随分と秋らしくなってきました。空気も澄んで爽やかな日々です。
頭も冴え渡っているような気がしないでもないですね。
今日は、先日の高2数学で扱った問題について少し書いておきましょう。
大学入試では典型問題なんて言われるようなよくある問題なのですが、このくらいのレベルになると、理解度に応じてはっきりと差が出始めますね!
という感じで、最初から途方にくれる生徒もいたりします。
三角比を含む方程式については、まずは $\sin\theta$ なり $\cos\theta$ なりついて解いていかないとダメっていう話は高1数学で扱った内容です。
なんて言ってる人は、きちんと数学Iに戻ってやり直してくださいね!
さて、この問題だと $\sin\theta$ と $\cos\theta$ が入り混じっているので、まずは $\cos^2\theta=1-\sin^2\theta$ を用いて $\sin\theta$ のみの式にするのが良さそうです。
さらに、定数 $a$ が入っているので、このままだと $a$ の値とともに解も動いてしまうので個数を調べるのは大変です。
というわけで、動くものと動かないものを分けてしまいます。いわゆる定数分離というヤツですね。
$$-2\sin^2\theta-\sin\theta+1=a$$
となります。
こうすることで、解の個数は $y=-2\sin^2\theta-\sin\theta+1$ と $y=a$ のグラフの交点を調べればよいことになります。
ということで、 $y=-2\sin^2\theta-\sin\theta+1$ と $y=a$ のグラフを考えていきましょう。
まずは、 $y=a$ ですが、これは $x$ 軸に平行な直線ですね。もちろん、$a$ の値に応じて上下に動きます。
では、$y=-2\sin^2\theta-\sin\theta+1$ のグラフはどんなグラフになるでしょうか。
ああ、こんなグラフね!ってすぐに思い浮かべばいいのですが、ちょっと難しいです。
そこで、$\sin\theta=t$ と置き換えてみると
$$y=-2t^2-t+1$$
というよく知っている2次関数のグラフになってくれます。わーい。
$t$ の2次関数ならグラフがかけるので、これを使って、まず $t$ の個数を考えていきましょう。
おっと、このとき1つだけ注意しておかないといけないことがあります。
$\sin\theta=t$ と置き換えたのですが、$0\leqq \theta <2\pi$ なので $-1\leqq \sin\theta\leqq 1$ です。
したがって、$t$ も $-1\leqq t\leqq 1$ になることを忘れないようにしましょう。
あとは、グラフをかいて交点を調べるだけです。
$y=-2t^2-t+1$ は $\displaystyle y=-2\left(t+\frac{1}{4}\right)^2+\frac{9}{8}$ となるので、下のような感じになります。
あとは、$a$ の値によって交点の数が変わるので、$y=a$ を動かしながら交点の個数を拾っていきます。
$a<-2$ のときは交点はありません。
$-2\leqq a<0$ のときは交点は1つです。
$\displaystyle 0\leqq a<\frac{9}{8}$ のときは交点が2つです。
$\displaystyle a=\frac{9}{8}$ のときは交点は1つです。
$\displaystyle \frac{9}{8}<a$ のときは交点はありません。
これで、$t$ の個数は拾い上げられました。でも、これで終わりじゃないですね。
求める解の個数っていうのは $\theta$ の個数なわけで $t$ の個数ではないわけです。
この問題のキモはここから!
なんて言わずに、お付き合いください(笑)
交点となる $t$ の値は $-1\leqq t\leqq 1$ の範囲に収まっています。これがまず大事です。
このとき、$\sin\theta=t$ と置き換えた式に話を戻しましょう。
$-1\leqq t\leqq 1$ の範囲で適当に $t$ を決めてみましょう。
たとえば、$\displaystyle t=\frac{1}{2}$ とでもしてみます。すると・・・
1つの $t$ に対応する $\theta$ は2つ出てきます。この場合だと $\displaystyle \theta=\frac{\pi}{6}$ と $\displaystyle \theta=\frac{5}{6}\pi$ の2つが対応しています。
では、$t=1$ としてみるとどうでしょう。今度は・・・
となって、1つの $t$ に対応する $\theta$ は1つしか出てきません。
つまり、先ほど求めた $t$ の値に対して、1つの $\theta$ が対応する場合と2つの $\theta$ が対応する場合が混在しているということです。
単位円の図を見れば、$t=\pm1$ のときは、対応する $\theta$ が1つ、それ以外の $t$ には2つ対応するということが分かります。
$t=\pm1$ が入ってくるのは、先ほどの2次関数のグラフで考えると、$a=-2$ のときと $a=0$ のときです。
これを考慮すると、解の個数は $a$ の値によって以下のようになるわけです。
$a<-2$ のときは0個
$a=-2$ のときは1個
$-2\leqq a<0$ のときは2個
$a=0$ のときは3個
$\displaystyle 0< a<\frac{9}{8}$ のときは4個
$\displaystyle a=\frac{9}{8}$ のときは2個
$\displaystyle \frac{9}{8}<a$ のときは0個
これで、解の個数が求められました。めでたしめでたし。
かなり面倒くさい問題ですが、しっかりと理解できている高2生はスラスラと解いていくのも事実です。
こうした問題で、手も足も出ないという人が「三角関数をやらないと!」といってその範囲を勉強したとしてもあまり効果はないわけです。
この問題を支えている大部分は数学Iの内容となっています。とくに、対応の部分については、先日の記事でも少し触れております。
高1生は三角比、高2生は三角関数をやっていますが、どちらの授業でも似たような話が出てきます。塾長あれ? この説明、前にもしたっけ?してないっけ?こういうことが、たまにあります。(ボケ始めてるのか?)ちゃん[…]
と思っていても油断はできないわけです。
漫然と問題集を解いているだけでは気づかないこともたくさんあるので、やはり1つ1つの問題を丁寧に理解していくということは大事かなと思います。