第2回金沢市統一テスト数学 (2021年1月実施)
第1回統一テストでは比較的易しい問題が多かったため、今回の問題は難しくなることが予想されましたが、実際には第1回と比べて難易度的に大きな変化はありませんでした。教科書内容〜標準レベルの問題で理解を深めておけば高得点も可能な感じです。また、昨年の第2回と似たような問題も出題されており、過去問をやっていた人は有利だったかもしれません。
概観
全体的には学校のワークでも十分対応できるような平易な問題が多く、特別な知識やテクニックなど知らなくても高得点を取ることが可能なテストでした。そのため、結果が良くなかった人は教科書レベルからやり直す必要があると言えるでしょう。理解できていない部分を探すという意味では良いレベルの問題だったように思います。
ただし、問題数が多いため「時間が足りなかった」という人も多かったと思います。時間がなくて出来なかったのか、理解できていないから出来なかったのかは明確に線引きをしておきましょう。
個人的には平均点は55点はあってもいいなという問題構成だと考えています。しかし、前回の平均点の低さを考えると、今回も平均点が50点に届かない可能性も十分にあります。絶対的な難易度は「易」としたいところですが、近年の数学の低調な結果を考えて「やや易」としておきます。
ただし、点数はあくまでも目安でしかありません。大事なのは点数ではないので、答案が返却されたらしっかりと復習をして、私立入試・国公立入試に向けて準備を進めていきましょう。
大問1・小問集合
大問1は計算や基本的な知識を問う小問集合でした。
(2) $x=-3$ または $x=7$
(3) $180a>350b$
(4) $x=8$
(5) $65$
(1)の計算は入試本番でも落としたくない問題です。イの計算は $-3^2$ と $(-3)^2$ の違いをきちんと理解しておきましょう。また、エについても要注意です。
$$\displaystyle \frac{3x-5-(x-y)}{2}$$
$$\displaystyle \frac{3x-5}{2}-\frac{x-y}{2}$$
このように計算する人が多いのですが、符号のミスが結構見られます。問題集などの解答がこのようになっていることが多かったり、$\displaystyle \frac{2x+3y}{2}-\frac{x-2y}{3}$ のような問題と同じように計算している人が多いようです。
$$\frac{3x-5}{2}-\frac{2x}{2}+\frac{2y}{2}$$
あるいは
$$\displaystyle \frac{3x}{2}-\frac{5y}{2}-\frac{2x}{2}+\frac{2y}{2}$$
と計算する方がミスは減るかもしれません。さらにオの計算についても面倒な計算をしている人をみかけます。$\displaystyle \frac{9}{\sqrt{3}}$ などもわざわざ有理化してから計算をする人を見かけますが
\begin{align*}
\sqrt{\frac{9\times 9}{3}}-\sqrt{6\times 6\times 3}&=3\sqrt{3}-6\sqrt{3}\\
&=-3\sqrt{3}
\end{align*}
のような計算で十分です。
(3)は不等式の問題ですが、とくに解説することもないでしょう。
(4)は線分比の問題ですが、これもワークなどでお馴染みの問題でしょう。平行線がつくる線分比が理解できていれば問題なく解けたと思います。できなかった人は下図のような補助線を引いて考えてみるといいでしょう。
(5)の中央値は、昇順に並べ直すと
42・48・54・56・64・66・68・72・78・82
となるので真ん中2つの平均をとって65となります。
大問2・関数(復習おすすめNo.1)
(2) ア $1000$ イ $10$ ウ $80$
(3) $16 \mathrm{m^3}$
大問2は関数の問題でした。水道料金をテーマにした問題だったのですが、ちょっと分かりにくかったという人もいるかもしれません。
まずは、与えられた表を確認しましょう。ここに大切なことがすべて書かれています。水道料金はすべて基本料金+従量料金で計算されます。基本料金の存在を忘れないようにしましょう。
基本料金 | 従量料金 | |
A市 | 850円 | $\mathrm{10m^3}$ までは、$\mathrm{1m^3}$ あたり $10$ 円 $\mathrm{10m^3}$ を超えた分は、$\mathrm{1m^3}$ あたり $100$ 円 |
B市 | ア | (イ)$\mathrm{m^3}$ までは、基本料金のみ (イ)$\mathrm{m^3}$ を超えた分は、$\mathrm{1m^3}$ あたり(ウ)円 |
C市 | 1100円 | $\mathrm{10m^3}$ までは、基本料金のみ $\mathrm{10m^3}$ を超えた分は、$\mathrm{1m^3}$ あたり一定の料金がかかる。 |
(1)はA市の水道使用量が $20\mathrm{m^3}$ のときの水道料金です。
$\mathrm{10m^3}$ を超えた分は、$\mathrm{1m^3}$ あたり $100$ 円
ということなので、まずは $\mathrm{10m^3}$ 分で $10\times 10=100$ 円となります。さらに、残り $\mathrm{10m^3}$ 分が $10\times 100$ 円で、ここに基本料金の $850$ 円が加算されるので
$$100+1000+850=1950$$
となります。
(2)は表に書かれていることと、グラフがどう対応するかを正確に読み取りましょう。
(イ)$\mathrm{m^3}$ を超えた分は、$\mathrm{1m^3}$ あたり(ウ)円
$\mathrm{10m^3}$ まではグラフが横ばいになっています。つまり、この部分は料金が変動しないということになります。つまり、この部分が基本料金のみの部分となります。$y$ 座標を読み取れば $\mathrm{10m^3}$ までは基本料金は $1000$ 円であることが分かります。
さらに、グラフから $\mathrm{20m^3}$ のときの料金が $1800$ であることが分かります。これより $\mathrm{10m^3}$ を超えた分の $\mathrm{10m^3}$ に対して $800$ 円加算されたことが読み取れます。したがって、$\mathrm{1m^3}$ あたりでは $80$ 円の料金がかかることになります。
(3)は、まずC市の料金体系を明らかにしておきましょう。C市では $\mathrm{20m^3}$ 使用した場合の水道料金が $1850$ 円です。
$\mathrm{10m^3}$ を超えた分は、$\mathrm{1m^3}$ あたり一定の料金がかかる。
となっているので、基本料金のみの $\mathrm{10m^3}$ を超えた分の $\mathrm{10m^3}$ については 750円が加算されることになります。つまり、$\mathrm{1m^3}$ あたり $75$ 円であることが分かります。
あとは、A市の料金とC市の料金を比較するだけですが、計算のみでやるよりグラフをイメージした方が把握しやすいかもしれません。A市とC市のグラフは以下のようになります。
黒線のグラフがA市、赤線のグラフがC市です。 $\mathrm{10m^3}$ から $\mathrm{20m^3}$ の間で逆転していることが見て取れます。グラフなしで考えるのであれば $\mathrm{10m^3}$ のときの料金と $\mathrm{20m^3}$ のときの料金を比べて、水道使用量がその間で逆転することを確認しておきましょう。いずれにしても、大事なことは上図での $s$ の位置を確認することです。
C市の水道使用量がA市の水道使用量より安くなるのは、グラフから
$$1100+75(s-10)<950+100(s-10)$$
として考えることができます。あとはこれを解いて $s>16$ となります。
大問3・確率
難易度 易
大問3は確率の問題でしたが、昨年の問題と非常によく似た問題でした。
塾長第2回統一テストを受けた受験生のみなさん、お疲れ様でした。冬休みに勉強した成果は出たでしょうか? しっかりと結果が出た人もそうでなかった人も、残り少なくなった時間を有効活用して最後まで諦めずに頑張っていきましょう![…]
問題の「$\sqrt{a+b}$ の値」にビビらないようにしましょう。落ち着いて考えれば何ということもない問題です。
1〜6の数が書かれた球を同時に2個取り出すので、まずは全部で何パターンあるか実際に数えてみましょう。注意したいのは、小さい方の数を $a$ 、大きい方の数を $b$ とするという部分です。取り出す玉の組を $(a,\ b)$ として表すと
$(1,\ 2)$ $(1,\ 3)$ $(1,\ 4)$ $(1,\ 5)$ $(1,\ 6)$
$(2,\ 3)$ $(2,\ 4)$ $(2,\ 5)$ $(2,\ 6)$
$(3,\ 4)$ $(3,\ 5)$ $(3,\ 5)$
$(4,\ 5)$ $(4,\ 6)$
$(5,\ 6)$
の全部で15通りであることが分かります。あとはこれを見ながら考えればOKですね。
(1)は $a$ が偶数、$b$ が奇数となるので
$(2,\ 3)$ $(2,\ 5)$ $(4,\ 5)$
の3通りなので、求める確率は $\displaystyle \frac{3}{15}=\frac{1}{5}$ となります。
(2)では、$\sqrt{a+b}$ が2より大きく3より小さいということは $2<\sqrt{a+b}<3$ ということです。これは結局
$$\sqrt{4}<\sqrt{a+b}<\sqrt{9}$$
となる $a$ と $b$ の組みを見つければ良いということです。つまり
$$4<a+b<9$$
となるものを探して
$(1,\ 4)$ $(1,\ 5)$ $(1,\ 6)$
$(2,\ 3)$ $(2,\ 4)$ $(2,\ 5)$ $(2,\ 6)$
$(3,\ 4)$ $(3,\ 5)$
の9組が該当します。したがって、求める確率は $\displaystyle \frac{9}{15}=\frac{3}{5}$ です。
大問4・方程式
難易度 易
方程式の問題でしたが、非常に易しい問題でした。石川県総合模試では問題文が長文化し(今回の大問2のような問題)、面倒な問題が増えてきていますが、そうした問題に比べるとシンプルな問題でした。
唯一注意すべきことは、「A、Bを合わせて20個以上買うと2割引になる」という部分です。
とありますので、Aの1個あたりの代金を $x$ 円、Bの1個あたりの代金を $y$ 円とすると、前半部分は
$$10x+8y=1100$$
となります。また、後半部分は2割引(つまり元の値段の8割の値段となる)の部分に注意して
$$(5x+18y)\times \frac{8}{10}=1000$$
この2式を連立して解くと、$x=70$、$y=50$ が得られます。
大問5・作図
難易度 標準
この作図の問題は、今回の中では比較的難しく感じる問題だったと思います。といっても、作図の問題としては標準的なレベルです。
$\angle \mathrm{AOP}=120^\circ$
線分 $\mathrm{OP}$ の長さは、線分 $\mathrm{OA}$ の長さの半分である
いきなりコンパスを持って作図をするのではなく、まずは点 $\mathrm{P}$ がどのような位置にあるかをイメージしてみましょう。
この図がすでに解答のようなものですが(笑)、だいたいこんな感じだなと分かれば作図もサクッとできるはずです。
$\angle \mathrm{AOP}=120^\circ$ についてはいきなり作図はできないため、$60^\circ$ を経由する、つまり、正三角形を経由することが予想されればOKです。また「線分 $\mathrm{OP}$ の長さは、線分 $\mathrm{OA}$ の長さの半分である」ということから、OAの垂直二等分線から中点を求めることが必要となります。そうすると上図のように、$\mathrm{B}$ を作図し、そこから $\mathrm{OB}$ を1辺とする正三角形をつくります。さらに、もう1つ隣に正三角形を作図すれば、$\mathrm{P}$ が求まります。
大問6・関数と図形(復習おすすめNo.2)
難易度 標準
(2) $y=3x+10$
(3) $y=x+4$
作図に続いて、この問題も今回の問題の中では比較的難しい方の問題でした。しかし、これも入試では標準的なレベルの問題です。(3)がやや面倒ですが、与えられた比の条件から平行となることが読み取れれば問題なく解けたのではないかと思います。
いずれにしても、グラフをかきながら整理をしていくことが大切です。
(1)は簡単でしたね。$\mathrm{PQ}$ の長さが6となるので、放物線の対称性を考えて、$\mathrm{P}$ の $x$ 座標が $-3$、$\mathrm{Q}$ の $x$ 座標が $3$ となることが分かります。
したがって、$\mathrm{P}$ の座標は $(3,\ 9)$ となります。
(2)も $\mathrm{P}$ と $\mathrm{Q}$ の座標がすぐに分かります。あとは、この2点を通る直線の方程式を求めるだけです。この際、$y=ax+b$ とおいて $\mathrm{P}$ と $\mathrm{Q}$ の座標を代入して計算する人もいますが、少々面倒です。2点を通る直線の方程式では傾きから考えていく方が個人的には好みです。
グラフを見ながら、暗算で $\displaystyle \frac{21}{7}=3$ と傾きが求められるようになっておくと便利です。あとは、$y=3x+b$ と考えて $\mathrm{P}$ または $\mathrm{Q}$ の座標を代入して計算すれば、$b=10$ となるので、求める直線の方程式は
$$y=3x+10$$
となります。
(3)は、ぱっと見では面倒臭そうな問題に見えますが、やってみるとそれほどでもありません。
$$\mathrm{PR:RQ=PS:SO}$$
という仮定です。これによって、$\mathrm{OQ}//\mathrm{SR}$ が言えるため、直線 $\mathrm{SR}$ の傾きは 直線 $\mathrm{OQ}$ の傾き(これは暗算ですぐに1と求めてください!)と一致します。したがって、まずは
$$y=x+r$$
のようになることが分かります。あとは $y$ 切片の $r$ を求めていきましょう。これを求める場合、オーソドックスに考えれば、図から明らかに直線 $\mathrm{PQ}$ の $y$ 切片と一致するので、直線 $\mathrm{PQ}$ の方程式を求めるのが簡単です。これは(2)と同様に考えることで、
$$\mathrm{PQ}:y=-3x+4$$
とすぐに求められます。したがって、直線 $\mathrm{SR}$ の方程式は
$$y=x+4$$
となります。
これだけだと面白くないので、せっかくなので図形と絡めた考え方を紹介しておきます。ここでは相似を用いることで、 $y$ 切片 $r$ を求められます。
余計なものを取り払った図形をかくと上図のようになります。$\mathrm{R}$ の座標については $\triangle\mathrm{PSR}\sim\triangle\mathrm{QTR}$ を利用します。相似比は $\mathrm{PS:QT}=4:1$ とすぐに求められます。したがって、$\mathrm{SR:RT}=4:1$ であり、$\mathrm{ST}=15$ であることから
$$RT=15\times \frac{1}{5}=3$$
となります。したがって、座標としては $\mathrm{R(0,\ 4)}$ となり $r=4$ が得られます。
大問7・平面図形
難易度 易
(2) 略
(3) $\displaystyle \frac{91}{240}$ 倍
大問7の平面図形は「相似」を中心とした基本的な問題でした。相似については学習したばかりで理解が深まっていない人もいると思います。まずはこの問題を通して基本的な部分を復習しておくと良いでしょう。
(1)は $\triangle\mathrm{ABP}\equiv \triangle\mathrm{PCQ}$ なので対応する辺をしっかりと確認していけば問題なく解けるでしょう。
$\mathrm{AB}$ と $\mathrm{PC}$ が対応するので、$\mathrm{PC=20cm}$ です。したがって、 $\mathrm{BP=4cm}$ となります。また、$\mathrm{BP}$ と $\mathrm{CQ}$ が対応することから、$\mathrm{AQ=20-4=16cm}$ となります。
(2)は相似の証明です。相似の証明については「対応する2つの角がそれぞれ等しくなる」ということを証明する問題がよく出題されます。そのため、まずは角度から考えていくと良いでしょう。線分比などが与えられている場合には、辺にも着目していきましょう。今回は $\angle\mathrm{ABP}=\angle\mathrm{APQ}$ が与えられているので、角度を優先的に見ていきましょう。また、この際に忘れてはいけないのが、最初に与えられている「二等辺三角形」という情報です。これを見逃す人が多いので、「何が与えれているか」というチェックを必ずするようにしておきましょう。
というわけで、これらを整理すると
$$\angle\mathrm{ABP}=\angle\mathrm{APQ}=\mathrm{PCQ}$$
が分かります。
$\triangle\mathrm{ABP}\sim\triangle\mathrm{PCQ}$ を証明するには、$\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{CPQ}$ もしくは $\angle\mathrm{APB}=\angle\mathrm{PQC}$ を言えれば良さそうです。このとき、$\angle\mathrm{APB}=\angle\mathrm{PQC}$ は情報がとくにないので、$\angle\mathrm{APQ}$ を使えそうな $\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{CPQ}$ を目指していくと良さそうです。
上の図をよく観察して、$\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{CPQ}$ を示すのに $\angle\mathrm{APC}$ が利用できそうだと考えられればOKです。このように外角を利用する証明は多いので、意識しておきましょう。
$$\angle\mathrm{ABP}+\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{APC}$$
$$\angle\mathrm{APQ}+\angle\mathrm{CPQ}=\angle\mathrm{APC}$$
であり、$\angle\mathrm{ABP}=\angle\mathrm{APQ}$ から、$\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{CPQ}$ が示せます。
以上によって、$\angle\mathrm{ABP}=\mathrm{PCQ}$ と $\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{CPQ}$ が言えたので
$$\triangle\mathrm{ABP}\sim\triangle\mathrm{PCQ}$$
となります。
(3)は面積比を考える問題です。面積比では、高さの等しい三角形や相似な三角形を考えていくのが基本となります。(2)の設定を引き継ぐため相似はバリバリ使いそうです。そのため $\triangle\mathrm{ABP}\sim\triangle\mathrm{PCQ}$ をまず考えてください。さらに、$\triangle\mathrm{ABP}$ は $\triangle\mathrm{ABC}$ と高さの等しい三角形になっています。ここまで見通せれば、あとは比を計算していくだけです。
$\triangle\mathrm{ABC}$ の面積を1としたとき、$\triangle\mathrm{ABP}$ は底辺の比を考えて、$\displaystyle \frac{10}{24}=\frac{5}{12}$ となります。また、$\triangle\mathrm{ABP}\sim\triangle\mathrm{PCQ}$ であり、相似比は $\mathrm{AB:PC}=10:7$ となります。このとき、面積比は $10^2:7^2=100:49$ となります。したがって、
\begin{align*}
\triangle\mathrm{PCQ}&=\frac{49}{100}\triangle\mathrm{ABP}\\
&=\frac{49}{100}\times\frac{5}{12}=\frac{49}{240}
\end{align*}
よって、$\displaystyle \frac{49}{240}$ 倍となることが分かります。
大問8・空間図形(復習おすすめNo.3)
難易度 標準
(2) $7$ 倍
(3) $192\pi \mathrm{cm^2}$
大問8の空間図形の問題もよくあるタイプの問題だったので、解きやすかったのではないかと思います。(2)の体積比では再び相似の利用が登場します。今回の図形の問題はかなり「相似」を意識させる内容となっていて、珍しく偏りがあるなあという感じがします。
(1)は円錐の体積を求める問題で、とくに何かが必要というわけではありません。そのまま計算しましょう。
$$\frac{1}{3}\times 9\times 9\times \pi\times 12=324\pi$$
となります。
(2)では、まず断面を考えて相似になることを確認しましょう。
頂点を $\mathrm{O}$ とします。頂点を通って底面に垂直な面で立体を切断したときの断面は上図のようになります。このとき、$\triangle\mathrm{OAB}\sim\triangle\mathrm{OCD}$ であることはすぐに分かりますね。そして、相似比は $1:2$ です。したがって、「立体A」と「立体AとBを合わせた立体」の体積比は $1^3:2^3=1:8$ となります。立体Bは「立体AとBを合わせた立体」から「立体A」の体積を引いた $8-1=7$ となるので、結局、立体Aと立体Bの体積比は $1:7$ となります。したがって、立体Bは立体Aの7倍となります。
(3)は表面積を考える問題です。表面積を考える場合には、展開図を利用して考えていくとイメージしやすいでしょう。円錐の展開図は円とおうぎ形のセットになります。まずは、問題のように母線を3等分した場合の断面図をイメージしてみましょう。下図のようなイメージがすぐに浮かべばOKです。
ここにも相似な図形が登場します。$\triangle\mathrm{OAH}\sim\triangle\mathrm{OQS}$ であり、相似比は $2:3$ となります。このとき、$\mathrm{QS}$ の長さは、$\displaystyle 9\times \frac{2}{3}=6$ となります。
これで、求める立体Eの上面と底面の円の面積が求まります。
上面:$6\times 6\times \pi=36\pi$
底面:$9\times 9\times \pi=81\pi$
あとは、側面の面積が分かればOKです。これは展開図を利用しましょう。
このようなイメージになります。大事なのはおうぎ形の中心角(割合)です。これは、底面の円周と上図の外側の円弧の長さが一致することを考えましょう。
底面の円周は $2\times 9\times \pi$ で求められます。また、おうぎ形の中心角(割合)は、$2\times 15\times\times \pi$ であり、これが一致することから、$\displaystyle \frac{9}{15}$(角度では $216^\circ$) であることが分かります。
したがって、大きいおうぎ形から小さいおうぎ形の面積を引いて
\begin{align*}
&15\times 15\times \pi\times \frac{9}{15}-15\times 15\times \pi\times \frac{9}{15}\\
=&\frac{9}{15}\pi(15^2-10^2)\\
=&75\pi
\end{align*}
となります。以上から、求める立体の表面積は
$$(75+36+81)\pi=192\pi$$
となります。
なお、おうぎ形の面積の求め方については公式のようなものが存在しますが、覚える必要はありません。
解いてみての感想
全ての問題を解いてみて、かなり簡単な問題だったなあと感じました。しかし、大問数が8あることや今年度の模試などの結果から見ても、このくらいの問題で「ちょうど良い」難易度になりそうな感じです。
問題そのものは、「ただ面倒なだけ」というタイプの問題が少なく、考える価値のある問題が多くて好感が持てます。石川県総合模試と比べると、受験生の学力がきちんと把握できるレベル設定になっているのではないでしょうか。平均点は高めになる(なってほしい)と思いますが、前回のこともあるので正直分かりません。
点数そのものよりも、1つ1つの問題を時間をかけて丁寧に復習して本番へ向けた準備をしておくことが大切です。その中で、時間的な節約ができる部分がないかを探していくと良いでしょう。