高校入試の直後から、すぐに高校生の勉強を始めているという人もいると思います。
今回、準備講座に参加してもらった生徒さんの中にもすでにチャート式をもらって取り組んでいる人がいました。気持ちを緩めることなく次のステージに向けて準備をしようという心意気はとても素晴らしいものです。
しかし、中学生の数学と異なる部分を意識しておかないと、高校受験の勉強での悪癖を引きずったまま突き進んでしまうことになります。
このブログでも度々指摘していますが、問題集を繰り返しやって解き方を覚えてそれを当てはめて解くような方法では行き詰まってしまいます。しかし、実際にはほとんどの新高校1年生は問題集をやることが数学の勉強であると勘違いしています。というよりも、問題集をやること以外の数学の勉強を知らないと言った方がいいかもしれません。
もちろん、問題集をやることは必要不可欠なのですが、よほど丁寧に作り込まれた問題集でない限り、問題演習だけで理解を深めるというのはかなり難しいのです。
実際に、先取りをやっている人でも「$3x^2+2x-1$ を因数分解せよ」などという問題をたすき掛けの方法で解いている人をたくさん見かけます。そんな姿を見ると、先取りする意味って何なんだろうと思わずにはいられません。むしろ、どんどん悪い癖が強まっているとしか思えないんですよね。はっきり言って、$3x^2+2x-1$ なんて暗算で $(3x-1)(x+1)$ と片付けてしまいたい問題です。それができないということは、単にやり方をなぞる勉強になっている可能性が高いです。
そういうケースをたくさん見てきたので、今年も準備講座では方程式・絶対値・無理数・関数といった高校数学の最初の方の内容で意識を変えてもらいたい部分を扱いました。
この高校1年生の最初のあたりは、中学生の勉強から切り替えられずによく分からないまま手続きだけを覚えて乗り切ろうという人があまりにも多いのですが、それでもある程度点数が取れてしまうので勘違いをしたまま進んでしまう部分でもあります。点数がとれてしまうがために表面的には何も問題がないように思えてしまうのがこれまた厄介なところです。こうしたマズい勉強の進め方は、後になってじわじわと影響が出てきます。そして、ある日突然「数学ができなくった」となってしまうわけです。
そして、やり直そうとなるとかなり前まで戻らなければならなくなります。発見が遅れれば遅れるほど手遅れになってしまうため、早い段階できちんと理解できているかどうかを見極める必要があるのです。
しかし、高校生が自分でその判断をするのは難しく、結局は点数や偏差値あるいは判定などでしか判断できないため、「まあ大丈夫か」となってしまっている人が結構います。
こんなことが毎年発生しています。やはり、日常的に答案をチェックしてもらったり、質問応対できる環境を作っておくことが大切ではないかと思います。