12月9日(日)は2024年度第6回石川県総合模試の実施日でした。学校では三者面談なども始まり、模試の結果が気になる方が多くなってくる時期です。みなさん、手応えはいかがだったでしょうか。
総合模試を受験したみなさん、お疲れ様でした!
第1回金沢市統一テストから約1ヶ月ほど経ちましたが、第1志望にどこまでこだわって勉強してきたかというのが問われる時期になってきました。第6回および第7回は受験者が増えることが多いので、よりリアルな自分のポジションが見えてくると思います。しっかりと結果に対して向き合っていくことで、まだまだこれからの伸びにつながっていくはずです。
できた人もそうでなかった人も、まずは早急に復習をやって、できていないポイントを押さえておきましょう!
概観
今回も数学は大問数が7(うち小問数22)のいつも通りのセットでした。石川県公立高校入試もほぼ同様の内容となることが多いので、時間配分などをよく考えて解いていきましょう。
今年度は、第1回からずっと易化傾向に会ったのですが、ここにきて少し骨のある問題が出題されるようになりました。
とはいえ、近年の石川県の中学生の数学力を考慮すると、易しめの問題でないときちんとした差がつきません。今回のように少し難し目の問題になると中位層から下位層が圧縮されてしまうので、理解度を確認するには点数や偏差値だけでは難しいということを指摘しておきます。
内容については前半が方程式・関数を中心とした計算重視の問題、後半が作図を含む図形の問題という構成でした。
後半の図形は、上位層以外ではかなり壊滅的な状況となっているため、(1)のみを解いて終わっている人もかなり多いように感じます。前半の計算中心の問題で勝負する人が多そうです。
一方、上位層では後半の図形で点差がつくため、前半の計算中心の問題をなるべくサクッと終わらせ、できるだけ後半の図形でじっくりと考えて解きたいところです。
全体的な難易度 やや難
問題の解説
ここからは問題の具体的な解説となります。問題用紙を準備してご覧ください。
大問1
内容 小問集合
難易度 易
基本的な計算力や知識を問う問題です。今回は、(3)、(4)、(5)が少し面倒な問題でした。
(1)は単純な計算問題です。ノーミスで解いておきたい問題ですが、案外ミスしてしまう人が多いので、慎重に取り組みましょう。また、常に工夫して計算することを徹底して、なるべく計算をしないで乗り切れるようにしておきましょう。
(2)は2次方程式$x^2+4x=7$を解く問題でした。$x^2+4x-7=0$として解の公式を用いて解いた人もいたかもしれませんが、解の公式は計算ミスをしやすいので注意しましょう。ここでは、解の公式などは用いずに平方完成によって解くべきでしょう。
\begin{gather*}
x^2+4x=7\\
(x+2)^2-4=7\\
(x+2)^2=11\\
x+2=\pm\sqrt{11}\\
\therefore x=-2\pm\sqrt{11}
\end{gather*}
x^2+4x=7\\
(x+2)^2-4=7\\
(x+2)^2=11\\
x+2=\pm\sqrt{11}\\
\therefore x=-2\pm\sqrt{11}
\end{gather*}
(3)は少し戸惑った人もいたかもしれません。正答率もあまり高くなさそうな規則性についての問題でした。
うまい方法が見つからない場合は、具体的にやってみましょう。
1列目の和は$1+2+3+4+5=\boldsymbol{15}$
2列目の和は$3+4+5+6+7=\boldsymbol{25}$
3列目の和は$5+6+7+8+9=\boldsymbol{35}$
2列目の和は$3+4+5+6+7=\boldsymbol{25}$
3列目の和は$5+6+7+8+9=\boldsymbol{35}$
となり、10ずつ増えることが分かります。これは表からも「各行の数が2ずつ増えるので合計で10増える」と読みとれます。
そして、2列目は$15+10\times \boldsymbol{1}$、3列目は$15+10\times \boldsymbol{2}$となります。
ということは、$n$列目は、
\begin{align*}
15+10\times (n-1)
\end{align*}
15+10\times (n-1)
\end{align*}
と表されることが分かります。規則性に不安がある人は4列、5列まで作ると見えてくると思います。
あとは整理して$10n+5$としておけばOKです。
(4)は典型的な問題でした。下図のような$\mathrm{AD//BC}$、$\mathrm{AD=6cm}$、$\mathrm{BC=12cm}$の台形$\mathrm{ABCD}$において、$\mathrm{M}$は$\mathrm{AB}$の中点で、$\mathrm{M}$を通って$\mathrm{AD}$に平行な直線と辺$\mathrm{DC}$の交点が$\mathrm{N}$となります。
これは補助線として対角線を引けば三角形が現れて一発で解決します。
図のように平行線によって比が移るので、結局、図の$\mathrm{M}$、$\mathrm{N}$、$\mathrm{L}$はそれぞれ$\mathrm{AB}$、$\mathrm{AC}$、$\mathrm{DC}$の中点となります。したがって、中点連結定理から
\begin{align*}
&\mathrm{ML=\frac{1}{2}\times BC}\\
&\mathrm{LN=\frac{1}{2}\times AD}
\end{align*}
&\mathrm{ML=\frac{1}{2}\times BC}\\
&\mathrm{LN=\frac{1}{2}\times AD}
\end{align*}
となります。$\mathrm{MN=ML+LN}$なので
\begin{align*}
\mathrm{MN=\frac{1}{2}\times (BC+AD)=9}
\end{align*}
\mathrm{MN=\frac{1}{2}\times (BC+AD)=9}
\end{align*}
よって、$\mathrm{9cm}$となります。
(5)は確率の問題でした。これも文字が入っていて少し戸惑った人もいたでしょう。大きいサイコロの目が$a$、小さいサイコロの目が$b$であり、$\displaystyle\frac{ab-1}{5}$が自然数となるということは、$ab$が5で割ったときに1余る数(つまり5の倍数に1加えた数)になるということです。ただし、$ab=1$は自然数とならないのでダメです。
下のように、縦に$a$、横に$b$(どっちでもいいですが)をとって積を表に表すと一目瞭然です。
上の表の太字部分が該当するので、求める確率は$\displaystyle\frac{6}{36}=\frac{1}{6}$となります。
大問2
内容 場合の数
難易度 標準
(1)はあまりにも簡単な問題でした。(2)もきちんと考えれば簡単な問題ですが、きちんと考えられた人は思ったより少なかったかもしれません。
まずは、下図のようなマス目が与えられていました。
最初にコマを$\mathrm{S}$のマスに置き、サイコロを投げて出た目の数だけコマを右に移動させる問題でした。
ルールとしては、9を超える目の数が出たら、超えた分だけ左に戻ります。折り返した場合は、そのまま左に進みたくなりますが、次のターンはまた右に進むようにリセットされます。ここは与えられた例をしっかりと読んでおかないと勘違いする人がいそうなので要注意です(これを確認するのが(1)の問題なのです)。ちょうど9で止まったら終了となります。
(1)はサイコロを2回投げて終了した場合についての問題でした。1回目に出た目の数が5であるとき、2回目の数を求めよという問題でした。これは4しかあり得ません。
そもそも、ルールをちゃんと読まない時点で大問題なのですが、案外テキトーに読み飛ばしている人が多いものです。
(2)はサイコロを3回投げて終了となる場合のうち、「左に戻る」ということが起こるサイコロの目の出方を求める問題でした。
大事なのは「左に戻る」ということが起こるケースであるということです。左に戻るためには、9より進まないといけないので、最初の2回の目の合計が10以上とならなければなりません。まずは、ここを確認することがポイントです(ここに気付くには、いくつか具体的な例を考えることが大切です)。
これを満たす目の出方は、(1回目、2回目)として
\begin{align*}
(4,\ 6),\ (5,\ 5),\ (5,\ 6),\ (6,\ 4),\ (6,\ 5),\ (6,\ 6)
\end{align*}
(4,\ 6),\ (5,\ 5),\ (5,\ 6),\ (6,\ 4),\ (6,\ 5),\ (6,\ 6)
\end{align*}
の6パターンです。3回目の目の出方は自動的に1通りに決まるので、求める目の出方は6通りとなります。
大問3(復習おすすめNo.1)
内容 関数
難易度 標準
大問3は関数の問題でした。よくある図形との融合問題だったので、比較的手が動いた人が多かったのではないかと思います。一方で、苦手な人はとことん苦手なタイプの問題なので、差がつきやすい問題だったと思います。
①は$y=x^2$のグラフ、②は$y=ax^2$(ただし$0<a<1$)のグラフです。図のように長方形$\mathrm{PQRS}$を作ります。ただし、点$\mathrm{P}$の$x$座標は正、点$\mathrm{Q}$の$y$座標は点$\mathrm{P}$の$y$座標より$3$小さく点$\mathrm{S}$の$x$座標は点$\mathrm{P}$の$x$座標より$1$小さいという条件があります。
(1)は直線$\mathrm{PR}$の傾きを求める問題です。条件にあるように、「点$\mathrm{Q}$の$y$座標は点$\mathrm{P}$の$y$座標より$3$小さく点$\mathrm{S}$の$x$座標は点Pの$x$座標より$1$小さい」ので、$\mathrm{P}$から$\mathrm{R}$へは、$x$は$1$増加し、$y$は$3$減少するため、直線$\mathrm{PR}$の傾きは$-3$となります。
(2)は点$\mathrm{P}$の座標が$(3,\ 9)$であるときの、$a$の値を求める問題です。これも(1)と同様に「点$\mathrm{Q}$の$y$座標は点$\mathrm{P}$の$y$座標より$3$小さく点$\mathrm{S}$の$x$座標は点$\mathrm{P}$の$x$座標より$1$小さい」という条件を利用します。
点$\mathrm{P}$の座標が$(3,\ 9)$であることから、点$\mathrm{Q}$の座標は$(3,\ 6)$となります。このとき、$\mathrm{R}$の座標は$(4,\ 6)$となります。これが$y=ax^2$上の点となるので
\begin{align*}
6=16a
\end{align*}
6=16a
\end{align*}
となります。したがって、求める$a$の値は$\displaystyle a=\frac{3}{8}$となります。
(3)は$\displaystyle a=\frac{1}{2}$のときの点$\mathrm{P}$の$x$座標を求める問題です。これは(2)で考えたことをもとに、同様の考え方で進めていけばOKです。
ただし、$\mathrm{P}$の座標が不明なので、文字を用いて$\mathrm{P}(t,\ t^2)$としておきましょう。不明な点の座標は文字で表しておくのがポイントです。このとき、点$\mathrm{Q}$の座標は$(t,\ t^2-3)$となります。したがって、点$\mathrm{R}$の座標は$(t+1,\ t^2-3)$となり、これが$\displaystyle y=\frac{1}{2}x^2$上にあることから、
\begin{align*}
t^2-3=\frac{1}{2}\times (t+1)^2
\end{align*}
t^2-3=\frac{1}{2}\times (t+1)^2
\end{align*}
となります。これを解くと
\begin{gather*}
2t^2-6=t^2+2t+1\\
t^2-2t=7\\
(t-1)^2=8\\
t-1=\pm\sqrt{8}\\
t=1\pm2\sqrt{2}
\end{gather*}
2t^2-6=t^2+2t+1\\
t^2-2t=7\\
(t-1)^2=8\\
t-1=\pm\sqrt{8}\\
t=1\pm2\sqrt{2}
\end{gather*}
$t>0$(点$\mathrm{P}$の$x$座標は正)なので、求める$x$座標は$1+2\sqrt{2}$となります。
大問4
内容 方程式
難易度 易
大問4は方程式の問題でした。これも、定価や売り上げ、割引といった頻出内容の問題だったので、できた人も多かったと思います。
条件を整理すると
- のり弁当と焼肉弁当を50個ずつ販売
- のり弁当1個の定価は焼肉弁当1個の定価より100円安い
- 焼肉弁当は完売
- のり弁当は売れ残ったので10個を定価の2割引にしたら完売
- 売上の合計は78500円
となります。
のり弁当1個の定価を$x$円とすると、焼肉弁当1個の定価は$x+100$となるので、焼肉弁当の売上は$50(x+100)$となります。
のり弁当は40個が定価で売れているので、その分の売上は$40x$、残った10個を定価の2割引($0.8x$)で売っているので、その分の売上が$8x$となります。
したがって、
\begin{gather*}
50(x+100)+40x+8x=78500\\
98x=73500\\
x=750
\end{gather*}
50(x+100)+40x+8x=78500\\
98x=73500\\
x=750
\end{gather*}
よって、のり弁当1個の定価は750円、焼肉弁当1個の定価は850円となります。
物価高の影響もあるのか、のり弁当も1個750円ですか…。恐ろしや〜。
大問5
内容 作図
難易度 易
作図の問題もそろそろ慣れてきたという人も多いでしょう。今回は、角の二等分線と垂直二等分線の基本的な作図のみだったので、できた人も多そうです。
与えられた条件は以下の2つです。
- $\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{CAP}$
- $\mathrm{PA=PC}$
$\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{CAP}$は、点$\mathrm{P}$が$\angle\mathrm{BAC}$の二等分線上にあることを示しています。また、$\mathrm{PA=PC}$は点$\mathrm{P}$が2点$\mathrm{A}$、$\mathrm{C}$から等距離にあること、すなわち線分$\mathrm{AC}$の垂直二等分線上の点であること示しています。
上図の2直線の交点が点$\mathrm{P}$となります。
大問6(復習おすすめNo.2)
内容 平面図形
難易度 難
大問6は平面図形の問題で、第5回に引き続き二等辺三角形をベースにした問題でした。
$\mathrm{AB=AC=5cm}$、$\mathrm{BC=8cm}$の二等辺三角形$\mathrm{ABC}$があり、$\mathrm{D}$、$\mathrm{E}$はそれぞれ$\mathrm{AB}$、$\mathrm{BC}$上の点となります。
(1)は$\mathrm{AD=2cm}$、$\mathrm{DE=3cm}$のときの$\triangle\mathrm{ABC}$と$\triangle\mathrm{DBE}$の面積を求める問題です。
条件を確認すると、$\triangle\mathrm{ABC}\sim\triangle\mathrm{DBE}$($\angle\mathrm{B}$が共通かつ二等辺三角形よりもう1つの底角も等しくなります)となることが分かります。したがって、相似比は
\begin{align*}
\mathrm{AC:DE=5:3}
\end{align*}
\mathrm{AC:DE=5:3}
\end{align*}
となります。よって、求める面積比は$5^2:3^2=25:9$となります。
相似比だけを求めて満足してしまった人も結構いるのではないかと想像します。かつて中学生だった塾長もよくやらかしていました。トホホ。
(2)は$\angle\mathrm{ACB}=\angle\mathrm{FED}$となるように、$\mathrm{AC}$上に$\mathrm{F}$をとります。このとき、$\triangle\mathrm{BDE}\sim\triangle\mathrm{CEF}$を証明する問題です。
相似の証明なので、二角相等を狙っていくのが基本です。
まず、すぐに見つかるのは$\triangle\mathrm{ABC}$が$\angle\mathrm{ACB}=\angle\mathrm{ABC}$の二等辺三角形であることから、$\angle\mathrm{DBE}=\angle\mathrm{ECF}$です。
もう1つの角については、どこを狙うといいでしょうか?
条件に$\angle\mathrm{ACB}=\angle\mathrm{FED}$とあるので、$\angle\mathrm{FED}$についてよく考えてみましょう。ここで外角に着目して、
\begin{align*}
\angle\mathrm{FCE}+\angle\mathrm{CFE}&=\angle\mathrm{FEB}\\
&=\angle\mathrm{FED}+\angle\mathrm{DEB}
\end{align*}
\angle\mathrm{FCE}+\angle\mathrm{CFE}&=\angle\mathrm{FEB}\\
&=\angle\mathrm{FED}+\angle\mathrm{DEB}
\end{align*}
ここで、$\angle\mathrm{ACB}(\angle\mathrm{FCE})=\angle\mathrm{FED}$なので、$\angle\mathrm{CFE}=\angle\mathrm{DEB}$となります。
したがって、$\triangle\mathrm{BDE}\sim\triangle\mathrm{CEF}$が証明できました。
(3)は下図のように、(2)の図にさらに条件$\mathrm{AD=1cm}$、$\mathrm{FD=FE}$が加わります。このときの$\mathrm{AF}$の長さを求める問題でした。もちろん、(2)で証明した$\triangle\mathrm{BDE}\sim\triangle\mathrm{CEF}$は利用できます。
とりあえず、与えられた条件を見ながら$\mathrm{AF}$に近いところを考えていきましょう。(2)の$\triangle\mathrm{BDE}\sim\triangle\mathrm{CEF}$を利用するとしたら、やはり$\mathrm{FC}$を求めていく必要がありそうです。$\mathrm{FC}$は$\mathrm{BE}$と対応しているので、ここにも注意をしておきましょう。
さらに、
(2)の$\angle\mathrm{ACB}=\angle\mathrm{FED}$と$\mathrm{FD=FE}$を組み合わせると、$\triangle\mathrm{ABC}\sim\triangle\mathrm{FDE}$となります。
この2つの相似を用いて、線分を考えていくのがよさそうです。
まずは$\triangle\mathrm{BDE}\sim\triangle\mathrm{CEF}$の比を考えましょう。$\mathrm{CF}=x$としておきます。
\begin{gather*}
\mathrm{BE:CF=DB:EC=DE:EF}
\end{gather*}
\mathrm{BE:CF=DB:EC=DE:EF}
\end{gather*}
とりあえず分かっているものを入れておくと
\begin{gather*}
\mathrm{BE:\textit{x}=4:EC=DE:EF}\ \cdots(1)
\end{gather*}
\mathrm{BE:\textit{x}=4:EC=DE:EF}\ \cdots(1)
\end{gather*}
次に、$\triangle\mathrm{ABC}\sim\triangle\mathrm{FDE}$の比を考えます。
\begin{gather*}
\mathrm{AC:FE=AB:FD=BC:DE}
\end{gather*}
\mathrm{AC:FE=AB:FD=BC:DE}
\end{gather*}
これも分かっているものを入れておきましょう。
\begin{gather*}
\mathrm{5:FE=5:FD=8:DE}\ \cdots(2)
\end{gather*}
\mathrm{5:FE=5:FD=8:DE}\ \cdots(2)
\end{gather*}
後は、(1)と(2)をうまく繋いでいくだけです。まず、両方の式に共通している$\mathrm{DE}$、$\mathrm{EF}$あたりを何とかしましょう。
(2)の両端の式を用いて
\begin{gather*}
\mathrm{5:FE=8:DE}\\
\mathrm{DE:FE=8:5}
\end{gather*}
\mathrm{5:FE=8:DE}\\
\mathrm{DE:FE=8:5}
\end{gather*}
がすぐに分かります。
たまに、この変形はどうやるんですか?という質問を受けることがありますが、「比」についてちゃんと理解できているでしょうか?「比」の概念がアヤしい人が上位層にも多いので気をつけて下さいね!
これを(1)に戻すと
\begin{gather*}
\mathrm{BE:\textit{x}=4:EC=8:5}
\end{gather*}
\mathrm{BE:\textit{x}=4:EC=8:5}
\end{gather*}
これでもう解けますね。まずは$\mathrm{4:EC=8:5}$から$\displaystyle\mathrm{EC}=\frac{5}{2}$(ここも暗算ですよ!)となり、$\displaystyle\mathrm{BE}=8-\frac{5}{2}=\frac{11}{2}$となります。
次に、$\displaystyle\frac{11}{2}:x=4:\frac{5}{2}$より$\displaystyle x=\frac{55}{16}$となります。
よって、求める$\mathrm{AF}$の長さは
\begin{gather*}
\mathrm{AF}=5-\frac{55}{16}=\frac{25}{16}
\end{gather*}
\mathrm{AF}=5-\frac{55}{16}=\frac{25}{16}
\end{gather*}
相似な図形を見て、対応する辺を順次考えていくことも大切ですが、ここでは得られた比例式を見て、式の操作から考えることも大切です。とくに、視覚ではなかなか気付かない部分もあるため、式を観察することも図形を考察する上では重要な方法となります。
大問7
内容 空間図形
難易度 やや難
大問7は直方体を題材とした問題でした。
下図のような、$\mathrm{AB=3cm}$、$\mathrm{AD=4cm}$、$\mathrm{AE=5cm}$の直方体$\mathrm{ABCD-EFGH}$を考えます。
(1)は面$\mathrm{ABCD}$と垂直な辺を考える問題です。これは問題ないでしょう。
$\mathrm{AE}$、$\mathrm{BF}$、$\mathrm{CG}$、$\mathrm{DH}$の4つです。
(2)は、下図のように$\mathrm{DH}$上に$\mathrm{P}$をとり、$\mathrm{E}$と$\mathrm{G}$、$\mathrm{E}$と$\mathrm{P}$、$\mathrm{G}$と$\mathrm{P}$を結びます。三角錐$\mathrm{P-EGH}$の体積が直方体$\mathrm{ABCD-EFGH}$の体積の$\displaystyle\frac{1}{10}$になるときの、$\mathrm{DP}$の長さを求める問題でした。
体積なので、底面積、高さを考えていきましょう。その前に、錐体の体積なので、まずは直方体の$\displaystyle\frac{1}{3}$となります。
底面積は図から$\triangle\mathrm{EGH}$は直方体の底面の$\displaystyle\frac{1}{2}$となります。あとは高さ$\mathrm{PH}$がどうなれば直方体の$\displaystyle\frac{1}{10}$となるかを考えます。
もうこのくらいは暗算で直方体の高さ$\mathrm{DH}$の$\displaystyle\frac{6}{10}=\frac{3}{5}$となることが分かって欲しいところです。したがって、$\mathrm{DP=2cm}$とすぐに分かります。
$\mathrm{PH}$を求めて終わってしまった人もいたようです。その気持ち、よ〜く分かりますよ。
(3)は(2)の図にさらに条件が加わります。$\mathrm{P}$が$\mathrm{DH}$の中点であり、$\mathrm{AE}$上に$\mathrm{AQ:QE=1:2}$となる$\mathrm{Q}$、$\mathrm{CG}$上に$\mathrm{CR:RG=2:1}$となる$\mathrm{R}$をとります。このとき、$\mathrm{B}$、$\mathrm{Q}$、$\mathrm{H}$、$\mathrm{R}$は同一平面上に存在します。
三角錐$\mathrm{P-EGH}$を平面$\mathrm{BQHR}$で2つの立体に分けた場合の、$\mathrm{E}$を含む方の体積を求める問題でした。
まず、切り口がどのようになるかを考えてみましょう。上図の$\mathrm{QH}$と$\mathrm{PE}$の交点を$\mathrm{L}$、$\mathrm{PG}$と$\mathrm{RH}$の交点を$\mathrm{M}$とします。平面と三角錐の3つの交点は$\mathrm{H}$、$\mathrm{L}$、$\mathrm{M}$であり、この3点を結んでできる三角形が切り口の図形となります。
不要な線を消して、切り口が分かりやすいように図を描き直しましょう。
こうすると、色つきの立体が三角錐になっていることが分かります。しかも、この三角錐は(2)で考えた三角錐の一部となっています。ということは(1)と同じように高さや底面積の比などを考えていくとよさそうです。ぱっと見た感じ、底面を$\triangle\mathrm{PMH}$として見るとよさそうです。そこで、まずは面$\mathrm{CGHD}$から比を考えていきます。
分割数をそろえていきましょう。
$\triangle\mathrm{RMG}\sim\triangle\mathrm{HMP}$が見えてきます。
これで、底面の面積比が分かるはずです。分からない人は下図を見て下さい。
$\triangle\mathrm{PGH}:\triangle\mathrm{ELQ}=5:3$となることから、まず底面積が$\displaystyle\frac{3}{5}$倍となります。
次に高さを考えるために、同じように面$\mathrm{ADHE}$を考えます。
$\triangle\mathrm{PLH}\sim\triangle\mathrm{ELQ}$で相似比が$3:4$となることから、以下のようになります。
上図では、$\triangle\mathrm{PIL}\sim\triangle\mathrm{PHE}$であり、相似比は$3:7$となります。したがって、$\displaystyle\mathrm{IL=\frac{3}{7}HE}$となり、高さは$\displaystyle\frac{3}{7}$倍となることが分かります。
ゆえに、色つきの三角錐の体積は$\mathrm{P-EGH}$の体積の$\displaystyle\frac{3}{5}\times \frac{3}{7}=\frac{9}{35}$倍となります。したがって、$\mathrm{E}$を含む方の立体の体積は$\displaystyle 1-\frac{9}{35}=\frac{26}{35}$倍となります。
$\mathrm{P-EGH}$の体積は、直方体の底面積の半分、高さも半分となることから
\begin{align*}
3\times4\times 5\times \frac{1}{3}\times\frac{1}{2}\times\frac{1}{2}=5
\end{align*}
3\times4\times 5\times \frac{1}{3}\times\frac{1}{2}\times\frac{1}{2}=5
\end{align*}
となります。したがって、求める立体の体積は
\begin{align*}
5\times \frac{26}{35}=\frac{26}{7}
\end{align*}
5\times \frac{26}{35}=\frac{26}{7}
\end{align*}
となります。
まとめ
今回は大問1がいつもより少し面倒だったため、最初から焦ってしまったという人もいたかもしれません。他の問題でも、関数や平面図形、空間図形は今年度の総合模試の中では比較的難しい問題でした。といっても入試レベルで考えれば標準的な問題なので、数学が得意な人は高得点だったのではないかと思います。
一方で、中位層以下の受験生は手が出せる問題が少なく、例によって平均点からやや下の辺りに大きな集団ができそうです。場合の数や方程式の問題を落とさずに解けたかどうかが分水嶺となるでしょう。
というわけで、年内最後の模試でしたが、ここにきて問題レベルも上がってきました。今回、うまく行かなかったという人は危機感を持って冬休みを過ごして下さい。まとまった時間が取れるのも冬休みが最後です。ここで一気に成績を伸ばす人が毎年たくさんいます。志望校の合格ラインに届いていなかったとしても、諦めずに1つ1つ改善していきましょう。
そして、いつも言っているように、ちゃんと中身のある勉強となるように自分の勉強を再点検してみて下さいね!