高校入試に向けていよいよカウントダウンが始まる時期になりました。
相変わらず「石川県の入試問題は難しい」とか「石川県の入試問題は特殊」などといった根拠のない評価をする指導者がいてうんざりします。
実際に問題を解きながら要求されている能力を確認していくと、難解な問題や特殊な問題はまったくないことがわかります。
記述問題が多いとか、数学が難しいなどいう話も10年以上も前の話です。
一部例外はあるにせよ、近年の公立高校入試は全国的にも難化傾向にあります。
全国的な傾向を見れば、石川県はむしろ保守的であり古典的な良問をベースにした基礎力重視の問題が多い印象を受けます。
これが石川県の入試問題の特徴です。というか、全国の公立高校の入試は、多少の違いがあるにせよほとんどがこうした問題で構成されています。
直前期のいまは特別なことをやろうとするのではなく、基本の確認を再度やっておくことが大切です。
基本の作図
というわけで、今回はサラッと確認できるものとして基本の作図を取り上げておきます。
高校入試の作図問題はどのような問題であっても、以下で扱う基本の作図を用いて解けるように作られています。
これらは、すぐに作図法が思い浮かぶように準備をしておきましょう。
角の二等分線
$\angle\mathrm{AOB}$の二等分線を作図せよ。
- 作図の方法
- $\mathrm{O}$を中心とした円弧を描き、$\mathrm{AO}$、$\mathrm{BO}$との交点を求めます(水色の線)。
それぞれの交点から等しい長さの点をとります(赤色の線)。
その交点とOを通る直線が求める角の二等分線となります。
※角の二等分線は、直線$\mathrm{AO}$、$\mathrm{BO}$から等距離にある点の集合となります。
垂直二等分線
線分ABの垂直二等分線を作図せよ。
- 作図の方法
- コンパスを固定し2点$\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$から等距離にある点(円弧)を描きます。
2つの円弧の交点を通る直線が$\mathrm{AB}$の垂直二等分線となります。
※垂直二等分線は、2点$\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$からの距離の等しい点の集合となります。
直線上の点における垂線
$l$上の点$\mathrm{P}$を通る$l$の垂線を作図せよ。
- 作図の方法
- $\mathrm{P}$を中心とする円弧を描きます(水色の線)。
コンパスを固定し、$l$との2つの交点から等しい距離にある点(円弧)を描きます(赤色の線)。
$\mathrm{P}$と円弧どうしの交点を通る直線が求める垂線となります。
点から直線に下ろした垂線
$\mathrm{P}$を通る$l$の垂線を作図せよ。
- 作図の方法
- $\mathrm{P}$を中心とする$l$を跨ぐような円弧を描きます(水色の線)。
2つの交点から等距離にある点(円弧)を描きます(赤色の線)。
それらの交点と$\mathrm{P}$を通る直線が求める垂線となります。
ある直線に平行な直線
$\mathrm{P}$を通り、$l$に平行な直線を作図せよ。
- 作図の方法
- $l$上の任意の点を中心とし、Pを通る円弧を描きます(水色の線)。
コンパスを固定したまま、図の$\mathrm{A}$および$\mathrm{P}$から等距離の点(円弧)を描きます(赤色の線)。
それらの交点と$\mathrm{P}$を通る直線が求める平行な直線となります。
※平行四辺形を作図していることに注意しましょう。
等しい角を移す
$\angle\mathrm{ABC}$と同じ大きさの角を作図せよ。
- 作図の方法
- まずは移動先に線分$\mathrm{OY}$を引きます。
次に、$\mathrm{B}$を中心とする円弧を描きます。これをそのまま$\mathrm{O}$を中心とする円弧として移します(水色の線)。
さらに$\mathrm{D}$を中心にして、先ほどの水色の線と$\mathrm{AB}$の交点をとります。これをそのまま$\mathrm{E}$を中心とする円弧として移します(赤色の線)。
水色の線と赤色の線の交点と$\mathrm{O}$を結べば、$\angle\mathrm{ABC}$が$\angle\mathrm{XOY}$に移ります。
というわけで、基本の作図を6つ取り上げました。全部問題なくできたでしょうか?
平行線や等しい角を移す作図などはあまり見かけないので、抜けている人もいるようです。注意しましょう。
コンパスと定規による作図では、主役は当然ながらコンパスです。コンパスができることは、定点からの距離の等しい点の集合(つまり円)を描くということです。そしてコンパスを固定すれば、ある線分の長さを他に移すこともできます。
こうした視点から、作図では等しい距離(そしてそこから導かれるいろいろな事柄)に着目してみるのがポイントです。