第4回石川県総合模試の数学を解いてみた

何だかシリーズ化してきた感じがする「解いてみた」の記事ですが、今回は第4回石川県総合模試の数学です。

今週は多忙だったのでなかなか更新できず、また解説も今回はあまり深くつっこめておりません。申し訳ありません。

概観

大問数7、小問数23ということで、相変わらず時間的にはかなり厳しい問題数でした。個人的にはもう少し余裕のある試験にした方が良いと思っているのですが、まあ模試なので仕方ないですね。

小問集合以外では、規則性、2次関数、方程式、作図、平面図形、空間図形というオーソドックスななセットでした。統一テストとも似たような構成だったので、比較的やりやすかったのではないかなと思います。統一テストより大問数は1つ少なかったのですが、その分、面倒な問題が含まれており、数学が得意でない人は苦労したのではないかと思います。各問題自体の難易度はそこまで高くないのですが、計算が面倒なものが多いので手間取った人も多かったもしれません。

全体的な難易度 

各問題の概要

大問1

内容 小問集合

難易度 

アドバイス

上位校を狙う人は満点を目指したいところですね。数学が得意な人にとっては、難しい問題はないので満点を取っている人も少なくないでしょう。

(3)、(4)あたりが要注意問題でしょう。このあたりの問題は解き方を知っていれば「瞬殺」なわけですが、しっかりと理解した上で解けているかどうかが重要です。解けたかどうかということよりも、(3)については「おうぎ形」がどのようにして決まるものかをすぐに答えられるかどうか、(4)では $\sqrt{36-4n}$ が自然数であるということがどういうことを意味するか、こうしたことに正しく答えられるようにしておきたいですね。

塾長
今回の大問1は、比較的計算量も少なくて済む問題が多かったですね。(3)などで無駄な計算をしてしまったという人もいるかもしれませんが、計算はできる限り少なくなるようにしたいところです。だって、面倒だもん。

大問2(復習おすすめNo.1)

内容 規則性

難易度 標準

アドバイス

規則性の問題については、塾などで数列の知識(等差数列・等比数列および階差)を教わり、それを用いて解いているという人もいるかもしれませんがあまり意味はありません。そんな大げさな道具を振り回さなくても解けるので、まずは地道にいろいろと書き出して考えて欲しいところです。こうした作業を嫌って公式に頼る人が多いのですが、それでは数学の力はまったく伸びないということを言っておきます。

規則性の問題では、兎にも角にも規則を見つけることが最重要課題なわけですが、これも統一テストと似たような問題でした。縦と横で考えていくわけですが、その際に「変化する部分はどこか、どう変化するのか」をよく観察しましょう。

今回は、縦の変化は $+2$ でした。とくに1列目の数字は1から順に奇数が並ぶことに気づいたと思います。これを上手く利用したいですね。横の変化は $+1$ 、つまり自然数が順に並ぶのですが、格段で現れる数字の数が先頭の数字と同じ数になるというのがポイントですね。表から得られる情報は、たとえば、3段目の先頭は5となりそこから5つ自然数が並ぶ、4段目の先頭は7となりそこから7つ自然数が並ぶ、という規則です。

これを一般化して考えていきます。$n$ 段目の先頭の数は奇数なので $2n-1$ となります。$2n+1$ ではありません。$n=1$ のときに $1$ にならないとダメですからね。奇数の表し方は $2n+1$ や $2n-1$ を基本として、何通りも(あまり意味はありませんが)作れます。

(1)の6段目は、先頭の数が $2\times 6-1=11$  となります。したがって、左から3番目は13です。

(2)も具体的に考えてみるといいでしょう。2段目は先頭が3で、そこに2を加えると右端の5になります。同様に、3段目は先頭が5で、そこに4加えると右端の9になります。4段目は先頭が7で、そこに6を加えると右端の13です。先頭の数に「先頭の数$-1$」した数を加えればいいことがわかりますね。

つまり、$n$ 段目では、先頭が $2n-1$ で、そこに $(2n-1)-1$ 加えると右端の数になります。したがって、右端の数は

\begin{align*}
2n-1+(2n-1)-1=4n-3
\end{align*}

が $n$ 段目の右端の数を表します。

模範解答は等差数列の考え方を使っていますが、それだけが正しい方法ではありません。上のように地道に導いてくることも可能です。むしろ、数列の知識がない中学生のみなさんには、こうした回り道を経験しておいてほしいところです。

塾長
数列の考え方自体は難しくないので、中学生のみなさんにも簡単に理解できますが、こうした公式で処理できる問題ばかりではありません。そうなったときに、具体例から規則を自分で作っていく作業を経験しているかどうかは非常に大きな差となるんです。

大問3

内容 2次関数(復習おすすめNo.3)

難易度 標準

アドバイス

2次関数の問題としては比較的易しい問題でした。(1)、(2)は必答レベル、(3)は普通に考えると結構計算が面倒です。

関数の問題では、必ずグラフをかいて考えるという癖をつけておきたいところです。問題にグラフがかかれていて、そこに書き込んでいくという人もいますが、自分の手でかくということを必ずやるべきです。

(1)の変域の問題なども、自分でグラフをかいてみれば、両端の値を代入するなどというアホなことはしなくなると思います。

(2)の直線の式の問題はいろいろな解き方が可能なのですが、模範解答は2点の座標から連立方程式を作って解いてあります。これでもいいのですが、個人的には、このくらいの直線の式は「暗算」で出してほしいなあと思います。直線の傾きから考える方が、将来的には意味があるので、2点から傾きを求めて、切片を出すという計算を「暗算」でやってみてほしいです。

(3)は面倒なだけで、あまり発展性のない問題です。Pの座標を文字で表すと $(t,\ t^2)$ なので、これを用いて地道にそれぞれの三角形の面積を出して計算していきましょう。この作業はあまり意味のないものなので好きではありませんが仕方ありません(笑)

少し工夫したいという人は、次のように考えてみるといいでしょう。Pを $(t,\ t^2)$ とおくところまでは模範解答と同じです。

$\triangle \mathrm{ABP}$ は底辺を $\mathrm{AB}$ と考えると、$\mathrm{AB}=8$ です。$\triangle \mathrm{ABC}$ は $\mathrm{AC}$ を底辺と考えると $\mathrm{AC}=16$ です。$\triangle \mathrm{ABP}$と$\triangle \mathrm{ABC}$底辺の長さの比は $1:2$ になっています。ということは、高さの比は $6:1$ になれば、$\triangle \mathrm{ABP}$ の面積が $\triangle \mathrm{ABC}$ の面積の3倍になります。

このとき、それぞれの三角形の高さは、$\triangle \mathrm{ABP}$ の方が、PからABに下ろした垂線の長さであり$16-t^2$ ($y$ 座標に着目)です。また、$\triangle \mathrm{ABC}$ の方はPからACに下ろした垂線の長さで $t+4$ ($x$ 座標に着目)です。

したがって、

\begin{align*}
(16-t^2)=6(t+4)
\end{align*}

となり、$t=-2,\ -4$ が得られます。$-4$ はAと一致するので除外してくださいね。

模範解答のように地道に面積計算をやっていくのも1つの方法です。ただし、意味のある作業であれば積極的にゴリゴリやるべきですが、数学的におもしろくない無意味な作業は回避したいわけです(笑)ここは、上のように比を用いる方が今後の応用にも役立つと思います。

塾長
必ずしも模範解答どおりに解く必要はありません。むしろ、模範解答と違う方法がないか探ってみるというのも数学の力を伸ばすには必要なことと言えるでしょう。

大問4

内容 方程式

難易度 

アドバイス

速度計算が出てくる問題なので、「はじき」とか「みはじ」とかの図を使って計算している人がいるんだろうなあという恐怖を感じる問題です(笑)問題自体は非常に易しい部類に入ります。解説を読めば理解できるレベルでしょう。ダイヤグラムを用いて考えてみるのも1つの手です。ここは満点を狙いたい問題ですね。

塾長
数学を教えていると、文章題が苦手という生徒が結構な割合でいます。ところが、実際に指導してみると、文章題が苦手なのではなく、「比」「割合」という概念がまったく理解できていないというパターンが多くあります。これは、上記のように「はじき」だの「みはじ」だの「くもわ」だのといった計算方法ばかりに頼っていて「比の感覚」が欠落しているせいです。こういうタイプの人は理科の計算も苦戦します。なぜなら、中学理科の計算はほぼ比の問題しかないからです。

大問5

内容 作図

難易度 標準

アドバイス

作図の問題としては少し見通しのつきにくい問題だったかもしれません。$135^\circ$ にドキドキした人もいるかもしれませんね。

コンパスで作図できる基本の角度は $90^\circ$ です。また、角の二等分線も作図できます。いつも指摘していますが、どれも「等距離」が根底にあることを忘れないでくださいね。

$\mathrm{AB=BP}$ なので、Bを中心としAを通る円(円弧)をグリッと描いてしまいます。このとき、BについてAと対称になる点が $l$ にとれます。この点とAの垂直二等分線を引けばBを通る $l$ の垂線が引けます。あとは、その垂線と $l$ との距離が等しくなる点を考えていけば $135^\circ=90^\circ+45^\circ$ を作れますね。

塾長
面倒な作図の問題も1つ1つの条件を考えていけば必ずできます。

大問6(復習おすすめNo.2)

内容 平面図形

難易度 やや難

アドバイス

図を見た瞬間に「面倒臭そう」と思った人もいるかもしれませんが、問題をよく読んでいくと折り返しの図形が出てきます。折り返しの図形は対称性を上手く利用できるので、見た目ほど難しくないのが特徴です。とはいえ、(3)には面倒な計算が含まれるので、やはり時間的には厳しいかもしれません。

(1)は折り返し図形の対称性を考えて、同じ角度になるところを考えていけば簡単です。$\angle\mathrm{ABD}=\angle\mathrm{AED}=40^\circ$、$\angle\mathrm{ADC=56^\circ}$ から、$\triangle\mathrm{ADE}$ の内角を考えて $\angle\mathrm{EAD}=16^\circ$ がすぐ得られます。$\angle\mathrm{EAD}=\angle\mathrm{BAD}$ より求める角度は $32^\circ$ ですね。

(2)は最初から $\angle\mathrm{FAE}=\angle\mathrm{DAC}$ が与えられているので、あとはその角をつくる辺から考えていきましょう。ここでも $\mathrm{AB}=\mathrm{AC}$ が与えられているので、$\triangle \mathrm{ABD}$ と $\triangle \mathrm{AED}$ の対称性から、$\mathrm{AE=AC}$ が見えてくるはずです。同様に、角についてもこの対称性と $\triangle\mathrm{ABC}$ が二等辺三角形であることから$\angle\mathrm{AEF}=\angle\mathrm{ACD}$ がわかります。

(3)は面倒だなと思って飛ばした人もいるかもしれませんが、(1)、(2)の流れから対称性と二等辺三角形、合同を考えていけば比較的簡単に解けてしまいます。見た目のゴツさに惑わされてはいけません。

$\triangle\mathrm{ABC}$ の面積は直角三角形となるため簡単に面積が計算できます。また、$\mathrm{BD:DC=1:4}$を利用すれば、$\triangle\mathrm{ABD}$ と $\triangle\mathrm{ADC}$ の面積もすぐに求まります。あとは、合同な三角形に着目しながら面積を計算していくだけです。

塾長
図形の対称性を考えていくと面白いですね。この問題はよく練られているのでしっかりと復習して、分かっていることをいかに活用するかを考える練習をしておきましょう。

大問7

内容 空間図形

難易度 

アドバイス

この問題は何が難しいかというと、ただただ計算が面倒で時間がかかるという点だけです。今回の空間図形は、切り口ではなく回転体だったので空間図形の問題としては比較的簡単な問題でした。計算力がある人は高得点が取れたと思います。なお回転体の図は必ず描いておきましょう。そうしないと、思わぬミスをしてしまいます。

(1)、(2)は問題なくできてほしいところです。(3)は表面積の問題ですが、これがかなり面倒でした。円錐の表面積、球の表面積、円柱の表面積と面倒な計算のオンパレードでした。そして、面倒なだけであまり得るものがない問題です。こういう問題では、計算公式を覚えている人が圧倒的に有利で、高得点を取ってしまうためあまり良い問題とは言えません。公式暗記に走る中学生を助長しそうな感じもするので、個人的にはあまり出して欲しくないタイプの問題です。まあ、解説で十分に理解はできる問題でしょう。

まとめ

金沢市統一テストの直後に行われた第4回総合模試ですが、似たような問題がいくつか含まれていたので、統一テストの復習をすぐにやった人は比較的できたのではないかと思います。

今回は統一テストと総合模試の問題をじっくりと比較できたのですが、やはり統一テストの問題は良い問題が多かったですね。総合模試の方はそれに比べると単純に面倒な問題が少し目立ちます。数学的な概念などの基礎を確認するには統一テストの復習に、計算スピードなどの処理能力が足りない人は、総合模試のような面倒な問題に粘り強く取り組んでみるのが効果的と言えるでしょう。個人的には、規則性、2次関数、平面図形の問題はしっかりと復習をやっておいて欲しいなあと思います。

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