【2024年度】第1回金沢市統一テストの数学を解いてみた【塾生必読】

塾長
11月6日(水)に2024年度第1回金沢市統一テストが実施されました。金沢市統一テストは基礎を重視した良問で構成されることが多く、昨年度もかなり好みの問題が揃っていました。問題数が多いため時間が足りないと感じた人が多いかもしれませんが、基礎力のある中学生であれば、高得点が狙える内容だったと思います。

第1回金沢市統一テスト 2024(数学)

「解いてみた」シリーズの金沢市統一テスト版です。2024年度は昨年度に引き続き良問揃い内容でした。

私が実際に解いてみた感想としては、特別なテクニックは必要なく基礎力が十分ある生徒であれば高得点が可能な内容だったなというところです。

昨年度の解説記事にも書きましたが、普段から基礎を重視した勉強をしているかどうか、無駄な計算をしないような工夫を考えているか、そうした日々の学習態度が差となってあらわれる問題が多かったように思います。たまにハズレの年度もありますが、金沢市統一テストは勉強する価値のある問題が揃っているので、しっかりと復習をやっておきたいですね!

石川県総合模試をはじめとする入試対策模試を受験したことがある人は、時間配分・問題の取捨選択などを考えて冷静に対処できたのではないかと思います。一方で、そのような経験が少ない人は問題の多さに焦ってしまったかもしれません。入試形式の試験は、定期テストとは大きく異なるものなので、経験値が大事になります。

入試本番もそうですが、プレッシャーの中で普段通りに問題を解くというのは簡単なことではありません。日頃から十分な準備をしておきたいですね。そして、解くスピードを上げるためには、雑な考え方を用いるのではなく圧倒的な基礎力を身につけることが不可欠です。ここを勘違いして、表面的な勉強になってしまい、本番で失敗してしまう人がかなりいるようなので気をつけてください。

また、金沢市統一テストは進路決定において重要なテストであると言われていますが、当塾のこれまでの塾生たちの統一テストの得点と進学先を見てみると、第1回の結果はそこまで決定的なものではないということが言えます。中3生はこれからの時期であっても成績が上昇する人が多いため、11月の段階であれこれ言うのは時期尚早のような気もします。ただし、今回、あまりうまくいかなかったという人は、第2回統一テストに向けて勉強の進め方の修正を必ずやって欲しいと思います。点数だけを見てどうこう言うのは決してしないようにしてください。

概観

全体的に見ると平易な問題が多く、そこまで複雑な手順を要する問題はありませんでしたが、やはり大問数が多いため手際良く処理をしていくことが大切となります。とくに計算があまりにも遅かったり、余計な計算をしてしまっていたという人は、普段の学習から計算の工夫を常に意識するように心がけてほしいです。また、図形の問題を苦手としている人が多いので、本番までに経験値を上げておきたいところです。

なお、金大附属や泉丘といった上位校を狙っている人は時間内に解き切って欲しいレベルの問題でした。前述した通り、特別なテクニックは必要ありません。基礎力が充実している人はかなり余裕があったと思います。上位校狙いの人で、今回時間が足りなかったという人は、やはり普段の勉強を見直す必要があると言えるでしょう。とくに問題集の周回のような勉強をしている人は注意が必要です。無意識のうちに視野が固定されてしまうことがあるので、できるだけいろいろな問題に当たって柔軟な視点を発想を磨くことが大切です。

近年は上位校受験者の数学力がどんどん低下してきているので、ちゃんとした数学の勉強をするようにして欲しいなと思います。高校受験を突破するためだけの薄っぺらい勉強になっていないか、よく考えてみて下さいね!

塾長
基礎と言っても、それは簡単な問題をやるということではありません。証明を自分の手でやってみたり、定理を組み合わせて得られる事実を確認したりといったことを含めての基礎です。逆にいうと基礎をしっかりとやっておけば、馬鹿みたいな量の問題をこなしたりする必要はなくなります。

全体的な難易度 やや易

大問1・小問集合

難易度 

大問1は計算問題を中心とする簡単な問題でした。本番でも大問1を落とさないことが重要です。

(1)の計算については、とにかく正確に計算することが最優先です。しかし、気をつけたいのは「正確に計算すること」と「丁寧に計算すること」は必ずしもイコールではないということです。途中式を丁寧に書きすぎて計算量が増えてしまいミスをしてしまっている生徒がかなり多いので、できる限り暗算力を高めておくことが大切です。最近の中学生の学力では、エやオのレベルでも正答率がかなり下がる傾向にあるので要注意です。

(2)は $x^4+4x-2=0$ を解く問題でした。解の公式を用いた人もいたかもしれませんが、余計な計算が増えてしまうので、できれば平方完成から考えていきましょう。

左辺を、$x^2+4x-2=(x+2)^2-6$ と変形し、$(x+2)^2=6$ として平方根を考えると $x+2=\pm\sqrt{6}$ となります。

(3)は2次関数の値域($y$ の変域)の問題です。定番中の定番ですが、理解していない人は端点の計算をして、$9\leqq y\leqq 4$ などというあり得ない不等式を書いていたりします。ここはグラフをイメージしてください。

$x$ が $-3\leqq x\leqq 2$ の範囲を動くとき、$y$ は $0\leqq y\leqq 9$ の範囲を動くことになります。グラフで見れば一目瞭然です。

(4)は角度の問題でした。平行四辺形なので、とくに問題なくできたのではないでしょうか。

図の $x$ の角度を求める問題です。$\angle\mathrm{ABE}=63^\circ$ となるので、

$$180-2\times63=54$$

となります。あるいは

こんな感じで二等辺三角形を半分にして、$90-63=27$ から $54^\circ$ を求めても良いでしょう。

(5)は確率の問題です。大した問題ではないので、全パターン書き出した方が早いです。

この10通りで全てです。このうち、積が奇数となるのは、両方とも奇数の場合なので該当するものを数えたら3つです。

したがって、求める確率は $\displaystyle \frac{3}{10}$ となります。

たまに謎の公式のようなものを用いて面倒な計算をしている人がいるようですが、全部書き出そうという姿勢が確率の基本姿勢であることを忘れないでください。

大問2・2次関数

難易度 標準

第2問は関数と図形の融合問題でした。(1)、(2)は基本的な内容だったので、できた人が多かったのではないかと思います。(3)は少し差がつきそうないわゆる「等積変形」の問題ですが、受験生であればこのくらいはしっかりと解けるように準備しておきたいですね。

図のように、$\displaystyle y=\frac{1}{4}x^2$ のグラフと2点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$ が与えられています。$\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$ の $x$ 座標はそれぞれ $-6$ と $4$ となります。

(1)は $x$ の値が1から3まで増加するときの変化の割合を求める問題です。基本に忠実に考えれば

$$\frac{\frac{9}{4}-\frac{1}{4}}{3-1}=\frac{2}{2}=1$$

と計算できます。また

$$\frac{1}{4}(1+3)=1$$

と瞬殺できた人もいるでしょう。ただし、この方法をただ覚えて使っているだけの人は要注意です。

塾長
この考え方の話は以前にも書きました。
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(2)は直線 $\mathrm{AB}$ の式を求める式です。

素直に解くのであれば $\mathrm{A}(-6,\ 9)$、$\mathrm{B}(4,\ 4)$ として、傾きが $\displaystyle \frac{4-9}{4-(-6)}=-\frac{1}{2}$ であり、$\mathrm{B}(4,\ 4)$ を通ることから $\displaystyle y=-\frac{1}{2}x+a$ に代入して $4=-2+a$ から $a=6$ となるので、求める直線は

$$y=-\frac{1}{2}x+6$$

となります。が、こんな計算をいちいちやっていては時間がなくなります。図を見ながら、暗算で傾きを $\displaystyle -\frac{1}{2}$ と求め、さらに暗算で $\mathrm{A}$ か $\mathrm{B}$ の座標を用いて $\displaystyle y=-\frac{1}{2}+6$ と出せるようになっておきましょう。

また、(1)と同様にいきなり

$$y=\frac{1}{4}(-6+4)x-\frac{1}{4}\times (-6)\times 4$$

から直線の式を求めた人もでしょう。ただし、繰り返しますが、これを公式として覚えて使っているだけでは何の力もつかないので気をつけてください。問題集などによく載っているので、そのまま覚えて使ってしまっている人が案外いるようです。

放物線 $y=ax^2$ と直線 $y=mx+n$ が $x=p$ と $x=q$ で交わるとき、つまり2点 $(p,\ ap^2)$、$(q,\ aq^2)$ で交わるとき、直線 $y=mx+n$ の式は $y=a(p+q)x-apq$ で与えられる
塾長
この事実が成り立つことを自分で確認することに意味があります。その上で使うのであれば問題はありません。気になる人は自分で確かめてみて下さい。

(3)は面積の問題でした。図のようにさらに点 $\mathrm{C}$ が加わり、このとき、四角形 $\mathrm{AOBC}$ と四角形 $\mathrm{DOBC}$ の面積が等しくなるように $x$ 軸上に点 $\mathrm{D}$ をとるという問題です。

ここは苦戦した人が多かったかもしれませんが、ある程度、図形との融合問題をやっている人であれば「ああ、あれね」という感じだったと思います。四角形 $\mathrm{AOBC}$ と四角形 $\mathrm{DOBC}$ について、三角形 $\mathrm{OBC}$ の部分は共通なので考えなくてOKです。

そうすると、三角形 $\mathrm{OAC}$ と三角形 $\mathrm{ODC}$ の面積が等しくなるように点 $\mathrm{D}$ を取ればいいことが分かります。大体のところでイメージすると下図のような感じです。

この2つの三角形も辺 $\mathrm{OC}$ が共通なので、高さが等しくなるような $\mathrm{A}$ と $\mathrm{D}$ の関係を考えればOKです。そのためには、$\mathrm{OC}$ と平行な直線を考えればOKです。これが等積変形を考えるときの大事なポイントです。

$\mathrm{OC}$ の傾きは $\mathrm{C}(8,\ 16)$ からすぐに2と分かります。また、$\mathrm{A}(-6,\ 9)$ なので、$\mathrm{D}$ の $x$ 座標は $\displaystyle -6-\frac{9}{2}=-\frac{21}{2}$ となります。$y$ 座標は0なので、求める $\mathrm{D}$ の座標は

$$\left(-\frac{21}{2},\ 0\right)$$

です。$\mathrm{D}$ の $x$ 座標の求め方が何をしてるのかわからない人(傾きについてもう少し勉強してくださいね)は、傾き2で $\mathrm{A}(-6,\ 9)$ を通る直線が $y=2x+21$ となることから、$0=2x+21$ として求めていきましょう。

大問3・統計

難易度 

ここはとくに解説することもないのですが、何も書かないわけにはいかないので仕方なく書きます笑。

(1)は範囲の問題なので、最大から最小を引けばよいので、ヒゲからヒゲまでを読み取りましょう。最大が36、最小が7なので、範囲は29となります。

(2)は箱ひげ図から読み取れる内容について正しいものをすべて選ぶ問題です。この「すべて」を見落としてしまったおっちょこちょいな人も結構いたのではないかと想像します。

アの平均値は表示されていないので分かりません。イの12分以下の生徒数と24分以上の生徒数は読み取れないので分かりません。エも明らかに間違いです。

ウは中央値が20分より下なので正しいです。エも見た目から明らかに正しいです。

 

大問4・方程式

難易度 標準

大問4の方程式の問題は、与えられた円グラフを読み取りながら考える問題でした。が、これもそこまで難しい問題ではありませんでした。

円グラフを作るのが面倒だったので、文字に起こしておきます。与えられたグラフでは、3年生全体ではバスケ60%、バレー40%で、3年生男子はバスケ70%、バレー30%、3年生女子はバスケ48%、バレー52%となっています。

バレーと回答した女子の人数がバレーと回答した男子の人数より16人多いときの3年生の男子と女子の人数を求めよという問題でした。

とくにヒネリがあるわけではないので素直にやってみましょう。3年男子を $x$ 人、3年女子を $y$ 人とします。

バレーと回答した女子の人数がバレーと回答した男子の人数より16人多いということから

$$0.3x+16=0.52y$$

となります。また、バレーと回答した全体の人数については

$$0.3x+0.52y=0.4(x+y)$$

となります。つまり、連立方程式

$$\begin{cases}30x+1600=52y&\\30x+52y=40(x+y)\end{cases}$$

第2式を変形すると、$12y=10x$ となるので、これを第1式に代入して

$$36y+1600=52y$$

よって、$y=100$ となり、$12x=10y$ より $x=120$ となります。

塾長
バスケの方の人数を使っても解けますが、計算の無駄が多いのでバレーの方を用いる方が良いでしょう。

 

大問5・作図

難易度 標準

作図の問題は以下のようなA、B、C、Dが与えられていました。

点Pが満たす条件は以下となります。

  • 2点A、Dは点Pを中心とする円周上の点である
  • 点Pは、線分AB、BCに接する円の中心である

まずは、最初の条件を満たすようなPを大体でいいので考えてみます。

いくつか描いてみると、線分ADの二等分線上にPが存在することが分かります。同じように2つ目の条件を満たすようなPを考えてみましょう。

これもいくつか描いてみると、Pが角Bの二等分線上に存在することが分かります。

したがって、この2つの直線の交点(下図)がPとなります。

塾長
作図の問題はどう作図するかと考える前に、まずは図形的にどのような特徴があるかを考えていくことが大切です。そして、「たぶんこのあたりに点Pがきそう」という予想を立ててみることも大切です。そこから、どう作図するかを考えていきましょう。

 

大問6・規則性

難易度 

先に書いておきますが、(2)の答えは $\displaystyle \frac{\pi a^2}{256}$ のように $\pi$ を $a$ より前に書かないと減点されますのでご注意ください。私は思い切り減点対象でした!

塾長
こういう表記の問題はホントどうでもいいと思いますが、教科書にもその順で書くのが「普通」だと書いてありますので渋々従います。お前の普通はみんなの普通じゃないんだよ!と言いたいですが、大人なので口には出しません笑

大問6は規則性の問題でしたが、規則が比較的すぐに見えるので解きやすかったのではないかと思います。

図形の番号1番目2番目3番目$n$ 番目
円の個数(個)149
円の半径$\displaystyle \frac{a}{\boldsymbol2}$$\displaystyle \frac{a}{\boldsymbol4}$$\displaystyle \frac{a}{\boldsymbol6}$

※スクロールします

太字部分をよく観察すれば、この時点で
$n$ 番目の円の個数は $n^2$ 個
円の半径は $\displaystyle \frac{a}{2n}$
が見えた人がほとんどではないかと思います。見えない人は4番目、5番目…と作ってみて具体例を増やしてみましょう。

(1)は、計算で求めてもいいですし、実際に書いて考えてもいいでしょう。計算すれば $5^2=25$ 個となります。

(2)は8番目の図形の円の1個の面積です。これは規則から円の半径が $\displaystyle \frac{a}{16}$ となるので

$$\left(\frac{a}{16}\right)^2\times \pi$$

整理すると、$\displaystyle\frac{\pi a^2}{256}$ となります。

(3)もあまり考えすぎずに、素直にやっていけば示せたのではないかと思います。

まずは、1つの円の面積が $\displaystyle\frac{\pi a^2}{4n^2}$ となります。また、円の個数は $n^2$ 個なので

$$\frac{\pi a^2}{4n^2}\times n^2=\frac{\pi a^2}{4}$$

となり、$n$ に関係なく一定であることが分かります。

塾長
それにしても、この $\pi a$ 表記は LaTeX 使ってる身からすると、かなり面倒でイライラしますね・・・

 

大問7・空間図形

難易度 標準

大問7は空間図形の問題でした。石川県総合模試のような面倒な計算は不要ですが、(3)では展開したときにどのようになるかをイメージできないと厳しいですね。

上図の円錐において底面の円の半径($\mathrm{AH}$)が $9$、$\mathrm{OA=15}$、$\mathrm{OH=12}$ が与えられています(単位は面倒なので省略します)。

(1)は円錐の体積を求める問題でした。これは問題なくできたと思います。

$$\frac{1}{3}\times 9^2\pi\times 12=324\pi$$

となります。

(2)は図の円錐を $\mathrm{OH}$ を含む平面で切ったときの断面の面積を求めるです。これも問題なくできたという人が多かったでしょう。

この三角形の面積は

$$\frac{1}{2}\times 18\times 12=108$$

となります。

(3)は少し苦戦したという人もいたかもしれません。まずは、下図のように $\mathrm{B}$ を通って底面に平行な面で円錐を2つに切り分けます。

このうち、$\mathrm{H}$ を含む方の(アポロチョコレートのイチゴのところだけ食べたような)図形の表面積を求める問題でした。

塾長
「おい、アポロチョコレートって言いたいだけだろ!」という声が何となく聞こえてきますなあ。なお、表面積ではなく体積を求めてしまったという人もいるかもしれませんが、落ち着いて問題を読んでくださいね。

まずは、展開図がどうなるかをよく考えていきましょう。

$\mathrm{OB}=10$ が与えられているので、相似を利用すると$\mathrm{B}$ を含む方の円錐の底面の半径 $r$ は $15:10=9:r$ より、$r=6$ となります。

相似を使わないでも求められますが、その場合は後述する大きい円錐の側面を展開したおうぎ形から中心角(円に対する割合)を求めて、小さい方の円錐の側面を展開したおうぎ形の円弧の長さ=円周として半径を求めます。どのみち中心角(円に対する割合)は求める必要があるので、こちらの考え方を使ってもいいですが、相似を学んでいる人はおそらくすぐに $r=6$ が見えてしまうでしょう。

$\mathrm{B}$ を含む方の円錐の展開図は、側面がおうぎ形、底面が円となり下図のようになります。

こんな感じですね。さらに、$\mathrm{A}$ を含む方の円錐を考えましょう。

こんな感じです。いきなりヘンテコな図形の表面積を考えるのは難しいので、まずはよく知っている図形から考えていきましょう。

塾長
円錐の展開図がおうぎ形と円になるなんて知らなかった、なんて人は勉強をやり直してくださいね。それと、実際に紙を使って円錐を作ってみるといいですよ!

こうやって描いてみると、求める図形の表面積がおぼろげながら浮かんできますね!

求める図形の上面と底面は上の2つの図の円の面積となります。それぞれ $36\pi$ と $81\pi$ です。

また、側面積については大きいおうぎ形から小さいおうぎ形を引けばOKです。

おうぎ形の面積を求めるためには中心角(円に対する割合)が必要になるので、大きい方の円錐を用いて考えます。

側面のおうぎ形のつくる円弧と底面の円周が一致するので

$$2\times 15\pi\times \frac{x}{360}=2\times9\pi$$

として $x=216$ が求まります。が、わざわざ $x$ まで求めずとも、$\displaystyle \frac{x}{360}$ という割合さえ分かれば良いので

$$\frac{x}{360}=\frac{2\times9\pi}{2\times 15\pi}=\frac{9}{15}=\frac{3}{5}$$

としておけば十分です。この半径の比が円に対する割合になることは重要な事実として確認しておきたいところです。

というわけで、大きいおうぎ形から小さいおうぎ形を引いた斜線部が側面の面積となります。

$$(15^2\pi-10^2\pi)\times \frac{3}{5}=75\pi$$

よって、求める表面積は $(75+36+81)\pi=192\pi$ となります。

大問8・平面図形

難易度 

最後の問題は平面図形でした。$\mathrm{AB>BC}$、$\mathrm{AB=AC}$ の二等辺三角形 $\mathrm{ABC}$ が与えられています。

(1)では、$\mathrm{AC\perp BD}$、$\mathrm{AB\perp DE}$、$\angle\mathrm{EBD}=34^\circ$ のとき、$\angle\mathrm{DBC}$ を求める問題です。

図からも分かるように $90^\circ$ を上手に利用していきましょう。

$\triangle\mathrm{EBD}$ の内角の和を考えて、$\angle\mathrm{BDE}=56^\circ$ となります。また、直線 $\mathrm{AC}$ 上の $\mathrm{D}$ まわりの角に着目して、$\angle\mathrm{ADE}=34^\circ$、さらに $\triangle\mathrm{AED}$ の内角の和に着目して、$\angle\mathrm{EAD}=56^\circ$ となります。

頂角 $\angle\mathrm{EAD}=56^\circ$ の二等辺三角形の底角を求めて $\angle\mathrm{62}^\circ$ より

$$\angle\mathrm{DBC}=62^\circ-34^\circ=28^\circ$$

となります。

(2)は下図において、$\mathrm{AD=BD}$、$\mathrm{AE=CE}$、$\mathrm{BE=BF}$、$\mathrm{CD=CF}$ のときの $\angle\mathrm{EFD}$ の大きさを求める問題です。

二等辺三角形がたくさん出てくるので、これを上手く利用しましょう。とくに外角には要注意です。

$\angle\mathrm{BAC}=a$ とすると $\angle\mathrm{BEC}=2a$ となります。

$\mathrm{BE=BF}$ より $\angle\mathrm{BEF}=\angle\mathrm{BFE}=2a$ となります。また、対頂角は等しいので $\angle\mathrm{BFE}=\angle\mathrm{CFD}=2a$、さらに $\mathrm{CD=CF}$ より、$\angle\mathrm{CFD}=\angle\mathrm{CDF}=2a$ となり、$\triangle\mathrm{CFD}$ の内角の和から、$5x=180^\circ$ となります。

さらに、外角に着目すれば $\angle\mathrm{EFD}=\angle\mathrm{FCD}+\angle\mathrm{CDF}=3a$ なので、

$$180^\circ\times \frac{3}{5}=108^\circ$$

となります。

(3)は合同の証明でした。

図のように、$\mathrm{BD\perp AC}$ となる $\mathrm{D}$ をとり、$\mathrm{BC=BE}$ となる $\mathrm{E}$ をとります。さらに、$\mathrm{B}$ を通って $\mathrm{BC}$ に垂直な直線を引き、$\mathrm{EF\perp BF}$ となる $\mathrm{F}$ をとります。このとき、$\triangle\mathrm{BCD}\equiv\triangle\mathrm{BEF}$ を証明する問題です。

これは比較的簡単だったのではないでしょうか。

まずは、与えられた条件から、$\mathrm{BC=BE}$、$\angle\mathrm{BDC}=\angle\mathrm{BFC}$ がすぐに示せます。

あとは残りの1辺か1角を狙っていけばOKです。辺の条件は使ってしまっているので、角を考えていきましょう。

垂直に着目すると、$\mathrm{BC//FE}$ が見えるので、錯角について $\angle\mathrm{FEB}=\angle\mathrm{EBC}$ となります。また、$\triangle\mathrm{ABC}$ が $\mathrm{AB=AC}$ の二等辺三角形であることから、$\angle\mathrm{EBC}=\angle\mathrm{DCB}$ となり、結局、$\angle\mathrm{DCE}=\angle\mathrm{FEB}$ が言えます。

2つの直角三角形において、斜辺ともう1つの角がそれぞれ等しいことが示せたので、$\triangle\mathrm{BCD}\equiv\triangle\mathrm{BEF}$ が証明できました。

 

解いてみての感想

易しめの問題が多かったので、純粋に解くだけなら約15分で解き終わりました。

簡単ではあるものの、素直に解いていくとそれなりの計算量になるものが多く、ミスをしたり時間が足りなくなったりするようなこともあったと思います。とくに、大問2や大問4で計算でいかにラクするかで大きな差がつきます。オーソドックスな解法も大事ですが、それと同じくらい計算を少なくする方法も大事です。

また、後半の図形は比較的素直な問題が多かったように思います。

今回は簡単だったと評する人が多いと思いますが、受験生にとっても同じく簡単であるとは限りません。

あまり、外野の声に惑わされずに、自分の理解度をきちんと測ることが大切です。解けているから大丈夫、合格ラインを超えているから大丈夫などと安易に考えないでください。数学については、高得点者であっても改善の余地があるはずです。

また、このテストの結果だけであれこれ判断するのも危険です。まだ入試本番までの期間で逆転は十分に起こり得ます。今回、あまり思ったように得点できなかった人は、いったん自分の学習内容を見直して、今後にむけて改善していきましょう!

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