気がつけばもう9月です。なんだかあっという間に夏休みが終わってしまった感じがします。昨日から通常授業が再開しましたが、まだ何となくエンジンがかかっていないという人もいるかもしれませんね。そして、私のように一生エンジンがかからないかもしれない、という人も。
通常授業が再開したからといって何かが大きく変化するわけではありませんが、一応節目という事で気持ちもリフレッシュして仕事に取り組みたいところです。
中高生のみなさんも、学校が再開してきっと新たな気持ちで頑張ろうと思っていることでしょう。えらい!
さて、そんな中、夏休みで勉強した内容について色々と質問を持ってきてくれる生徒がいます。
とくに学校の課題で入試問題などを解く機会があった生徒は、まだまだ消化しきれていない部分も多いようで、「これはどうしてこうしようってなるんですか?」みたいな発想に関する質問がよく出ます。
こうした「なぜ、こんなことをするのか」みたいな部分は問題の解答を見ても書かれていません。また、解説授業でも「これはこうするものだから覚えて」と言われることが多いようです。
そうなると、生徒としては「う〜ん、ちょっと腑に落ちない」という気持ち悪さばかりが残ってしまうようです。
もちろん、結果的にそうすると上手くいくからというものも多く、先人の知恵として受け入れて欲しいものもあります。
ただ、大多数の問題では、発想力やひらめきといったものは必要ありません。問題集の解答を見れば、確かに「すばらしい発想を思いついた」かのように、いきなり鮮やかな方法が登場したりします。
しかし、これは結果だけが書かれているのであって、実際にはあれこれ試行錯誤した末にそこに落ち着いた、という場合がほとんどなのです。
つまり、そうしないと上手くいかないなあという必要に迫られてその方法に落ち着いた、ということになります。
当然ながらその方法が唯一の方法ではなく、本来はいろいろな考え方があります。
ところが、実際に他の方法でやってみると、面倒なことが起こったり無駄な計算が増えたりするので、ミスが少なくなるような方法を結果的に採用するということになります。
決して、「あ!良い方法がひらめいた!」みたいな話ではなく、「ああ、これだと上手くいかない」とか「う〜ん、ちょっとここの話が難しくなるな」とか、いろいろと失敗を繰り返して、より良い方法へ落ち着くのです。
そして、こうした経験をたくさん繰り返すうちに、最初からそれなりに上手い方法で考えられるようになっていきます。
生徒が勉強している様子を見ていると、こうした「地道にあれこれやってみる」という部分がスッポリと抜けて落ちている人が結構います。
- 問題を見る
- パターンを考える
- パターンから解法を思い出す
- 解法に当てはめて解く
こうしたアウトラインに沿って問題を解きまくることが数学の勉強だと勘違いしている人がたくさんいます。
どの問題集にもあるような典型的な問題であれば、こうした方法はある程度は有効かもしれません。
ただ、「ある程度有効」なもので、それなりに点数が取れてしまうもんだから「これが正しい方法なんだ」と思い込んでしまう人がいるのでしょう。
しかし、こうした考え方(と呼べるかどうか分かりませんが)は、入試レベルになってくると途端に通用しなくなります。
知っているパターンから外れた問題が出たらどうするのでしょうか。
こうしたおかしな方法にどっぷり浸かってしまった生徒は、見たことのない問題に対して、全く手が動かなくなったり、デタラメなことをやり始めたり、放心したりということになります。
そして
なんてことを言い出します。
それがどんなに基礎的な内容を問う問題であったとしても、「見たことがない=無理」となってしまうのです。
その点、ベテランの塾生は、しっかりと学んできているなあと思うことが多いですね。具体例をあれこれやってみたりするのは「当たり前」、ちょっと立ち止まる部分が出てきても、あれこれ書き出してみたりしながら自力で乗り越えていきます。
この、あれこれ書き出して考えたという部分がいちばん重要なことであって、これを自力でできるようにならないと、いつまでたっても数学なんてできやしないのです。
にもかかわらず、問題集の解答にある解き方ばかりを覚えようとする人がものすごく多いのです。生徒本人の認識の甘さもあるけれど、やはり指導者側にも大きく問題があると思います。
私がよく言う話なのですが、数学が苦手な人というのは最初から苦手なんじゃなくて苦手にさせられているという側面が結構あるのではないかと思うのです。
というわけで、2学期も「考える」という部分を大事にしながら授業をやっていきたいなと思います。