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止まってしまって進めない

止まってしまって進めない

寒くなったり暑くなったりと本当に体がおかしくなりそうな気候ですが、スマホを片手に持って「あれ?スマホがない!」なんてやる程度に頭の方も少しおかしくなってきているようです。ごきげんよう

先日、X(旧Twitter)で見てはいけないものを見てしまったのですが、指導の中で気をつけていることを再確認するためにも良い題材だなと思ったのでちょっとだけ取り上げてみようと思います。

そのポストの本筋は別の話なのですが、そこに踏み込むと時間が足りなくなるので、今回は気になった部分だけを取り上げます。

それは、速さの問題をどう解くか(そして採点をどうするか)というものです。

問題

$\mathrm{100m}$ を $20$ 秒で進むときの速さは?

さて、これをどのように解くかということです。

自分が答案を作るなら $100\times 3=300$ で分速 $\mathrm{300m}$ とします。

あるいは、$100\div 20=5$ で秒速 $\mathrm{5m}$ とするかもしれませんが、真っ先に頭に浮かんだのは $100\times 3=300$ でした。

 

しかし、これではダメだという方もいるようです。

「$3$ はどこから出てきたのか」とか「問題文にない数字を使ってはいけない」などという主張を見かけました。

後者に関してはそんな決まりはないので考える必要はありません。

一方、「$3$ がどこから出てきたのか分からない」というのは、指導している際にもよく見かけるパターンです。

私の板書を見ながら「その $3$ って何ですか」みたいな質問が出ます(あるいは、この $3$ は何かを確認します)。

この問題において $3$ が瞬時に理解できないというのは、そもそも速さの理解において問題を抱えているケースがほとんどです。

なお、もし採点者側がこの $3$ を理解できない場合(ないと思いますが)は採点に関わってはいけないレベルです。

過去の指導の経験からも、実際にこの $3$ を認識できない生徒の多くが「はじき」「みはじ」などの解き方に染まっていて、速さの理解に問題を抱えている生徒でした。

そうした生徒は、$\displaystyle 100\div \frac{20}{60}$ という式を作ってくることがほとんどでした。

「はじき」「みはじ」のフォーマット通りの式になっているのがポイントです。

もちろんこれでも正しい式なので間違いではありませんが、この問題で生徒がこの解き方をしていれば、速さの理解度を疑いたくなります。そういう場合に、一人一人に確認していくと「フォーマットに値を当てはめているだけ」という、いわゆる公式代入で止まってしまっている人がたくさんいるのです。

定義に沿って考えることは大切ですが、そこで止まってしまってしまうと理解が深まらず、より複雑な問題に応用することが難しくなっていきます。そのため、定義は定義として大切にしつつ、それを別の角度から捉え直したりすることが重要となります。

 速さの指導の原点としては

  • 1時間で40km進む車で2時間走ったら何km進みますか?
  • 1時間で40km進む車で30分走ったら何km進みますか?
  • 1時間で40km進む車で10分走ったら何km進みますか?

このあたりから1つ1つ確認をやっていきます。

  • 100kmを1時間で進むときの時速は?
  • 100kmを2時間で進むときの時速は?
  • 100kmを30分で進むときの時速は?

などもやります。

そして、似たような問題をしつこくしつこく「もうお腹いっぱいです!」というくらいまで、あれこれ値を変えて聞きます。

即答できるレベルになってきたら、今度は

  • 1時間で22km進む車で13分走ったら何km進みますか?
  • 16kmを11分で進むときの時速は?

なども聞いていきます。下手すると、この手の問題だけで1つの授業が終わることもあります。

最近では、中学生相手にこれをやらないといけない危機的状況に陥っています。呪いの解除が必要な生徒がかなり増えた印象を受けます。

このような具体例をたくさんやってきた生徒は、$\mathrm{100m}$ を $20$ 秒で進むときの速さは? に対する $100\times 3$ を瞬時に理解します。また、そうした解き方を自然と身につけていきます。

「道のり=速さ×時間」とか「速さ=道のり÷時間」のような式は一切提示しません。それでも、きちんと速さの感覚を身につけて、いろいろな問題をしっかりと(しかもサクッと)解いてくるようになります。

実際に、考えていることは非常にシンプルで「100mで20秒、20秒を3倍すれば1分だから分速300mだな」と比を用いて解いているだけです。

この比の感覚はとても大切で、数学だけでなく理科などにも幅広く応用されるものです。この比の扱いにも問題があるのですが、それについてはまた今度!

無理やり式にすれば、$\displaystyle 100\div \frac{20}{60}$ となるかもしれませんが、頭の中にその式は浮かんでいません

理解していることを主張するために、$\displaystyle 100\div \frac{20}{60}$ のような式を書いたほうが丁寧、という話も分からないないわけではありません。採点者の負担が増えることになるからというのもまあ何となく分かります。が、$\displaystyle 100\div \frac{20}{60}$ がないと減点というのは賛同できません。

私も中学生や高校生の答案を採点・添削する機会が多いのですが、全く予想もしない解き方をしてある答案をよく見かけます。そうした答案に対して「なんやこれ、意味不明やバツ!」みたいに考えてしまう人は、そもそも数学の指導に向いていないと思います。

「おいおい、これはどうやって考えたんだい? ちょっと教えてくれ!」くらいに前のめりで聞いちゃうくらいでないと、数学の指導は難しいでしょう。そのくらい「自分の知らない考え方」には価値があると考えるのが普通です。

理解の仕方のいうのは一通りではないですし、深さというものもあります。また、理解したと思っていたことが、より深く追求していくと「全然理解してなかった」となることもしばしばです。そうした経験を楽しみながら、数学も楽しんでもらいたいなあと思っています。

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