演習ではいろいろな問題を扱いますが、高校生がよく分かっていない部分はだいたい把握できているのでそのあたりをしつこく突っついています(笑)
昨日は次のような問題を扱いました。
\begin{align*}
\begin{cases}
ax+y=1&\cdots\cdots(1)\\
x+ay=1&\cdots\cdots(2)
\end{cases}
\end{align*}
どんなふうに解いてもOKですが、正しく考えないとアッサリと間違ってしまいます。
$a=1$ のとき,$x+y=1$ を満たす任意の実数
$a=-1$ のとき,解なし
となるわけですが、正しく考えられる生徒が少ない問題です。とくに加減法を使って解くと間違える人が増えます。
この問題が
\begin{align*}
\begin{cases}
2x+y=5&\cdots\cdots(1)\\
x-2y=-5&\cdots\cdots(2)
\end{cases}
\end{align*}
になると間違う人はほとんどいません。$x=1$,$y=3$ と正しく解を求められます。
こうした具体的な問題は、中学校のあいだに嫌になるほどやらされた人が多いと思うのですが、同じことを少し抽象化してみるだけで途端に正答率が落ちます。これは「数学が分かっていない」場合の端的な例です。
毎年同じ問題をやってきて感じるのですが、上のような生徒が増えてきているようです。
数学が苦手だと自分で認識できているのであればまだ救いがあるのですが、「数学は得意だ」と思ってきた上記のようなタイプの生徒は少し困ったことになります。「実は何も分かっていなかった」と認めるのが難しく理解できていない自分と向き合えない(あるいは気づかない)ため、問題が一気に噴出し取り返しがつかない段階になって初めて「あ、ヤバイかも」なんて気づくことになるのです。
「あ、分かったぞ!」というのはとても大切ですが、それと同時に
という自分の理解に対する疑いも非常に大切です。そうした姿勢を持ってもらうことも大事なことなのです。