100問解くより、1問を考え抜く:至誠塾が大量の宿題を出さない理由

金沢市内の各中学校・高校では、ちょうど部活動が本格化する時期です。汗を流して部活に励んでいる生徒たちの姿を見ると、思わず心の中で「お疲れ様!」と声をかけたくなります。
一方で、この時期になると保護者の方からこんなお声も増えてきます。
「部活でクタクタで、家では宿題をこなすだけで精一杯です」
「学校の課題だけで手一杯で、自分の勉強まで手が回りません」
そうしたお悩みに対する当塾の考えは、このブログでもしばしば取り上げています。
無理に“量”をこなす必要はありません
というよりも、当塾ではそもそも「計算問題を大量に」「テキストを何ページも」といったような物量に頼った宿題は出しません。
今回は、なぜ当塾が「量」を追わないのか、そして忙しい今だからこそ大切にしてほしい数学との向き合い方についてお伝えしたいと思います。
単純に「量」をこなしても、数学の力は伸びない
多くの学校や塾で宿題が多く出される背景には、「量をこなせば力がつく」という考え方があります。
もちろん、反復は必要です。反復することが悪であると主張しているわけではありません。
しかし、それは「理解を伴った反復」であってこそ意味があるものです。
何も考えずに同じような問題をただ繰り返し解くだけでは、思考力は伸びません。
私が懸念しているのは、大量の宿題を出すことによって、いつの間にか「終わらせること」が目的になり、思考が伴わない「雑な作業」に陥ってしまうことです。
たとえば、
・なぜこの解法が成り立つのか
・条件が一つ変わると、どこに影響が出るのか
こうした問いを自ら立てて、論理を組み立てながら考える経験を積まなければ、本当の意味で「数学ができる」ようにはなりません。
限られた時間の中で、頭を使わずに済む作業を100問こなしたとしても、それは数学の力にはつながりにくいのです。それどころか、「数学=問題の解き方を覚える」という印象を強めてしまうことさえあります。
1問を「寝かせる」という学び方
当塾が大切にしているのは、1問とじっくり向き合う時間です。
授業で扱った中でも、考える価値のある問題については、その場で完全に理解する必要はありません。
むしろ、数日から1週間ほど、頭の片隅に置きながら考え続けてほしいのです。
「結局はこの操作はどういう意味があるのか」
「どんな値で成り立って、どんな値でダメなのか」
「良い方法を思いついたので試してみよう」
そんな過程こそが、数学の力を育てます。
すぐに答えを見て理解したつもりになるよりも、あれこれ悩み続けた時間の方が、はるかに価値があります。
この「納得するまで考え続ける経験」こそが、数学的思考を確実に伸ばしていきます。
私自身の反省から生まれた指導
部活も頑張りたいし、勉強も大切にしたい。そう考える生徒は少なくありません。
私自身も高校時代、吹奏楽部(かなりハードでした!)に所属しながら勉強にも真面目に取り組んでいました。
しかし振り返ってみると、「言われたことをこなすだけ」の学習が多く、何が本質なのかを考えずに時間を使ってしまっていたと感じています。
その結果、効果の薄いことに時間を費やし、本当に必要な学びに十分な時間をかけられていませんでした。
だからこそ、同じような失敗を、生徒にはしてほしくないと考えています。
失敗も経験のうち!なんてことも考えましたが、今の学生は本当に時間がないように見えるので、そんな悠長なことも言ってられません。
「量に追われる苦行の場所」ではなく、「考えることを楽しめる場所」でありたいというのが、至誠塾の原点です。
最後に
1つの問題を大切にすること。
とことん考え抜くこと。
そして、そのために価値のある問題を選ぶこと。
これはすべて、私が責任を持って提供すべきものだと考えています。
考え抜いた末に、ふと視界が開ける瞬間があります。その経験を重ねていくことで、数学は「やらされるもの」ではなく、「自分から向き合うもの」に変わっていきます。
忙しい今だからこそ、「どれだけ解いたか」ではなく、「どれだけ深く考えたか」を大切にしてほしいと思います。


