高校の先取り学習をやる前にやってほしいこと

というわけで、花粉との戦いが続いている塾長です。先日の入試の解説動画でも、かなりテンションが低い(そう見えるだけ)感じになっていましたが、ズビズバな日々はまだまだ続きそうです。ああ、イヤだイヤだ。
さて、件の解説動画ですが、入試直後に問題を生徒からコピーさせてもらい、実際の入試と同じ50分の制限時間で解いてみました。動画内でも触れましたが、時間制限がある中でスマートに解いていくのはかなり大変です。そういう意味でも、いけそうな方針が立ったらそれをやり切るという「実行」の部分も大切だなあと感じました。まあ、面倒なことはあまりやりたくないですが(笑)。解いてみて実際に感じたことなどは、今年度の授業にもフィードバックしていきたいなあと思います(と言っても、近年の大きな流れは変わっていませんが)。
そんな中、意欲のある方からこの時期に何をしたらいいのかというご相談をいただきました。メッセージを送ってくださった方、ありがとうございます。今日は、そのことについて少しだけお話ししようかなと思います。
先取り学習について
高校の数学が難しいかどうかは置いておいて、まず、この時期によく聞かれるのは「高校数学の先取りをした方がいいのか」ということです。先取り学習というのがどの程度のものを指すのか分かりませんが、数学に関して言えば「問題集をどんどん進めていく」という程度の話ではないかと思います。数学書を読んで自力でやっていくなどという話ではないでしょう。
このようなことを言う人もいますが、これまで指導してきた生徒を見る限り、この手の先取り学習にほとんど効果はありません。むしろ、害になってしまっているケースが目立つため、先取り学習については慎重に考えていただきたいと思います。ただし、中学生の時点でしっかりとした数学の能力があり、正しく学習を進められている生徒であれば先取り学習の効果はあると思います。
とくに、将来理系への進学を考えているという人は、先取り学習の前にしっかりと中学数学の復習をすべきだと考えています。その中でも、初等幾何に関する定理やその証明などはもっとも重要な内容です。教科書では内容が分断されてしまっているため、一旦体系的に復習しておくといいでしょう。
また、「やり方は知っているがなぜそうなるかがよく分かっていない」というものについても「ここのところはよく分かっていないゾ!」という認識を持っておくだけで、その後の勉強がかなり変わってくると思います。中学数学では連立方程式などがその最たるものではないかと思います。このように「解けるけどなんでそうなるか分からない」という部分はかなりたくさん残っているはずなので、まずはその部分をしっかりと考えてみる方がはるかに効果があると思います。
このあたりの内容については、当塾の準備講座でも取り上げる内容です。方程式、関数、絶対値、無理数などは、その先にも繋がっていく大事な部分なので、高校数学に入る前にしっかりと復習をやっておいてほしいところです。
高校入学までに読んでおくといい本
高校の授業がスタートするまでしばらく時間があるので、余裕のある人はぜひ以下で紹介するような本を読んでみてほしいですね。できれば「テストの達人」から早めに脱却して、本当に数学を楽しみながら勉強できる人になってもらいたいなあと思います。
先取り学習の前にぜひ読んでほしい本です。
古い本ですが、初等幾何の多くが詰まっています。高校生向けのものですが、数学が得意な人であれば普通に読めると思います。
ライトな内容ですが、なかなか奥が深い「円」の話です。初等幾何の中でも「円」は特別な存在ですね。
難しい話はあまり好きではないけど、という人にはこういうのも良いかもしれません。
数学の先取りをしたいのであれば、このくらいの本を読んでいくべきだと思います。
本格的に先取り学習をする人へ
中学生でも数学の能力があり、意欲もあるという人は高校数学への入門として、以下の書籍をおすすめします。全巻揃えるとかなりの金額となってしまいますが、それに見合う価値はあります。
第5巻までで高校数学の一通りの内容が学習できます。第6巻はさらに一歩先へ進みたい人に向けて書かれた内容です。
記述がとても丁寧なので独学も可能です。私も教科書の代わりによく参照する本です。ただし、古い書籍であるため、現行の高校数学の内容とは一部異なるものがあります。データの分析などは入っていません。逆に行列が入っているのでこれはありがたいです(笑)
第1巻からなかなか深い内容が登場しますが、分からないところは「ここが分からない」と認識しつつ、どんどん先へ進んでいくといいでしょう。また、市販の標準的な問題集(おすすめ参考書の記事も参考にしてください)をやりながら理解度のチェックをしてみるのもいいでしょう。
いずれにしても、ただ先へ進んでいるというだけでは先取りとは言えませんので、よく理解するように努めることと、なるべく全体像を早めにつかんで繋がりを考えてみることが大切です。