塾ではひと足先に3月から新年度の授業がスタートしています。
どの学年でもそうなのですが、新年度がスタートすると計算の単元が中心となります。
中学3年生は展開と因数分解からスタートしたわけですが、最初の3週目まで展開の練習をたくさんやってもらいました。
この展開のところでは「展開の公式」なるものがあるのですが、実際には全く必要ありません。
\begin{align*}
&(a+b)^2=a^2+2ab+b^2\\
&(a-b)^2=a^2-2ab+b^2\\
&(a+b)(a-b)=a^2-b^2\\
&(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab
\end{align*}
上記の公式を覚えるほど無駄なことはありません。すべて分配して計算すれば終わる話です。
しかも、そんなに面倒なものは出てこないので頭の中でサクッと暗算してしまえばすぐに計算できます。
公式を覚えておくと早いという人もいますが、慣れてくれば公式なしでも瞬間的に展開できてしまいます。
また、公式に頼りすぎてしまい因数分解で苦労する生徒をたくさん見てきました。
そんなこともあって、当塾では公式は一切教えずにスタートします。
分配についてだけ説明をしたら、あとはいろいろな問題をやってもらいながら工夫できるところは工夫して計算してもらったり、あるいは計算結果を見ながら共通点がないか考えてもらったりするだけです。
その間も公式は一切登場しません。
そして、ある程度慣れてもらったら、これまた公式は一切教えずに因数分解に入ります。
まずは $x^2-4x-12$ や $a^2-4ab+4b^2$ などを見てノーヒントでやってもらうのですが、半分くらいの生徒はすぐに因数分解してしまいます。
また、すぐにできない生徒でも「どんな式を展開したらその式になるか」と考えてもらうと、1回の授業内でほぼ全員が因数分解できるようになります。
さらに、$5x^2-11x+2$ だとか $6x^2+5x-6$ などの因数分解についても、少し練習してもらうと暗算で因数分解できるようになってくれます。
「どの公式を使うか?」などと余計なことを考えなくても、ほとんどの生徒は展開と因数分解ができるようになります。
むしろ、公式を教える弊害の方が大きいのでできるだけ公式は教えないようにしています。
とくに最初の計算の単元では、公式を使うことが中心となってしまうと大事な部分が台無しになってしまうことが多いのです。
無駄な計算をしてしまったり計算のスピードが遅くなったりして、計算ミスを引き起こしたりもします。
また、この計算の単元の入り方を間違えてしまうと、数学そのものの考え方を間違ってしまう危険性が高いのです。
そんなわけで、最初の計算の単元では「どういったことを考えながら計算をするか」ということを重視しています。