【中学生のみなさんへ】夏休みの勉強を始める前に

日中の気温も30℃を超えるようになってきました。夏になると絶好調になる塾長ですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
もうすぐ夏休みがやってきます。
学校でも家でも、「夏休みは大切だ」「この夏にしっかり復習しよう」と言われている人も多いと思います。中学3年生であれば、なおさらでしょう。
「夏を制するものは受験を制す」なんてことも、昔からよく言われます。
ただ、「夏休みが大切だ!」と言われても、実際に何をすればよいのかは、意外とよく分かっていなかったりするものです。
問題集をたくさん解けばよいのか、1学期の範囲を最初からやり直せばよいのか、それとも苦手な教科を集中的に勉強すればよいのか。どれも間違ってはいませんが、問題集を開く前に、まず考えてほしいことがあります。
自分は、どこから分からなくなっているのか
数学が苦手です
そう言う中学生はたくさんいます。しかし、数学のすべてが分からないという人は、ほとんどいません。方程式の計算はできるけれど文章題になると式を作れないという人もいれば、関数の式は求められるけれどグラフになると分からなくなるという人、図形の問題でどの条件を使えばよいのかが見えないという人もいます。
同じ「数学が苦手」でも、困っている場所は一人ひとり違うのです。
たとえば、「方程式が苦手」と思っている人でも、実際には分数の計算でつまずいているのかもしれませんし、問題文に書かれた数量の関係を読み取れていないのかもしれません。あるいは、そもそも等号が何を表しているのかをよく分からないまま、計算の手順だけを覚えているのかもしれません。
ここが曖昧なまま問題集を最初から解き始めても、なかなかうまくいきません。
夏休みに最初にやるべきことは、たくさん勉強することではなく、自分がどこで止まっているのかを見つけることです。
ただし「見つければそれで終わり」ではありません。
できないところを見つけるのは、あまり気分のよいことではありません。できる問題を解いている方が楽ですし、丸がたくさんつくので、勉強した気にもなれます。それに比べて、何度やっても間違える問題や、説明を読んでもよく分からないところに向き合うのは、かなり面倒だし、気分の良くないことかもしれません。
それでも、そこを避け続けていれば、分からないところは分からないまま残り続けます。そして、その上に新しい内容が積み重なっていきます。
苦手なところを見つけたら、いったん立ち止まり、どこまで戻れば分かるのかを確かめる。
夏休みには、そういう勉強が必要となります。
「解けた」と「分かった」は少し違う
答えが合っていたからといって、必ずしも分かっているとは限りません。前に見た問題と同じだったから解けたのかもしれませんし、公式に数字を当てはめたら答えが出ただけかもしれません。選択肢の中から、それらしいものを選んだだけということもあるでしょう。
これでも正解になることはあります。しかし、数字や聞かれ方が少し変わっただけで解けなくなるのであれば、まだ十分に理解できているとはいえません。
問題を解いたあとに、「なぜこの式を作ったのか」「なぜこの公式を使えるのか」「問題のどの部分に注目したのか」を、自分なりに言葉にしてみてください。言葉にできなければ、そこにはまだ曖昧な部分が残っています。
もちろん、最初から上手に説明できなくても構いません。大切なのは、答えを出して終わりにせず、自分がどのように考えたのかを確かめようとすることです。
「答えが合ったから大丈夫」で済ませてしまうのは簡単です。しかし、それでは、自分が本当に分かっているのかどうかは確認できません。少し面倒でも、式の意味や考え方まで確かめることが必要です。
1つ1つの問題を徹底的にやりこんでみるのも良い勉強になります。
解けなかった問題を、すぐに消さない
問題が解けなかったとき、すぐに解答を見て、きれいに書き直してしまう人がいます。ノートはきれいになりますが、自分がどこで困ったのかは消えてしまいます。
計算を間違えたのか、問題の意味を読み違えたのか、使うべき知識を思い出せなかったのか、それとも途中までは考えられたけれどその先が見えなかったのか。同じ不正解でも、原因はさまざまです。
解けなかった問題には、自分の理解の状態がよく表れています。間違いを消してしまうのではなく、どこまで考えられたのかを残しておくべきです。
間違いは、恥ずかしいものではありません。むしろ、これから何を勉強すればよいのかを教えてくれる、大切な手がかりです。
ただ、間違いをそのまま放置してよいということではありません。大切なのは、間違えた事実ではなく、なぜ間違えたのかを確かめ、次はどう考えるのかを自分なりに整理することです。
解答を赤ペンで写して終わり、では何も変わりませんよね!
夏休みは、立ち止まって考えられる時間です
普段は、学校の授業がどんどん進んでいきます。少し分からないところがあっても、次の単元が始まります。そして、前の内容が曖昧なまま、新しい内容を学ばなければならなくなります。
夏休みは、学校の授業がいったん止まります。だからこそ、これまで分からないままになっていたところへ戻ることができます。中学1年生や2年生にとっても、中学3年生にとっても、これはとても大きな意味があります。
ただし、何も考えずに問題集を何十ページも進めればよいわけではありません。どこが分からないのかを見つけ、一度立ち止まって考え、答えが合った理由を確かめ、間違えた原因を考える。
こうした勉強は、問題集のページ数には表れにくいものです。それでも、秋以降の学習を支えるのは、このような地道な確認です。
とは言っても、夏休みだけで、すべての苦手をなくすことは難しいでしょう。しかし、すべてをなくせないからといって、できないところをそのままにしてよいわけではありません。
これまで何となく覚えていたことを一つでもきちんと理解する。分からなかった問題を、自分の言葉で説明できるところまで考える。自分がどこで困っているのかを、以前より正確に言えるようにする。
そのためには、分からないことや、できないことに向き合わなければなりません。楽しいことばかりではありませんし、思うように進まない日もあります。
それでも、できる問題だけを繰り返して「勉強したつもり」になるより、ずっと意味があります。
これは、至誠塾の夏期講習でも大切にしていることです。ただ問題をたくさん解いて先へ進むのではなく、これまで学んだ内容を一つずつ確かめながら授業を進めます。
せっかく時間のある夏休みです。
「たくさんやった」で終わるのではなく、分からなかったことから目をそらさず、「前よりも分かるようになった」と思える時間にしてほしいと思います。


