\mathrm{LM}$ が切断面の円の直径となります。したがって、$\mathrm{LM=8cm}$ です。

この図さえ描けてしまえば、あとはスルスルと解けるという人が多いのではないでしょうか。弦に対しては垂線を下ろしたくなります。

このようにすると、直角三角形 $\mathrm{OHL}$ が現れます。さらに、弦の半分の長さとなることから $\mathrm{LH=4cm}$、また円の半径から $\mathrm{OL=5cm}$ となります。あとは三平方の定理から

$$OH=\sqrt{5^2-4-2}=3\mathrm{cm}$$

となります。このとき、$\mathrm{BP}=5-3=2\mathrm{cm}$ となります。

塾長
今年度の石川県総合模試は空間図形の問題が全体的に易しい問題が多かったように思います。「空間は捨てろ」などと乱暴な指導をする人もいるようですが、積極的に取り組んでほしいものです。幾何の問題に対して中高生の苦手意識が強いのもそういう指導が関係しているかもしれませんね。受験戦略としてはいいのかもしれませんが、普段の勉強から幾何を敬遠してしまっては意味がありませんよ!

まとめ

昨年度の第8回はかなり面倒な問題が多かったのですが今年は易しめの内容でした。数学が得意な人であれば100点も十分可能な問題だったと思います。

一部、具体的に実験してみないと見えないような問題がありましたが、それ以外は定型問題と言えるような問題が並んでいました。入試対策用の問題集をやりこんでいればサクッと解けるような問題が多かったように思います。平均点は高めに出そうですが、時間的な厳しさがあるためそこまで高くはならないでしょう。

近年の公立高校入試の問題は全国的にも難化傾向にあり、単に入試用の問題集をやり込むだけでは対応できない問題が増えてきています。そのため、今回の模試の結果が良かったからといって本番でも同じように得点できるとは限りません。今年度の入試問題がどのようなものになるかは分かりませんが、少なくとも理解できていないのに点数がポンポン取れるような問題にはならないでしょう。その点は気をつけておきたいですね。

参考までに昨年の入試問題の解説動画のリンクを貼っておきますね。

というわけで、公立高校入試まで残り1ヶ月ほどになりました。まだまだ出来ることはたくさんあります。基礎に不安がある人は、もう一度教科書内容から見直してみることをオススメします。問題集ばかりやっている人はとくに注意してくださいね!

基礎がある程度完成している人は、いろいろなタイプの問題に当たって柔軟な発想を養っておきましょう。

がんばれ受験生!!

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