この時期は、どの学年も速さや割合の問題を扱う機会が多くなります。
割合や速さの問題が苦手だという生徒は多いのですが、いろいろと聞いてみると、その原因が何となく見えてきます。
ちなみに「まったく理解できていない」という生徒は滅多にいませんが、ほぼ理解できていないという生徒が思ったより多いという印象です。
とくに、この手の問題を考えるときに下のような図をかいているひとは要注意です。
SNS上でも度々話題になるものですが、中高生を指導する立場としては、こうした何の理解も深まらないものを濫用しないでもらいたいです。
答えが出て理解した気になってしまえば、そこから理解が深まるということはほとんどありません。
実際に、そのレベルで止まってしまった中高生をたくさん見てきました。
例えば「30kmの道のりを15分で進んだときの時速は?」という問いに対して、以下のような計算をする生徒が出てきます。
確かに間違ってはいないのですが、観察していると、上のような図をかいて、「は」の部分を指で隠して「道のり÷時間」などと考えています。
速度のことをしっかりと理解している人であれば、何も計算せずに120km/hと即答できるはずです。
こうした生徒には、基本的な問いをたくさんしていきます。
- 2時間で30km走る時の時速は?
- 時速20kmで30分進んだら?
- 40kmを時速15kmで進んだら?
こうした基本的なことをやっていけば、ヘンテコな図をかかなくても、ふつうに速さや割合のことを理解してくれる生徒が大多数です。
もちろん、理解までにかかる時間は人によって違いますが、「何を理解すべきか」がしっかりと見えていれば意外なほどあっさりとクリアしていきます。
表面の浅いところをサッとなでただけで「自分が数学ができる」なんて思いこんでいる人が多いのではないでしょうか。
それが学生であれば「かわいいなあ」で済む話なのですが、指導者側にそうした人が多くいるというのが問題です。
いずれにしても「とりあえず解けるようにする」なんていうのはお話ならないわけで、正しく間違えるということをやらないと理解は深まりません。
そのことは肝に銘じておいてほしいですね。