大変申し訳ありません、少し取り乱してしまいました。こんな出だしですが、今日の記事はなかなか大事な内容の記事になりそうなので、失敗したなと思っています。浮かれるとロクなことがありませんね。ははは。
というわけで、今回はタイトルにあるように「解き方を教わらないと何もできない生徒」についてのお話です。
基本的に塾の授業では、まずは何もない状態で問題を解いてもらい、そこから解説に入ることが多いのですが、問題を解く際に石像のように固まってしまう生徒が増えて来ました。
そういう生徒たちが決まって口にするのがこの台詞です。
そんな歪んだ認識をもっている生徒がある時期から急に増えたように感じています。
もちろん、こういう生徒は昔から一定数いたとは思いますが、ちょっと増えすぎじゃないか?と思うくらいに増えています。
「解き方の解説をして類題で繰り返し練習させる」というスタイルの授業は、確かに試験で点数を取ることを目的とした場合には効率の良い方法かもしれません。
今回、高校2年生の授業で取り上げた問題なども、典型的なものでしょう。
常用対数の典型的な応用ですが、「解き方忘れました!」とか「習ってません!」という声がしばしば聞かれます。
問題集なんかには「正の数 $N$ の整数部分が $k$ 桁 $\Longleftrightarrow 10^{k-1}\leqq N<10^k$」なんて書いてあったりするものだから、この当たり前の話を覚えようとする生徒が続出します。
そもそも、こんなものをわざわざ覚えるなんて記憶の無駄遣いもいいところです。
具体的なことをあれこれ考えてみれば当たり前の話でしかないことに気づきます。
例えば、3桁の整数というのは100から999のうちのどれかです。3桁の整数を $N$ とすれば、それが
$$100\leqq N\leqq 999$$
となるのは当たり前の話です。少なくともこの不等式は作れるという人が多いでしょう。
さらに桁数の話なので、$10^n$ の形を利用しようと考えることができれば
$$100\leqq N<1000 \Longleftrightarrow 10^2\leqq N<10^3$$
と表せるでしょう。
そんな風に思う人もいるかもしれませんが、これまで試行錯誤を繰り返してきた人であれば、そういう発想が身についていると思います。何も天から降ってきたものではありません。あれこれと試行錯誤し、自問自答する中で自然と身についた発想と言えるかもしれません。
なお、解き方を知らない生徒でも、普段からあれこれ書き出して考える生徒は、自力でこの不等式にたどり着くことがほとんどです。
そして、これを一般化することで、$n$ 桁の整数 $N$ は
$$10^{n-1}\leqq N<10^n$$
と表せることが分かります。
先に述べたように、試行錯誤こそが数学の勉強でいちばん大事な部分であり、その経験がさまざまな問題を解く際に大きな差となって表れます。
しかし、「公式」として試行錯誤の部分をショートカットしてしまうと、忘れた場合にどうしようもなくなってしまいます。
というわけで、大事な話はここまでですが、一応解いておきましょう。
$2^{40}$ が $n$ 桁であるとすれば
$$10^{n-1}\leqq 2^{40}<10^n$$
と表せます。常用対数をとると
$$n-1\leqq \log_{10}2^{40}<n$$
つまり、$n-1\leqq 40\log_{10}2<n$ となり、$\log_{10}2=0.3010$ を用いれば
$$n-1\leqq 12.04<n$$
となります。これを解けば、$n=13$ となります。