しかし、決して難問だったというわけではなく「今年度の中で見れば難しい」という話で、過去の総合模試の難易度から考えると比較的易しめの問題だったと思います。そのため、高得点者もいつもよりは多く存在しているようです。
塾長12月10日に第6回石川県総合模試が実施されました。11月から定期テストや統一テスト、模試が連続しており否が応でも入試への意識が高まる時期です。総合模試を受験したみなさん、お疲れ様でした。今回は解いてみたは見送ろ[…]
それでは早速、今回の結果から見てみましょう。（スクロールします）
| 国語 | 理科 | 英語 | 社会 | 数学 | 5科目 |
| 53.4（13.89） | 49.5（18.26） | 52.4（18.53） | 56.8（20.04） | 42.7（15.89） | 254.5（76.02） |
括弧内の数字は標準偏差となります。数学の平均点は今年度の数学では最低となる42.7点という結果となりました。他教科に比べても、かなり低い平均点となっております。少し難しくなると途端に平均が下がりますね。数年前の総合模試の問題レベルだと平均点30点台が連発しそうな感じがします。それだけ中学生の数学力は落ち込んでいます。
得点の分布を見ると平均点付近に人が集まった感じの分布となっていますが、一方で70点以上の得点者の数もそれなりに存在しています。逆に30点以下の得点者も相当数存在しています。数学が本当に得意な生徒は75〜85あたりの得点になっているでしょう。
入試本番の問題がどの程度の難易度になるかは分かりませんが、決して簡単な問題ではないことは確かです。今回の模試で不本意な点数だった人は、少し取り組み方を反省してみてください。
正答率が低かった問題について、以下で少し触れておきたいと思います。
再チェック 大問1 (3)、(4)
(3)、(4)は基本的な内容が理解できていればきちんと解ける問題でした。が、これまでの模試の大問1ではあまり見られない形式であり、少し目先を変えられると途端にできないという「実は理解していない人」によく見られる症状が表れた問題でした。解説でも触れましたが、(3)は具体例をサッと確認するということ、(4)は融合問題でしたが、こちらも確率と根号の理解が問われる問題でした。「問題が解けるから理解できている！」というのは少し雑な勉強となっているので、もう少し基本的な事柄を掘り下げて考えてみてください。
再チェック 大問3
大問3は(2)も(3)も壊滅的な状況でした。関数と図形の融合問題は入試でも頻出の内容です。しかし、その本質は図形の問題です。関数の知識はもちろんですが、図形に関する知識が非常に弱く感じます。これは、後半の幾何分野の問題が悲惨な状況になっていることにも通じています。図形が苦手という人は多いのですが、大半の人は知識が体系化されていないような気がします。冬休みなどのまとまった時間が取れる時に、一気に図形全般をやってしまうのが良いでしょう。
再チェック 大問4
大問4も壊滅的な得点状況でした。正直ここは点取り問題だと思っていたので、かなりショックです。目先を少し変えるだけで、ここまで出来が悪くなるということは、本質的な理解において著しく欠けているところがあるという証拠でしょう。「知っている問題なら解ける」というのは、入試本番ではほとんど役に立たない力です。知らない問題・見たことのない問題にどう対応するか、身につけるのはそういう力です。普段から、問題集を何回も繰り返している人は「知っているから解ける」という状態を「理解した」と勘違いしていないかよく確認してみましょう。
再チェック 大問6(3)
手元のデータを見る限り解けた人は一人もいなかったようです。本番ではこのレベルの問題は解けなくても大丈夫ですが、普段の勉強にはこういったレベルの問題を用意して、ああでもない、こうでもないと考えながら取り組んでほしい問題でした。先に述べたように、簡単な問題を繰り返しやって、単に手順を覚えただけで分かった気になってしまわないように、難度の高い問題を用意して挑戦してみることが大切です。
今年度は易しい問題が続いていたので、今回少し難しくなってどう変動するか興味がありました。思った以上に平均が下がり、内容を見てもかなりの学力の低下を感じる結果となりました。もう何年も前からこうした指摘をしていますが、状況は悪くなる一方です。しかし、指導している生徒を見ていると、勉強をしなくなったというわけではありません。勉強はしっかりとやっているものの、その方法がおかしな方法になってしまっているという感じです。個人的には「それではまったく数学の勉強にはなっていないですよ」という勉強をしている人がとても増えたように感じます。