ここ最近、中学生のテストの解説記事ばかりだったので、たまには高校数学のネタも投下しておかないとなあと思っていたところです。
高校数学の記事(というか数学の話全般ですね)を書くとアクセス数が激減するんですよね〜涙。
平均点の情報とか合格ラインの話とかはアクセス数が跳ね上がりますが、数学の記事はだいたい1日に10PVくらいになることもよくあります。
とはいえ、数学の塾なので「きちんとした記事」も揃えておきたいところです。
そんなわけで、今日は先日とある生徒から質問が出た内分・外分の話でも。
単元としては、数学IIの図形と方程式のところで扱います。また現行の数学Cのベクトルでも内分・外分の話題が登場します。
数学IIでは、内分点の公式の証明に続き、下のような囲みで公式が取り上げらている教科書がほとんどです。
2点 $\mathrm{A}(x_1,\ y_1)$、$\mathrm{B}(x_2,\ y_2)$ を結ぶ線分 $\mathrm{AB}$ を $m:n$ に内分する点を $\mathrm{P}$、外分する点を $\mathrm{Q}$ とすると
内分点 $\mathrm{P}$ の座標は $\displaystyle \left(\frac{nx_1+mx_2}{m+n},\ \frac{ny_1+my_2}{m+n}\right)$
外分点 $\mathrm{Q}$ の座標は $\displaystyle \left(\frac{-nx_1+mx_2}{m+n},\ \frac{-ny_1+my_2}{m+n}\right)$
補足 内分点の座標で $n$ を $-n$ に置き換えたものが、外分点の座標である。
この証明はとくに難しい話ではないのでしっかりと自力で証明できるようになっておきたいものです。
上図の $\mathrm{P}(x,\ y)$ の座標について考えます。
まずは、$x$ 座標についてですが、$x$ 軸上の長さを $m:n$ に内分するということから
$$(x-x_1):(x_2-x)=m:n$$
が成り立ちます。これを整理すると $(m+n)x=nx_1+mx_2$ となり、両辺を $m+n$ で割って
$$x=\frac{nx_1+mx_2}{m+n}$$
となります。$y$ 座標についても同様にして求められるでしょう。
この考え方が入っていれば、公式を忘れたとしてもその場ですぐに作ることができます。
また、外分についてもわざわざ公式を覚えるまでもなく、自分で導けるはずです。
大切なことは位置関係をきちんと図でイメージするということです。
内分の図に対して、外分の図は以下となります。
そんな場合には図を見て解決しましょう。$x_2$ が $x_1x$ を $m-n:n$ に内分していることを確認してください。つまり、先ほどの内分の考え方を踏襲すれば
$$(x_2-x_1):(x-x_2)=(m-n):n$$
となります。整理すれば、$mx_2-nx_1=(m-n)x$ となり、
$$x=\frac{-nx_1+mx_2}{m-n}$$
となります。さらに、この過程から、結局は内分の $n$ を $-n$ にすればいいことが分かります。
このように1つ1つ確認して自分で作ってみるという勉強をしていれば、忘れてしまってもその場で何とかできるわけです。
しかし、実際には囲みの中の公式をいきなり覚えようという人が続出します。
そして、「外分の公式を忘れてしまったので解けませんでした」なんていうことを言い始めるのです。
公式偏重の勉強になるといろいろな弊害があるので、早めにそのような勉強からは脱しておきたいところです。
なお、今回私が気になったのは、以下のような問題でした。
この問題を、「え〜っと外分点の公式が・・・」みたいな感じで不安になりながら解いている人がかなり多いように思います。
しかし、公式がどうこうの前に、まずは外分の状況を図に表してみてください。
こんな感じになるので、$\boldsymbol{\mathrm{P}}$ は $\boldsymbol{\mathrm{AQ}}$ の中点となるので
$$x=\frac{X+1}{2},\quad y=\frac{Y+3}{2}$$
として変形すれば良いと分かります。$X=2x-1$、$Y=2y-3$ がすぐに取り出せるでしょう。
数学で伸び悩んでいる人や、数学が急にできなくなるタイプの人にはこうした勉強に陥っている人が多いように思います。
目の前のテストを乗り切るためにそうした安直な勉強に走ってしまうと、後々でとても困ったことになってしまいます。
テストで点数が取れているから大丈夫!と思っていても、実は危険な状況にあるという人もかなりいます。
後で困らないように、早めにきちんとした勉強にシフトしておきたいところです。