2024第2回石川県総合模試の数学を解いてみた

塾長
8月25日(日)に2024年度第2回石川県総合模試が実施されました。時期的に夏休みの総復習という感じでしたが、夏の勉強の成果は上がったでしょうか。

第2回の総合模試を受験したみなさん、お疲れ様でした!

第1回の模試がかなり厳しい結果だったので危機感を抱いた受験生も多かったのではないかと思います。

夏休みはかなり気合いを入れて勉強したぞ!という人も多かったことでしょう。

当塾の塾生たちを見ていても、上位校を本気で目指している生徒たちは朝から塾へ来て、夜まで残って自習してという感じでかなり頑張っていました。

勉強したことがすぐに成績に反映されるわけではありませんが、前回よりもしっかりと準備をして臨めたという人はそれだけでも一歩前進です。

そして、模試が終わったらできるだけ早めに復習をやっておくことが大事ですよ!

概観

今回も数学は大問数が7(うち小問数23)で、石川県公立高校入試に合わせたいつも通りのセットでした。

大問1以外は、入試でもよく取り上げられる典型的な問題から、思考力が要求される問題まで幅広いタイプの問題が出題されます。また、計算過程の記述、証明などの説明を要する問題が多いのも特徴です。

50分という試験時間に対してボリュームがかなりあるため、時間内にすべてを解き切るのはかなり難しいと言えます。そのため、まずは解けそうな問題から手をつけていくといったことが必要となります。

出題内容については、石川県公立高校入試と同様、前半は方程式・関数といった計算を中心とした問題、後半が作図を含む図形の問題となっています。

点差が付きやすいのは後半の図形の問題であるため、上位校を狙う人は前半をなるべく時間をかけずに乗り切って、できるだけ後半の図形に時間を残しておきたいところです。

塾長
スピードアップのためには、充実した基礎力が欠かせないため、普段の勉強から「なぜ」の部分にこだわって勉強を進めていくことが大切です。ただ解法を覚えてパターンに当てはめるような勉強の進め方では高得点は難しいでしょう。

今回の問題は、各分野とも基本を重視した問題が多く、難問と言われるような問題はありませんでした。それぞれの問題をよく復習して理解を深めておけば実力アップにつながるでしょう。

難易度は易としたいところですが、前回の結果も踏まえて、今年度の受験生にとっては標準としておきましょう。

全体的な難易度 標準

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問題の解説

ここからは問題の具体的な解説となります。問題用紙を準備してご覧ください。

大問1

内容 小問集合

難易度 

基本的な計算力や知識を問う問題です。大問1はどの生徒も満点を狙っていきましょう。とくに数学が苦手な人は、大問1の得点が重要となるので、できなかった部分については早急に復習をやっておく必要があります。

(1)は単純な計算問題ですが今回は0になって消えるパターンが2つ入っていたので、ちょっと面食らった人もいたかもしれません。

(1)の計算は、可能な限り暗算で計算して、できるだけ計算せずに終わらせることが大切です。やたらと途中式を書いて計算ミスをする人を見かけるので、つねに計算の工夫を考えて「なるべく計算をしない」ように練習しておきましょう。

(2)は簡単な1次方程式の問題でした。解説も不要でしょう。

(3)は四角錐の体積を求める問題でした。これも非常に簡単な問題でした。図を見るとODと底面が垂直に見えなかったという人もいたかもしれませんが、条件として書かれているのでしっかりと確認して下さいね。

(4)は三角形の合同条件を確認する問題でした。学校のワークなどにあるような問題で、正直、入試ではこうしたタイプの問題はあまり見かけませんが、まあ問題なくできて欲しいレベルです。

(5)は統計の問題でした。これも単純にヒストグラムを読み取って割合を計算するだけです。

塾長
今回の大問1はいつになく簡単でした。正答率も大幅に上がりそうなので、ミスをした人は痛かったかもしれません。

大問2(復習おすすめNo.3)

内容 確率

難易度 

大問2は確率の問題でした。

今回は「同じ数字のカードがある」という問題で、確率の基礎が分かっているかを問う良い問題でした。「同様に確からしい(等確率で起こる)」ということが正しく理解できている人には易しい問題だったと思います。

高校入試レベルの確率の問題は計算で処理するのではなく、基本的に全て書き出して考えるというのが大切な考え方となります。今回の問題では、$2$ と $4$ がそれぞれ2枚ずつあるため、これらを $2_1$、$2_2$、$4_1$、$4_2$ と区別して考える必要があります。この区別をせずに、$2$ と $4$ という乱暴な分け方をしてしまうと、「同様に確からしい」と言えなくなってしまうので注意が必要です。

(1)では、1、2、3、4の4パターンのうちの1つだから $\displaystyle \frac{1}{4}$ などとしてしまうと、大きな間違いですね。1枚1枚のカードが取り出される可能性が同様に確からしいので、1、2、2、3、4、4の6枚のうち2枚と考えて

$$\frac{2}{6}=\frac{1}{3}$$

とするのが正解です。

(2)もごちゃごちゃ考える前に、全部書き出してみることが大切です。

$(1,2_1)$$(1,2_2)$$(1,3)$$(1,4_1)$$(1,4_2)$
$(2_1,2_2)$$(2_1,3)$$(2_1, 4_1)$$(2_1,4_2)$
$(2_2, 3)$$(2_2, 4_1)$$(2_2,4_2)$
$(3, 4_1)$$(3,4_2)$
$(4_1, 4_2)$

書き出せば全部で15通りになることが分かります。このうち、該当するものは

$(1,4_1)$、$(1,4_2)$、$(2_1,3)$、$(2_2, 3)$ の4通りとなるので、求める確率は

$$\frac{4}{15}$$

となります。

大問3

内容 関数

難易度 

大問3は関数(1次関数)の問題でした。

 

グラフは $\displaystyle y=\frac{1}{3}x$ で $\mathrm{A}$ の $x$ 座標は $-6$、$\mathrm{B}$ は $y$ 軸上の点で、$y$ 座標は $10$ となっています。つまり、$\mathrm{B}(0,\ 10)$ です。

(1)は点 $\mathrm{A}$ の $y$ 座標を求める問題ですが、これは $\displaystyle y=\frac{1}{3}x$ に $x=-6$ を代入して、$y=-2$ とすぐに求められるでしょう。

(2)は2点A、Bを通る直線の式を求める問題でした。これも上の図から暗算で求めたい問題です。傾きは、$x$ が $6$ 増加するあいだに $y$ が $12$ 増加するので $2$ となります。また、$y$ 切片は $10$ なので、求める直線の式は $y=2x+10$ となります。

(3)は $\triangle\mathrm{OBC}$ の面積を求める問題でした。これも説明不要と言っていいレベルの問題でした。点 $\mathrm{C}$ の $x$ 座標は、$y=2x+10$ の式において、$y=0$ としたときの値なので、$-5$ とすぐに求められます。つまり、$\mathrm{C}(-5,\ 0)$ となります。

したがって、$\mathrm{OC}=5$、$\mathrm{OB}=10$ なので、求める $\triangle\mathrm{OBC}$ の面積は $25$ となります。

大問4

内容 方程式

難易度 標準

大問4は表をもとに考える方程式の問題でした。問題文がゴチャついているので、情報を整理するのが苦手な人は面倒に感じたのではないかと思います。問題そのものはシンプルで易しい問題ですが、よく読まないと勘違いする可能性もあるので慎重に整理していきましょう。

(1)はB社の印刷料金が10000円となるときの印刷枚数を求める問題です。B社の方は、基本料金6000円プラス1枚ごとに10円となるので、$4000\div 10=400$ 枚とすぐに求められるでしょう。

(2)は「A社とB社の印刷料金が等しくなるのは、印刷枚数が $a$ 枚のときである」ときの $a$ を求める問題でした。なお、さらに「A社とB社の印刷料金が等しくなるのは印刷枚数が201枚以上のときである」ということも追加されています。

B社の方は、(1)の場合と同様に、基本料金と1枚ごとに10円なので、印刷料金は

$$6000+10a$$

と表されます。一方、A社の場合は、基本料金が2000円で、200枚までは1枚20円、201枚からは1枚15円となります。$a$ は201以上なので、200枚までの印刷料金 $200\times 20=4000$ は絶対にかかります。したがって、残りの $a-200$ 枚を1枚15円で印刷するので

$$2000+4000+15(a-200)$$

と表されます。ということは、

$$6000+10a=2000+4000+15(a-200)$$

すなわち $2a=3(a-200)$ となり、$a=600$ となります。

塾長
ゴチャついて見えますが、必要な情報はそこまで複雑ではありません。落ち着いて整理していけば簡単な問題です。

大問5

内容 作図

難易度 標準

大問5は作図の問題でした。今回は、「点 $\mathrm{P}$ を中心とする円が2辺 $\mathrm{BC}$、$\mathrm{CD}$ に接する」という条件をどう扱うかが難しかったかもしれません。

1つ目の条件「$\mathrm{PB\perp AB}$」はBから垂線を引くだけなので問題なくできた人が多かったと思います。

2つ目の条件、「点 $\mathrm{P}$ を中心とする円が2辺 $\mathrm{BC}$、$\mathrm{CD}$ に接する」については、円の半径と円の接線の関係を考えてみると見えてくるでしょう。大体でいいので円を描いてみるとより明確に把握できるはずです。

以上から、結局「点 $\mathrm{P}$ を中心とする円が2辺 $\mathrm{BC}$、$\mathrm{CD}$ に接する」ということは、点 $\mathrm{P}$ が2辺 $\mathrm{BC}$、$\mathrm{CD}$ から等距離にある、すなわち、点 $\mathrm{P}$ が $\angle\mathrm{DCB}$ の二等分線上にあるということが分かります。これは、作図云々ではなく「図形の知識」として必須のものなので、イメージを通して確実に覚えておきたいですね。

塾長
作図の問題では、条件を満たす点がどんな点となるかを適切に言い換えることが大切です。そのためには、図形の性質などをきちんと整理しておくことが大切です。ベースは図形の問題であることを忘れずに!

大問6(復習おすすめNo.2)

内容 平面図形

難易度 標準

大問6は2つの正方形がつくる平面図形の問題でした。程よい難易度の問題だったので、全部解けたという人も多かったのではないでしょうか。

図のように、$\angle\mathrm{ACB}=90^\circ$ の直角三角形 $\mathrm{ABC}$ の外側に2つの正方形 $\mathrm{ADEB}$ と $\mathrm{ACFG}$ を作ります。

(1)は、下図において $\angle\mathrm{ABC}=65^\circ$、$\angle\mathrm{DCG}=a^\circ$ のときの $\angle\mathrm{CDE}$ を $a$ を用いて表す問題です。

少しゴチャゴチャしていますが、まず $\mathrm{DE//AB}$ から錯角が等しくなるので $\angle\mathrm{CDE}=\angle\mathrm{DKA}$ となります。さらに対頂角を考えると $\angle\mathrm{DKA}=\angle\mathrm{BKC}$ となります。

よって、$\angle\mathrm{BKC}$ を $a$ で表せばOKです。

塾長
ここに着目したのは、なんとなく $65^\circ$ が使えそうな感じがしたからです。

いま、$\mathrm{CG}$ は正方形の対角線となるので $\angle\mathrm{FCG}=45^\circ$ となります。

$\triangle\mathrm{KBC}$ の外角に着目すると

$$65^\circ+\angle\mathrm{BKC}=a+45^\circ$$

したがって、$\angle\mathrm{BKC}=a-20^\circ$ となります。

(2)は三角形の合同の証明でした。

上図において、$\triangle\mathrm{ABC}\equiv \triangle\mathrm{DAH}$ であることを証明する問題です。

$\angle\mathrm{ACB}=\angle\mathrm{DHA}=90^\circ$ はすぐに分かります。また、正方形に着目すれば $\mathrm{AB=DA}$ もすぐに分かります。あとは、1つの鋭角が等しいことを言えばOKです。

塾長
点 $\mathrm{A}$ のところで2つの三角形が接していることに気をつけましょう。

まず、$\triangle\mathrm{ABC}$ の内角に着目すると

$$\angle\mathrm{ABC}=90^\circ-\angle\mathrm{BAC}$$

となります。次に、直線 $\mathrm{CH}$ 上の点 $\mathrm{A}$ まわりの角に着目します。このとき

$$\angle\mathrm{DAH}=180^\circ-90^\circ-\angle\mathrm{BAC}$$

すなわち

$$\angle\mathrm{DAH}=90^\circ-\angle\mathrm{BAC}$$

となります。

したがって、$\angle\mathrm{ABC}=\angle\mathrm{DAH}$ となるので、$\triangle\mathrm{ABC}\equiv \triangle\mathrm{DAH}$ が証明できました。

(3)は(2)の図に$\mathrm{DB}$ と $\mathrm{DG}$ および $\mathrm{I}$ が加わります。また、$\mathrm{AC}=4$、$\mathrm{BC}=2$ のとき(単位は面倒なので省略します)の四角形 $\mathrm{BCID}$ の面積を求める問題です。

(2)で証明した $\triangle\mathrm{ABC}\equiv \triangle\mathrm{DAH}$ を用いると

$\angle\mathrm{DHI}=\angle\mathrm{GAI}=90^\circ$、$\mathrm{AC=AG=DH}$(合同と正方形)、$\angle\mathrm{DIH}=\angle\mathrm{GIA}$(対頂角)より $\triangle\mathrm{DHI}\equiv \triangle\mathrm{GAI}$ が示せます。

また、$\mathrm{AH}=2$ となることもあわせて、$\mathrm{HI=AI=1}$ となります。

したがって、求める四角形 $\mathrm{BCID}$ の面積は台形 $\mathrm{BCHD}$ から 三角形 $\mathrm{AHI}$ の面積を引いて

$$\frac{1}{2}\times (2+4)\times 6-\frac{1}{2}\times 1\times 4=16$$

となります。

大問7(復習おすすめNo.1)

内容 空間図形

難易度 やや難

最後はお決まりの空間図形の問題でした。(1)、(2)はサクッといけたかもしれませんが、(3)で苦戦した人が多かったのではないかと思います。とはいえ、例年に比べると非常に易しい問題だったので、上位校を狙う人はこのレベルでもしっかりと得点しておきたい問題です。

$\mathrm{AB=7}$、$\mathrm{AC=6}$、$\mathrm{BC=8}$、$\angle\mathrm{BAD}=\angle\mathrm{CAD}=90^\circ$ が与えられています。

(1)はABとねじれの位置にある辺を求める問題です。CF、DF、EFの3つです。これは解説不要でしょう。

(2)はADの中点Mをとったとき、$\angle\mathrm{AMC}=45^\circ$ が成り立つときの $\mathrm{AD}$ の長さを求める問題です。

これは平面 $\mathrm{ACFD}$ を取り出すと分かりやすいでしょう。

$\mathrm{AC}=6$ なので、$\mathrm{AD}=12$ がすぐに分かります。

(3)は線分比を求める問題でした。

図において、三角錐G-ABCの体積が四角錐G-BCFEの体積の $\displaystyle \frac{2}{9}$ 倍になるときの、$\mathrm{AG:GD}$ の比を求める問題でした。

塾長
個人的に図の位置が気に入らなかったので描き直して考えました笑

この問題を解くときに面倒なのは三角錐G-ABCの体積と四角錐G-BCFEの体積を直接比べるのが難しいという点です。そこで、三角錐G-ABCと同じ底面をもつ三角錐G-DEFを考えました。もとの立体は三角柱なので、当然ですが三角形ABCと三角形DEFは合同です。

そして、$\mathrm{AG}=a$、$\mathrm{DG}=b$ とし、三角形ABCと三角形DEFの面積を $S$ とします。

このとき、三角錐G-DEFは

$$\frac{1}{3}Sa$$

となります。そして、四角錐G-BCFEは三角柱から2つの三角錐を引いて

$$(a+b)S-\frac{1}{3}Sa-\frac{1}{3}Sb=\frac{2}{3}(a+b)S$$となります。

よって、

$$\frac{1}{3}Sa=\frac{2}{9}\times \frac{2}{3}(a+b)S$$

という関係が得られます。

さらに、$\displaystyle a=\frac{4}{9}(a+b)$ から $5a=4b$ が得られるので

$$a:b=4:5$$

となります。

塾長
たまに、$5a=4b$ から $a:b=4:5$ が読み取れない生徒を見かけます。比に対する理解度の低さが近年は目立ってきているので気をつけましょう。

まとめ

前回の総合模試は平均が35点を切るという悲惨な結果となりました。今回も難易度は抑えめになっていますが、簡単だったとはいえ、そこまで平均は高くならないように思います。

しかし、数学が得意な生徒であれば満点が取れるレベルの問題だったと思います。上位校を狙っている生徒であれば、やはり80点近い点数は取っておきたい内容でした。

年々、中高生の数学力の下落に歯止めがかからなくなってきていますが、やはり、しっかりとした基礎内容を教わっていないことが大きな原因のように思います。問題の解き方は知っていても「なぜそれが可能であるか」「なぜそのようにするのか」といった踏み込んだ部分は全く理解していないというケースが目立ちます。

問題集を繰り返しやってとりあえず表面的な手順だけをマスターするというのは効率の良い方法に思えるかもしれませんが、ある程度のレベルの問題になると太刀打ちできなくなります。受験生のみなさんには、そうしたおかしな勉強から早い段階で脱却して、数学的に踏み込んだ勉強ができるように頑張ってもらいたいなあと思います。

塾長
というわけで、夏休みが終わり2学期からはより普段の勉強が大事になってきます。勉強のペースをキープして、気を緩めずに準備を進めていきましょう!
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