塾長
新年度のお問い合わせが予想以上にありテンションが上がっている塾長です。ありがとうございます! まだまだ募集中ですので、興味があるかたはぜひお問合せください。そして、テンションが上がったついでに久々の数学ネタを投稿しようと思います。

整数の問題にはとても面白い問題が多いのですが、整数問題は嫌い・苦手という人が案外多いものです。数としてはもっとも身近な存在でお付き合いも長いはずの整数ですが、いざ数学の問題として取り上げられると、どうにも敬遠される存在です。

そんなわけで、今日は次のようなお題を考えてみたいと思います。

末尾の2桁の数字からなる数が4で割り切れれば元の数は4で割り切れる。

これは倍数の判定を行う際によく利用される有名な事実の1つです。

例えば、4516は末尾の2桁の数字からなる数は16となり、これは4で割り切れます。したがって、4516は4で割り切れることが分かります。また、208も末尾の2桁の数字からなる数は8であり、これは4で割り切れるので元の数208も4で割り切れることが分かります。

一方、213などは末尾の2桁の数字からなる数が13であり、これは4で割り切れないため、元の数213も4で割り切れません。3125なども同様です。

さて、問題はこの事実がなぜ成り立つのかということです。

塾長
中学生でも高校生でも考えられる問題なので、興味がある方は、紙と鉛筆を用意して考えてみてください!

 

というわけで、ここからは、なぜそうなるかを考えていきたいと思います。

まずは3桁の数から考えてみましょう。

末尾の2桁の数については4で割り切れるので適当に12にでもしておきましょう。なお、「4で割り切れる」というのは「4の倍数である」ということと同じです。末尾の2桁の数は、4で割り切れれば何でもいいので、08とか36とか00でもOKです。00は4で割り切れるのか疑問に思う方もいらっしゃいますが、$4\times 0=0$ となるので、0も4の倍数ですよ。

さて、次に100の位の数を $a$ とでもしましょう。つまり、$a12$ のように表記される数を考えます。この数は、表現を変えると次のように表されます。

$$a\times 10^2+1\times 10^1+2\times 10^0=100a+10+2$$

確認しておきますが、どのような数であっても0乗すると1です。

わかりにくい人は具体例を考えてみましょう。235という数は

$$2\times 10^2+3\times 10^1+5\times 10^0=200+30+5$$

となることを確かめてみてください。

さて、$a12$ という数は、結局 $10^2\times a+12$ のように表せることが分かると思います。そこで、次に $10^2\times a$ が4の倍数になるかどうかを考えてみましょう。大事なのは4という数ですから、少々強引ですが、次のような変形を考えてみます。

$$(4+6)^2\times a$$

このとき、$(4+6)^2=(4+6)(4+6)$ を分配法則で計算すると

$$4(4+6)+6(4+6)$$

となります。$4(4+6)$ は4をかけるので、当たり前ですが4の倍数となります。また、$6(4+6)$ についても、$6\times 4$ の部分は必ず4の倍数となります。したがって、問題となるのは $6\times 6$ が4の倍数になるかどうかということです。計算してみれば、36となるので4の倍数となることがすぐに分かります。文字で考えてもOKです。6を2回かけることは偶数を2回かけることであり、偶数 $2m$ を2回かけた $4m^2$ は4の倍数だということが明らかになります。

と、回りくどい説明になってしまいましたが、結局、$10^2a$ は次のように変形できます。

\begin{align*}
10^2a&=(4+6)(4+6)a\\
&=\{4(4+6)+6(4+6)\}a\\
&=\{4(4+6)+6\times 4+36\}a\\
&=4(4+6+6+9)a
\end{align*}

ということで、$10^2a$ は4の倍数となることがわかりました。つまり、$10^2a=4X$ と書けるということです。ここまできたら楽勝ですね。$a12$ という数は $4X+12=4(X+3)$ となるということなので、ちゃんと4の倍数になる、すなわち4で割り切れるということが分かりました。

3桁の場合がわかれば、あとは4桁でも5桁でも $n$ 桁でも同様にして考えられますね。たとえば、5桁の場合は $10^5a$ とか $10^4b$ なんかが登場することになりますが、すべて $(4+6)^5$ や $(4+6)^4$ などに直して考えれば、結局6だけの掛け算の部分を考察していけばいいということになります。

さて、ここまで頑張って読んでいただいた人に、もう一度最初のお題をお見せいたします。

末尾の2桁の数字からなる数が4で割り切れれば元の数は4で割り切れる。

最初にこれを読んだときと随分と印象が変わって見えるという人も多いと思います。数学の勉強ではこうした「なぜだろうか」ということをいちばん大切にすべきだと私は考えています。

世の中には「数学が得意だ!」という人はたくさんいるのですが、この「数学が得意」というのはちょっとアレでして、実際に数学についてあれこれと話をしてみると、「数学のテストで点数を取るのが得意」という人が結構な割合でいるということです。つまり、いま、この記事で考えた「なんで末尾の2桁の数字からなる数が4で割り切れれば元の数は4で割り切れるんだろう?」などという問いに全く興味がないという人もたくさんいるのです。

どちらが良いという話ではありませんが、せっかく数学を勉強するのであれば、もう少し深い部分を覗いてみるといいのになあと思うことがよくあります。まあ、どうしても「試験」という存在がある以上、点数を取ることも考えないといけないわけですが、それによって数学に対する見方が大きく捻じ曲げられているような気がしてならない今日この頃です。

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